連載企画「フェチ語り/連想三段跳び(仮)」スタートします

2022/04/19(火)08:26
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■集めて並べれば、相互の関係が見えてくる!

 

格子状に並んだ「9つの給水塔(画像右側)」を皆で眺めながら

 

 動詞をフィルターにして三分類するなら「つかむ/まわす/さす」かな?
 感触的な形容なら「ツルツル/ザラザラ/ヒンヤリ」かな?
 帽子を被ったヒトっぽさで「シルクハット/ニット帽/和笠」とか?

 

なんて、賑やかな編集稽古が行われていたのは、2020年7月25日に開催された45守オンライン汁講のワンシーンだ(開催は稽古終盤/用法4が始まった頃)。

 

■給水塔で編集(工学)を伝えよう

 

これは45守「まるごと給水塔教室」の師範代をつとめていた高橋の野望であった。その手始めとしてベッヒャーのタイポロジー(リンク)に肖って9つの給水塔(リンク)を並べた「教室フライヤー(教室名を題材として編集稽古を語る)」を作成し、稽古番外で活用しようと目論んでいた。

 

ベッヒャーのタイポロジー(画像左側)は、同一機能の建造物(特に給水塔が有名!)の数多の写真をグリッド状に並べ展示することで、鑑賞者に「同じようだけど/意外と違う!」とその類似や差異などの関係性を考えさせ「わける」編集を促す効果を狙っている。その効果を高めるためか、鑑賞者の注意のカーソルがより「個々の建造物の形状そのものに」向かうよう、正面からのフラットなアングルで/曇りの日に撮影し/モノクロ写真でプリントするよう統一/徹底されているのが特徴的でもある。

 

冒頭のオンライン汁講の稽古は「ベッヒャーの方法に肖って、給水塔を題材にした」ことで、稽古に参加した学衆たちの間で「わける」ための関係づけ/編集がシッカリと動き出したという次第で、高橋としてはニンマリだったのは言うまでもない。

 

■フェチを起点に「編集」を語り続けろ

 

師範代を務めた45守「まるごと給水塔教室」では、毎週の稽古ダイジェスト(得番録)などにも給水塔語りが溢れていたので「単に給水塔を語りたいだけなのでは?」という誤解が生じたり、本来は給水塔だけに限定されない「たくさんの高橋」を発露する機会が失われてしまっていた。


そんな高橋の心境をも見抜いておられたのか、46破では「望眺世界塔」という教室名を松岡校長から頂いたことで、以降は給水塔に限定されない雑多なフェチを指南に盛り込み/伴走することができたのは実にありがたいことであった(46破 望眺世界塔教室14綴 夜想曲南軍将軍文叢)。

 

ということで、引き続きフェチを起点に「編集」を語り続けるべく

 

毎回なんらかのフェチなアイテムを起点に(まずは再び給水塔から?)、そこから紐解くアナロジカルな「ホップ→ステップ→ジャンプ」で、案外/意外なターゲットに着地できるような連載、ボチボチ始めます!

 

本記事は、下記のエディスト新春対談で予告された「連載」の予告編です

2022新春放談 其の肆 – 四人四様、新コーナー企画会議 「エディスト、装いも新たに大ブレイクだ!」

  • 高橋陽一

    編集的先達:ヘッド博士の世界塔。古今東西の幅広い読書量と多重なマルチ職業とディープなフェチ。世界中の給水塔をこよなく愛し、系統樹まで描いた。現在進行中の野望は、脳内で発酵しつつある物語編集の方法を「社会実装」すること。

  • 05:音の溝を巡る【高橋陽一の越境ジャンキー】

    モノとの関係を相互包摂的に紐解くこの連載。今回はちょっとだけ「寄り道」をして、モノの「超部分」を「虫の目」で見つめることにチャレンジしてみたい。   ・「超部分」にカーソルを向ける    書を見る時には、筆の運 […]

  • 04:ゴミを編集する【高橋陽一の越境ジャンキー】

    いつしか「モノとの相互包摂的な関係を模索する旅路」となりつつあるこの連載。第四回は「ゴミ」にカーソルをあて、日本人との関係を少々紐解いてみることに。   ・捨てたら化ける/ゴミが妖怪に?    冒頭の […]

  • 03:鳥たちの電線編集【高橋陽一の越境ジャンキー】

    これまでの編集手本であった「ベッヒャーのタイポロジー(その象徴としての給水塔)」を連載初回で手放し、新たな「手本」を求めて旅立ったこの連載。第三回は、いったん「ヒトとモノの関係」を離れて、モノ(人工物)とモノ(動物)の関 […]

  • 02:モノオトに耳を澄ます【高橋陽一の越境ジャンキー】

    前回は「給水塔の多様な姿形」を起点に、「モノに宿る力の不思議」を紐解いてみた。今回は、モノの姿形を見るという「視覚」だけでなく、モノの音に耳を澄ます「聴覚」にもこだわってみたい。そこで、この「モノオトとヒトの関係」を紐 […]

  • 01:主客反転/給水塔が語らせる?【高橋陽一の越境ジャンキー】

    本連載は「越境ジャンキー」であるワタクシ(高橋)が、これまでハマってきた様々なモノへの「フェチ」を起点に、ヨコやナナメへと遊行/連想を広げつつ「編集」を語ってゆくコーナーです。   給水塔=客体なのか? &nb […]

コメント

1~3件/3件

堀江純一

2025-10-02

何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

川邊透

2025-09-30

♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。

若林牧子

2025-09-24

初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。