編集学校の方法を子どもたちのために外へつなぐ。
「イドバタイムズ」は子どもフィールドからイシスの方法を発信するメディアです。
夏休みも終盤に差し掛かった8月20日の朝10時。子ども編集学校プランニングフィールド「年中さんの会」ズーム企画に集まったのは、上原悦子さん家のごうくん、高橋紗絵子さん家のそういちろうくん、景山卓也さん家のかふうくん。幼稚園、保育園の年中さんである。幼稚園年少の林愛さん家のまほろちゃんがお兄ちゃんたちに混じって参加。ここに「見守る人」として、子ども支局の松井路代と得原藍が加わった。
プランニングのきっかけ
会のきっかけは、お題チームの雑談で出た「そういちろうが、かふうくんに会いたいって言ってます」という一言だった。
オンラインで仲良くなるには、きっとお題がアイダにあるといい。
ごうくんは編集ワークのナビをするお母さんをみて「ぼくもバナナのお題を出したい」と言っていた。
松井の中に「年中さんは、お題がだせる」という確信が生まれた。
会のベースは「年中さん」、ターゲットは「なじむ」、プロフィールは「当日、その場で、それぞれが、みんなとやってみたいと思った遊び」とした。3人の年中さんはこれまで、お題アレンジを親子で一緒に遊んできたので、その経験を生かせるのではないかと予想した。
オンライン・ミーティングを「教室」ではなく「広場」みたいに使えるか試してみるというねらいもあった。
ツールはズーム。
互いの顔が見られるようにギャラリービューにして、マイクはオン。いつしゃべってもOKである。チャットは使わないことにした。
ロールは、<おはよう>の挨拶と自己紹介だけ松井がナビし、あとはみんなが「お題(遊び)の出し役」と「答える人」に順番になっていく。
だいたい5分から10分ぐらいでバトンタッチしていこう、おうちの人と相談してももちろんOKというルールを提案してみる。
みんなの顔を見ると、大丈夫そうである。
ジャンケンで、そういちろうくん、かふうくん、ごうくんの順番にまった。
「えっと、どうしようかな」。
トップバッターのそういちろうくんが選んだお題のタイプは「クイズ」。バナナはどうやって甘くなるでしょう?という問いかけに、ごうくんから「ハイ!」とすぐに手が上がる。
大人の言葉よりも子どもの言葉のほうが、届くスピードが速いかも、と見ながら感じる。
かふうくんは、紙に絵を描いて<これなんでしょう>と質問するスタイル。むずかしいのになると、「ヒントください」とメンバーから声があがる。連想ゲームの「二十の扉」っぽい。
「うーんとね。緑の野菜です」。
わあ、苦手な野菜かも、どうしようという笑いが起こる。
答えは「ブロッコリー」だった。
かふうくんに触発されて、そういちろうくんもお絵描きクイズを出題する。方法がすぐに伝播していく。
ごうくんからは「しりとり、やってみませんか」。
スイカ → かいがら → ラッコ → こんがらがっち → ちりとり→ りんくうとこなめ → ネックレス → すかぐち ……
なかなか終わらない。
お題出し役、何周もしてくると、「どうしようかな」の時間が長くなってくる。それは、最初は隠れていたみんなの「好き」や「得意」が見えてくる時間にもなった。
ごうくんは、プラレールや分厚い時刻表。
そういちろうくんは、ポケモンと楽器の図鑑。
ごうくんが電車が好きだと知ったそういちろうくんは、シンカリオンの絵本を持ってきて「これ知ってる?」とめくる。
大人にとっては早すぎない?と思うスピードでめくっていくが、ごうくんは次々に答えていく。
かふうくんは、工作で作った帽子をいくつも持ってきて見せてくれた。
予想よりもずっとすいすい、年中さんはお題が出せた。
大人がファシリをする会では避けられる傾向にある「しっぱい」や「間」もあった。それはけっしてホントの失敗ではなくて、会を「遊び」の本来に近づけていたように思う。
ごうくんは画面から外れる時間が少なくなくて、上原さんはちょっとやきもきしていたそうだが、「年中さんの会、またやったら参加する?」と尋ねてみると、力強い「うん!」が返ってきたそうだ。
離れてもいい、だから前のめりになる。オンラインで一緒に遊ぶってこういう感覚なのかもという振り返りを交し合った。
景山さん家では、遊んでいるときの会話に「これも、お題になりそうだね」が加わったそうだ。
たった1時間で、世界の見え方が変わる。
子ども編集学校は、きっと、いつでもどこでもできる。
また、集まろう。
上段右から時計回りにかふうくんと帽子、そういちろうくんとポケモンカード、
まほろちゃんとすみっ子ぐらし、ごうくんと時刻表、得原藍とアリクイのぬいぐるみ、
松井路代とゾウのぬいぐるみ
文:子ども支局・松井路代
イドバタ瓦版組
「イシス子どもフィールド」のメディア部。「イドバタイムズ」でイシスの方法を発信する。内容は「エディッツの会」をはじめとした企画の広報及びレポート。ネーミングの由来は、フィールド内のイドバタ(井戸端)で企画が生まれるのを見た松岡正剛校長が「イドバタイジング」と命名したことによる。
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