巣の入口に集結して、何やら相談中のニホンミツバチたち。言葉はなくても、ダンスや触れ合いやそれに基づく現場探索の積み重ねによって、短時間で最良の意思決定に辿り着く。人間はどこで間違ってしまったのだろう。
◉Hyper-Editing Platform【AIDA】の会場である本楼には永田耕衣(0024夜)と飯田蛇笏の短歌の書(松岡正剛・筆)がひそやかにしつらえられていた。Season01のテーマである「文明」が耕衣の歌に、「生命」が蛇笏にそれぞれ加筆されている。
◉「すすき」と「苔の花」は植物の一対。すすきは、秋の季語で七草のひとつにかぞえられている。漢字で「薄」とも「芒」とも書く。同じイネ科の「葦」(アシ)とともに茅葺(かやぶき)の材料になった。
◉日本の古代神話は「豊葦原水穂国」と美のシンボルとして「葦」を持ちだした。そんなふうに葦が美しいとか、すすきの重さやスキやキライを人間が交わすようになったのはなぜだろうか。ヒトザルがアドレッサンス(発情期)を失ったからなのだろうか。
◉転がる石に苔は生えない(A rolling stone gathers no moss)。この英語のことわざは苔の見方で解釈がカワル。日本人は断然、『苔とあるく』(1614夜)派だろう。コケ派とシダ派でも分かれる。もしも『シダの扉』(1476夜)の向こうを知らないとしたら、世界の半分を知らないことになる。
◉そもそも陸上化の先頭を切ったのがシダだった。海の中のシアノバクテリアに始まった藻類が陸上化してシダ植物になった。さらにどこかのタイミングで地面にへばりつく蘚苔類が分岐した。「シダ」と「コケ」、「葦」と「薄」、「耕衣」と「蛇笏」、この微妙なAIDAのキワに迫っていくことからハイパーエディティングは機動する。
金 宗 代 QUIM JONG DAE
編集的先達:夢野久作
最年少《典離》以来、幻のNARASIA3、近大DONDEN、多読ジム、KADOKAWAエディットタウンと数々のプロジェクトを牽引。先鋭的な編集センスをもつエディスト副編集長。
photo: yukari goto
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コメント
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