【特集】ETS群島リレー12@大阪 ほんわかキックでなにわ伝法

2019/10/09(水)21:35
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 ナビゲーターの山根尚子師範の本職はヨガインストラクター。すらりとした体躯から発せられる言葉はしなやかでゆるぎない。タイトルは「なにわ伝法・見立てて遊ぼう」。定員いっぱいの13名、一人も遅刻無し。炎暑の8月11日午後2時、エディットツアー大阪が始まった。


 「脳にイタ気持ちいいキックを受けるのがやみつきになって、編集稽古を続けている」と山根師範。イントロからワクワクとドキドキが高まる。


 まずは自己紹介ワーク「お菓子なわたし」でリラックス。すかさず核心に入る。編集とは何か。これぞ、なにわ流の伝法だ。松岡正剛校長の『知の編集術』(松岡正剛、講談社)の一節を声に出して順番に読む。

 

 「では、どのように編集されているかというと、これがなかなか取り出せません」。「取り出した方法をさまざまな場面や局面にいかすようにしてみようというのが『編集術』になります」。「情報をそのような「知」にしていくことが編集なのです」。

 

 インプットとアウトプットの間にある「編集」というプロセスは普段、ブラックボックスになっている。編集学校では、それを見える化して、自在に使う方法を学ぶ。情報を集める。関係づける。構造化する。演出する。[守]の4ステップを冷麺づくりのアナロジーで説明する。編集工学が一気に参加者の身近に降りてきた。


 「らしさと地と図」のレクチャーのあと、再びグループに別れて、情報の地を動かすエクササイズ。たこ焼きをスポーツという「地」に置いてみるとビーチバレー。「確かにどちらもアツアツの上を転がりますね」。ロシアンルーレットを地にすれば、ゲーム。ヒバリなら鳥。木星は宇宙。山根師範は、参加者の回答と振り返りコメントから一つ一つ方法を取り出していく。不思議とたこ焼きの「らしさ」が浮かび上がっていく。


 次に「見立てて遊ぼう」。お題「〇〇を△△に見立ててマチナカ海水浴をする」は特に人気が高かった。「海水浴のイメージを泳ぐことにとらわれず、広げてみましょう」というヒントに誘われて、「おなかまわりの脂肪を浮き輪に見立てて」「駅のベンチで寝ている人をビーチで日焼けしている人に見立てて」など傑作が連打される。

 

 破顔一笑から間髪いれず、まっすぐな眼差しで「そう、見立て遊びって身一つで楽しめるんです。何より人に優しくなれる方法でもあるんですね」。プログラム前半の要訣が引き出されたところで、ちょうど休憩時間となった。

  • 松井 路代

    編集的先達:中島敦。2007年生の長男と独自のホームエデュケーション。オペラ好きの夫、小学生の娘と奈良在住の主婦。離では典離、物語講座では冠綴賞というイシスの二冠王。野望は子ども編集学校と小説家デビュー。

コメント

1~3件/3件

堀江純一

2025-10-02

何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

川邊透

2025-09-30

♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。

若林牧子

2025-09-24

初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。