『絵師ムネチカ』から目が離せない。天才は往々にして何かが欠けている。そしてそのこと自体がまた天才の天才性を引き立たせる。周囲の人々の鼻面を引き回し、人生を変えていく「天才少年」のデモーニッシュな魅力を容赦なく描いた怪作。
これまでにも「神童」もの(?)を数多く描いてきたさそうあきら先生だが、ご本人は極めて方法に自覚的な職人タイプ。長年、マンガ学科の教員として教鞭をとり、『マンガ脚本概論』などの技法書にも定評がある。
「読書は交際である」。松岡校長はそう言った。
交際というからには、相思相愛のケースがある一方、思ってもみない相手から申し込まれることだってあるに違いない。
感門之盟初日の3月21日。参加者は本を一冊ずつ持ち寄った。今感門のタイトルテーマにちなみ、「読奏」からイメージした文庫本。選り抜きの一冊を、講座もロールも超えて大勢で交換していくインターブッキングだ。
誰が選んだどんな本が自分の手元に届くのだろう? 「読奏」というコトバから、他の人たちは何を連想したんだろう? 持参した本を受付で手渡したところから、本楼にはたくさんのワクワクが交錯。「読奏エディストリート」の特製ブックカバーに包まれた一冊を受け取ると早速、タイトルを確認して談笑する姿が相次ぎ、教室の師範代と学衆による一対一交換の偶然に歓声が上がる場面も飛び出した。
55[破]ハンシ八法教室の薗田祐介さんが受け取ったのは、白川静の『中国古代の文化』。送り主は、感門団として参加していた56[守]ハレルヤ電池教室の家村吏慧子師範代だ。薗田さんは中国語の勉強を始めたところで、まさに相思相愛の一冊。あまりのタイミングの良さに満面の笑みを見せた。
55[破]ふきよせエディション教室の松尾亘師範代が選んだ『ボン書店の幻』(内堀弘)を受け取り、1ページの隅から隅までびっしり書き込まれたメッセージに驚いたのは55[破]めでたし萌繍教室の馬渕雄一郎さん。400字に及ばんとするメッセージ文から溢れ出るのは、一冊の本への熱い思い。師範代ならではの真摯な姿勢に打たれた馬渕さんは、編集道の奥深さにあらためて向き合ってくれたに違いない。
44[花]くれない道場を放伝し、56[守]でデビューする藤﨑梢師範代が受け取ったのは『仏教の思想2 存在の分析<アビダルマ>』(櫻部建、上山春平)。送り主である花伝所の齋藤成憲錬成師範が添えた「アビダルマさんは、転ぶのだ」というメッセージを目にして、藤﨑師範代は思わずこう漏らした。「アビダルマって、一体誰?」。
藤﨑師範代がこの日、手にした教室名は「縁卓ことこと教室」。とっても嬉しい[破]教室名だった。でもいつか、彼女がアビダルマの名を抱く教室を率いる日がやって来るかもしれない。本との交際の行方は、誰にも分らないのだから。
アイキャッチ・文/山下雅弘(55[破]師範)
イシス編集学校 [破]チーム
編集学校の背骨である[破]を担う。イメージを具現化する「校長の仕事術」を伝えるべく、エディトリアルに語り、書き、描き、交わしあう学匠、番匠、評匠、師範、師範代のチーム。
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2026-03-19
『絵師ムネチカ』から目が離せない。天才は往々にして何かが欠けている。そしてそのこと自体がまた天才の天才性を引き立たせる。周囲の人々の鼻面を引き回し、人生を変えていく「天才少年」のデモーニッシュな魅力を容赦なく描いた怪作。
これまでにも「神童」もの(?)を数多く描いてきたさそうあきら先生だが、ご本人は極めて方法に自覚的な職人タイプ。長年、マンガ学科の教員として教鞭をとり、『マンガ脚本概論』などの技法書にも定評がある。
2026-03-17
目玉入道、参上。
体を膨らませ、偽りの目玉(眼状紋)を誇張して懸命に身を守ろうとしているのは、カイコの原種とされるクワコの幼虫。クワコの繭から取れるシルクは、小石丸のそれに似て細く、肌触りがよいらしい。
2026-03-10
平和に飛び交うモンシロチョウも、地球史スケールでは、ほんの少し前に日本にやって来たばかりのパイオニアらしい。押さえきれない衝動に駆り立てられて彼方に旅立つ人たちの原型は、海をわたる蝶なのかもしれない。