外国語から日本語への「翻訳」もあれば、小説からマンガへの「翻案」もある。翻案とはこうやるのだ!というお手本のような作品が川勝徳重『瘦我慢の説』。
藤枝静男のマイナー小説を見事にマンガ化。オードリー・ヘプバーンみたいなヒロインがいい。
編集工学研究所には、文字化されていない松岡正剛校長の講演音源が大量に眠っている。書き起こし隊は、SNS伝奏連のブレストから生まれた。それをプロジェクトにまで発展させたのは福田恵美師範代だ。汁講、10[離]の同窓会、[遊]風韻講座の連句の座、あらゆる機会をとらえては声をかけ、有志を募った。
プロジェクト名はその名も蔵出し隊。校長の語りを文字にする。声に耳を澄ませ、指先でキーボードをたたく。何度も何度も音源を巻き戻す。そして、隊員同士の相互チェックを経て仕上げていく。
どうしても音と言葉が結びつかなかったところを他の隊員があっさり埋める。自分の世界の捉え方の死角に気がつくこともしばしばだ。
隊員がもっとも迷ったのは編集の加減。書き起こしただけでは伝わらない。声から文字になって失われるもの、文字になって付け加えられてしまうもの。松岡校長の話にどこまで隊員の編集が関与していいものか。編集の及ぼしている力の大きさを実感する。
こうして磨かれたお宝群は、「遊刊エディスト」でついに蔵出しとなる予定だ。
林 愛
編集的先達:山田詠美。日本語教師として香港に滞在経験もあるエディストライター。いまは主婦として、1歳の娘を編集工学的に観察することが日課になっている。千離衆、未知奥連所属。
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コメント
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