●画面の向こうは南国だった。
ログインすると沖縄の大綱引きと高知のよさこい祭りの映像が交互に流れ、祭りが始まる高揚感が満ちている。かりゆしウェアの真武信一(師範)・渡會眞澄(師範)・萩原雄三(師範代)の沖縄ナビチーム、青いワンピースの高知ナビ・清水伺名子(師範)が出迎える。らしさを意識した装いも南国ムードを盛り上げるのに一役買っている。
ファンファーレをナビ・萩原がパーランクー(エイサーで使われる手持ちの太鼓)で告げ、8月29日、イシス祭・沖縄&高知「黒潮エディットなんごくさま祭」が幕を開けた。なぜか、ナビの脇にご当地キャラのぬいぐるみが控えている。どちらかというと渋いという形容が似合う沖縄・高知ナビチームであるがゆえの配慮か親しみやすさの演出も抜かりない。
みどころは何と言っても黒潮でつながる2県横断開催ならではの、即答ミメロギア。対比から生まれるイメージの広がりを楽しむエディトリアルゲームだ。イシス編集学校[守]コースでは学校あげてのお祭りになっているほど盛り上がる。
たくさんの沖縄とたくさんの高知を対比させ、新しい南国の模様(さま)を描き出してもらいたいとの思いから、ナビチームは全力投球でミメロギアのためにプログラムを磨いた。
南国の情報収集では、イメージをより具体的にするために沖縄・高知の写真をふんだん取り込み、鳴り物を準備し、コーナーを仕切る渡會と清水はタコライスと芋けんぴの現物を買って持ち込んだ。
ミメロギアのレクチャーは、花伝師範を歴任する真武が千夜千冊660夜「俳句と地球物理」(寺田寅彦)から「客観のコーヒー、主観の新酒かな」を引き、イメージ対同のコツを伝授。「沖縄・高知」をお題に南国ミメロギアの競演が始まった。
では、ナビの気合と期待を背負った参加者のミメロギアはどうだったか。以下の回答が物語っている。当日の作品の中からこれはという逸品をリストアップした。とくとご堪能あれ!
★赤な沖縄、青な高知
★島ネコの沖縄、土佐(闘)犬の高知
ネコのしゃなりとした優雅さと闘犬の勇ましさがハマっている。
★太陽の沖縄、月の高知
サンゴ礁にきらめく太陽(ティダ)、月の名所は桂浜。
スケールの大きな対比が絶妙。
★戦う沖縄、闘う高知
同じ音で揃え、異なる一文字で両者の違いを
ズバッとついて玄人っぽい。
★点描の沖縄、への字の高知
地図のかたちに目をつけた視点の切り替えが秀逸な一品。
★ヤンバルクイナ沖縄、タタキ食いな高知
「クイナ」から「食いな」へのブリッジが技あり。座布団一枚!
自然、かたち、人や動物、食べ物に色。南国イメージが大きく膨らみ、沖縄と高知の特徴を一対で炙り出し、広げている。いずれも即興で考えたとは思えない仕上がりだ。参加者5人がそれぞれにキソイあったからこそ、編み上がった南国の「さま」。見て、感じていただけただろうか。
イシス祭は9月26日の札幌会場まで続く。各地趣向を凝らしたプログラムで何度体験しても飽きないようになっている。興味を持ったら、今すぐ申し込みを!
しみずみなこ
編集的先達:宮尾登美子。さわやかな土佐っぽ、男前なロマンチストの花伝師範。ピラティスでインナーマッスルを鍛えたり、一昼夜歩き続ける大会で40キロを踏破したりする身体派でもある。感門司会もつとめた。
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