【倶楽部撮家】光と遊ぶ真夏のPHOTOワークショップ

2025/08/14(木)19:10
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光を読む、光を撮る。
2025年8月9日、豪徳寺にあるイシス館とオンラインのハイブリッドで倶楽部撮家のメインイベントとなる瞬茶会(ワークショップ)が開催された。倶楽部メンバーは各々、カメラと懐中電灯を持参して集った。この日のターゲットは運営スタッフでもある、瞬姿・後藤由加里の「光と露出」についてのワークショップだ。光の当て方によって対象となる「モノ」の見え方にどんな違いが出るのか、ダビデ像を使って実演して見せた。使う照明は、どこの家にでもあるような小型の懐中電灯ひとつ。たったこれだけでも十分に光の演出が可能なのだ。上から下から横からと照明を当て、それが見る者にどんな印象を与えるのか、参加者と問答の交わし合いをしながら進めていく。

 

いろんな方向からダビデ像にライトを当てて見てみると印象が大きく異なることに気づく

 

写真(モデル:田中泯さん)を見ながらどこから光が当たっているかを検証する
(参照:繰上和美写真集『50,50 FIFTY GENTLEMEN』幻冬舎)

 

光のワークショップはこれでは終わらない。ハイライトは各々が光を意識しながら本の撮影をしてみるというものだ。これは単なる本の撮影ではない。オブジェとしての本が光と影の中でどんな見え方をするのかという実験だ。必ずしも表紙やタイトルの情報がクリアに見えなくてもいい。それよりもどんな場所でどんな光の演出が可能なのかを探求してみることにこそ意味がある。イシス館に参加したメンバーがどんな撮影をしたのか、ここに披露したい。

 

撮影 武田英裕
松岡正剛(著)『千夜千冊エディション 理科の教室』角川ソフィア文庫

 

撮影  森本康裕
ジーン・レイヴ&エティエンヌ・ウェンガー(著) 『状況に埋め込まれた学習: 正統的周辺参加』産業図書

 

撮影 福澤俊
シェイクスピア(著)『新訳 オセロー 』角川文庫
シェイクスピア(著)『オセロウ』岩波文庫
シェイクスピア(著)『オセロー』新潮文庫

 

撮影 八田英子(オブザーブ参加の学林局・律師)
『ユリイカ2006年9月臨時増刊号 総特集=稲垣足穂』青土社

 

撮影 福井千裕
J. K. ユイスマンス(著) 『彼方』桃源社

 

撮影 林朝恵
松岡正剛(著)『世界のほうがおもしろすぎた─ゴースト・イン・ザ・ブックス』晶文社

 

光を意識するだけで、こんなにも撮り方が変わるのだということをメンバーたちは実感した。また、カメラを通してしか見えてこなかった対象の姿というものも発見する機会になったようだ。新しい何かを偶然発見すること、自分で撮ったとは思えないようなビジュアルに出会うこと、これが撮影の面白味でありマジカルな体験なのだ。

 

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多読アレゴリア 2025年秋 倶楽部撮家

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  • 林朝恵

    編集的先達:ウディ・アレン。「あいだ」と「らしさ」の相互編集の達人、くすぐりポイントを見つけるとニヤリと笑う。NYへ映画留学後、千人の外国人講師の人事に。花伝所の花目付、倶楽部撮家で撮影・編集とマルチロールで進行中。

コメント

1~3件/3件

堀江純一

2025-10-02

何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

川邊透

2025-09-30

♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。

若林牧子

2025-09-24

初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。