七夕の願いごと、今年は何を書きましたか?
イシス子どもフィールドでは、7月4日(日)にオンライン七夕まつり「七夕エディッツの会」を開催しました。
北海道から沖縄まで、小学生から大人まで、11組が集合。
各地の七夕行事を交わしあい、絵本の共読でガリレオと夜空にまつわるお話を聞き、最後に「オノマトペ短冊」作り。
歴史と宇宙に遊んだ七夕まつりをレポートします。
まずは自己紹介。子ども支局の長島順子さんが「夏の楽しみはスイカ!」と大玉スイカを取りだしてにぎやかにスタート。
●七夕伝説は編集のお手本だった
総合ナビの神尾美由紀さんが七夕の由来を紹介。中国からきた節句であること、「織女(しょくじょ)と牽牛(けんぎゅう)」のお話が日本に渡ってきて、「織り姫と彦星」になっていったこと。ダイナミックな流れを手作りのパネルで説明してくれました。子どもたちは「織り姫と彦星」の伝説に聞き入っていました。物語のもつ力の大きさを再認識したひとコマ。
中国の織女にイメージが近かった日本の織り姫が重なって定番化していったところは、編集が動いたことを感じます。
手作りのパネルで説明する神尾さん
●初耳がたくさん。七夕の過ごし方いろいろ
続いて、各地の七夕の過ごし方を聞くコーナー。
ひとつめは、浦澤美穂さんによる北海道の七夕の風習「ろうそくもらい」。「ろうそく出ーせー出ーせーよー」と歌いながら近所のおうちを訪ねて、ろうそくかお菓子をもらうのが習い。ハロウィンっぽいです。
ふたつめは、仙台七夕です。お話しは、伊達政宗にゆかりのある福島県伊達地方におすまいの原田祥子さん。七つの七夕飾り、「短冊」「紙衣」「巾着」「折鶴」「投網」「屑籠」「吹き流し」について聞きました。これらの飾りには、町の復興や子女の技芸の向上の目的があったのだそうです。
「北海道ではそんなことを? はじめて聞きました!」「七夕まつりは技の伝承の場でもあるのですね~」とみなさん驚いていました。
(左)北海道出身の浦澤さん(右)福島在住の原田さん
私の住む関西には「七夕汁」という給食メニューがあります。そうめんが入ったおすましです。「これもはじめて聞きました。食べてみたいです」「あとで給食表調べてみます!」と声が上がりました。
給食献立表の七夕汁の材料を読みあげる息子
一方、仙台では「おくずかけ」というお盆に食べる郷土料理があると教えてもらいました。白石温麺というそうめんに似た麺が入っているとのこと。「(天の)川に見立てた麺なのかもしれませんね」とのコメントあり。
こうしたお話を聞くと、七夕は編集の宝箱だなと思わずにはいられません。
(左)短冊の作り方を説明中。(右)自分で作った七夕飾りを見せてくれました。
●宮野さんの宇宙のお話
ここからゲストの登場。37期[守]「外は黒板教室」師範代で、山形県産業科学館館長の宮野悦夫さんです。聞き手は、子ども支局の松井路代さん。
宮野悦夫さん
「科学道100冊ジュニア」からセレクトした2冊の絵本を使って、七夕伝説や天の川観察を超えた新しい七夕の世界の扉をひらいてくださいました。
一冊目は、天の川の正体をつきとめた人物、16世紀の天文学者ガリレオ・ガリレイの生涯を描いた、『星の使者 ガリレオ・ガリレイ』(ピーター・シス 文・絵/徳間書店)。
『星の使者 ガリレオ・ガリレイ』(ピーター・シス 文・絵/徳間書店)
宮野さんはガリレオのことを「望遠鏡のエンジニア」と呼びます。ガリレオは自分で作った望遠鏡で天の川を観察してその正体をつきとめました。「この時代の人は自分で作って自分で実験したんです」と宮野さん。ガリレオの探求心と実行力に驚かされました。
プレゼン画像:絵本の美しいイラストに宮野さんのコメントが添えられています
二冊目は『ホワット・イズ・ディス? むずかしいことをシンプルに言ってみた』(ランドール・ マンロー作/早川書房)より、「夜の空」のページを共読。
『ホワット・イズ・ディス? むずかしいことをシンプルに言ってみた』(ランドール・ マンロー作/早川書房)
星と星を線でつないだ「宇宙マップ」の見どころとは? 天の川、織姫ベガと彦星アルタイル、シリウス、さらに、『銀河鉄道の夜』やブラックホールまで、解説を聞きながら見ていると、さながらオンライン・プラネタリウム! 子どもたちもかぶりつきで見ていました。
プレゼン画像:プラネタリウムのような夜の空の絵
天体観測と撮影が好きな松井さんのお子さんは、撮影をしたら星と星をペイントソフトでつなぐのだそうです。自分で線を引くと発見が多いことでしょう。月を撮影すると表面がごつごつしていることがよくわかるというお話も。望遠鏡は面白いですね。
スマホを取り付けて撮影できる望遠鏡を紹介する松井さん
●編集ワーク「七夕オノマトペでデジタル短冊作り」
いよいよ編集ワークです。ナビの得原藍さんが「笹の葉サ~ラサラ~♪」とウクレレの弾き語りで登場!
ウクレレを弾きながら登場した得原さん
お題は「七夕オノマトペ」。
手順は、ここまでのお話で心に残ったキーワードをあげ、それにオノマトペを加えます。
出てきたキーワードは…
笹の葉、ガリレオ・ガリレイ、宇宙、折り紙・いろがみ、いのり、天の川、ねがい、宮沢賢治、おりひめ、銀河、ひこぼし
参加者が出したキーワードはZoom画面に書きだされました
次に、キーワード+オノマトペのセットを対になるように二つ作ります。
作った「七夕オノマトペ」は特製ワークシートに書き、願いごとを加えて短冊にします。
ワークシートと完成した「七夕オノマトペ短冊」
完成した七夕オノマトペはこちら。
【子どもたちの七夕オノマトペ】
いろがみフラフラ・笹の葉グングン
ぎん河メッキメッキ・天の川キラキラ
天の川ピカピカ・銀河サラサラ
ガリレオごつごつ・銀河キラキラ
銀河ザリザリ・天の川シャリシャリ
【大人たちの七夕オノマトペ】
ガリレイぐいぐい・宇宙くらくら
折り紙ぎゅっぎゅ・宇宙ずんずん
天の川ゆらゆら・祈りうらうら
おりひめチクチク・ひこぼしザクザク
ひこぼしイケイケどんどん・おりひめキュンキュン
夜空きらきら・宇宙ひろびろ
子どもたちの選んだキーワードに「銀河」が多いのは、宮野さんのお話が響いた証なのでしょう。「ガリレオごつごつ」など、お話を踏まえて出てきた言葉が面白いですね。
子どもも大人も七夕の知識や想像力が深くなっていたり、知識がクリアになっている様子がうかがえる作品になりました。
●特製おみやげ!「七夕三冊ブックリスト」
天の川を模したデザインが素敵なカードタイプのブックリスト
参加者には編集学校のブック・スター8名が選んだ「七夕三冊」のブックリストがおみやげとして渡されました。
星と星をむすぶ星座のように、本と本をつないだ三冊たち。こんな世界を見て欲しいという選者たちのメッセージごと、お楽しみいただけるようになっています。
最後に記念撮影
「七夕エディッツの会」、いかがでしたか?
子どもフィールドではお題のことを「エディッツ」と呼んでいます。エディッツを作り、回答(実践)しながら、遊びの方法を発見・開発しています。
今回の七夕エディッツの会はラウンジを飛びだして行ったシーズン企画です。ゲストを迎え、一般の参加者にも開放したオープンなイベント。次回は秋に開催予定です。
8月には、オトナのための千夜千冊共読会や「読み書き」ワークショップを開催予定です。
またお知らせしますので、ご興味ありましたらご参加ください。
吉野陽子
編集的先達:今井むつみ。編集学校4期入門以来、ORIBE編集学校や奈良プロジェクトなど、18年イシスに携わりつづける。野嶋師範とならぶ編集的図解の女王。子ども俳句にいまは夢中。
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