【エディットツアーJapans 福岡レポート】 発想力を伸ばす方法はすぐそこに

2025/04/25(金)12:43 img
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久し振りの開催となった福岡での編集ワークショップ。「いつもと違う思考を取り入れたい」「編集というものに触れてみたい」。そんな動機で集まった9名が、福岡とコーヒーを結ぶ企画づくりに熱中した。


「いきなり」の効能

最初のワークは、会場であるカフェにあやかって、喫茶店メニューに喩えた自己紹介。一瞬途方にくれた表情が見えたが、シンキングタイムを経ると「王道ではないココア」、「コミュニケーションのあいだにあるコーヒー」、「店の看板」など、自身をひと言で表す見立てが出てきた。「昆布っぽいと言われるけれど喫茶店にはないですね」という参加者には、「和風カフェのお汁粉についている塩昆布では?」と声がかかった。見立てが表すその人らしさに共通点や違いを感じ、初対面どうしが打ち解けていく。
二つ目は、コーヒーという情報の連想を広げるワークだ。いきなりのお題にアタマの動きが加速する。香りや苦み、リラックス、眠気防止、コーヒーカップやミル、産地など、コーヒーの要素や機能が次々に飛び出してきた。


4月20日、福岡市のイエナコーヒにて。ナビゲーターは福岡在住のイシス編集学校師範・師範代。

 

未知と好きの効能

後半は、付箋を使ったグループワーク。まず各自が「福岡っぽいもの」を付箋に書き出し、評価する目盛を変えて並べ替えていく。並びを変えるごとに、グループ内で見せ合う。質問したり、好きなことや自慢のものを力説したりのやり取りで、情報を多方面から見ることになる。出し合った情報を二つに絞り、それにコーヒーを掛け合わせて、新商品やイベントを企画するというのが最終的なお題だ。


互いが持つ情報を出し合ったり、触発されたり。休憩もとらずに話し合いを続け、20分あまりで3つの企画が立ち上がった。

「糸島」・「交通の便がいい」×コーヒー
糸島の塩を使ったソルティドッグアイスコーヒー。提供できる喫茶店とコーヒーの特徴マップを福岡空港で配り、糸島への来訪者を増やす。

 

「山笠」・「宗像三女神」×コーヒー
早朝に博多の街を駆ける山笠ではシャキッとする「おきんしゃいコーヒー」を二次元コード付きの紙コップで、身心を浄めるみあれ祭では「きれいかね~コーヒー」を透き通ったビン入りで、それぞれの祭りのコスプレで提供。

 

「NIC(かつてあったデザインの最先端を発信するショップ)」・「住みやすい」×コーヒー
つながりそうのないコトどうしを結びつける、居心地がよくてコーヒのある場をつくる。場も企画も、参加者がつくっていく。

 

なんのことだかわからずに集めた福岡っぽいモノやコトが、新しい企画になっていった。

情報の集め方、並べ方、なかった情報の持ち込み方をつかめば、もともと備わっている発想力、企画力は伸びていく。方法が編集力をキックするのだ。ワークショップ終了後も語り合いを続けていた参加者の少し紅潮した頬に、互いがつくりあげた格別の時間が表れていた。

(文)石井梨香
(写真)三苫麻里

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