やまぶき式部、井組の親分、岡村城の若殿、月姫、セブ島のゴーシュ。25[花]やまぶき道場は全員が別名を持っていた。31回を数える花伝所史上、類をみない試みだった。
命名者は松本礼子。仲間の奮闘を励みに4週目にたどり着いた感謝を名前に込めた。質量・熱量ともダントツの井ノ上裕二は親分。相手への心配りが抜群で、場を和ませる岡村修司が若殿。月姫こと池永月子は共感力が高く、登場のたびに道場をパッと明るくする。
一歩ずつ切実に進む最年少の佐藤英太はセロ弾きのゴーシュになぞらえた。松本はやまぶき式部。細かな観察力とた手弱女(たおやめ)ぶりに注意のカーソルを当て、花伝師範・清水伺名子が名付けた。
背負った名はそれにふさわしいカマエを引き出す。親分はゴーシュの追いかけるべき背となり、月姫と若殿と式部は互いの長所に倣いあった。これが翌週に迫った錬成への追い風に。相互編集が加速すると指導へのフィードバックも具体的になり、編集工学への理解も深まっていく。
放伝した5人は全員師範代として教室名を持った。松本と佐藤は38[守]で、でんでんシモーヌ教室、不足大事教室を名乗り、岡村は39[守]ブレイク半歩教室、池永は41[守]オカンの下弦教室の師範代をつとめた。井ノ上は38[守]・[破]の熱線シーザー教室師範代のあと、[守]の師範を歴任し、次はいよいよ番匠へ。
名を追い、名を負って走り出した聖火ランナーたちはもう誰にも止められない。
しみずみなこ
編集的先達:宮尾登美子。さわやかな土佐っぽ、男前なロマンチストの花伝師範。ピラティスでインナーマッスルを鍛えたり、一昼夜歩き続ける大会で40キロを踏破したりする身体派でもある。感門司会もつとめた。
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