大音美弥子、石川正宏、赤羽卓美、太田香保がひざ詰めで何やら話し込んでいる。
千離衆たち([離]を退院した学衆の総称)が定期的に開催している声文会。9月11日、この日はあいにくの雨で参加者が少ないためか、雑談が続いていた。そこへ突然、半纏姿のセイゴオが乱入。問わず語りに「千夜千冊エディション」や今後の[離]のビジョンについて話し始めた。
話題は「フェチ」におよぶ。去年の末に『雑品屋セイゴオ』(松岡正剛、春秋社)を刊行して以来、セイゴオは「フェチこそ編集のエンジンである」を編集学校のモットーとすべく、フェチ教の“教祖”よろしく隙あらば布教をはかろうとする。
「いまの社会にはフェチが足りないんだよな」とぼやき、「フェチ、嗜癖がクリエィティブの最初にあることを忘れている。編集学校も例外ではないよ」と声文会メンバーをしきりに煽る。ちっとも[離]のおさらいに踏み込めないまま、雑談は23時過ぎまで続いた。
『雑品屋セイゴオ』(春秋社)
ちなみにセイゴオのフェチは夜更かし、喫煙、おかき、夏のソーメン、赤と青のVコーン、老眼乱視のメガネ、おにぎり、ノートパソコン、キンカン、葛根湯、ガリガリ君…などなど。困ったことに、咳止めブロンをフェチしたがるため、松岡事務所スタッフであわてて止めに入ることもしばしばだ。
寺平賢司
編集的先達:カール・ゴッチ。松岡事務所の期待のホープとして、千夜編集部やプロジェクトを仕切る。フィリピン人の母と日本人の父をもつハーフボーイ。調子のよさでは右にでるものがいない。