何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

ガラス張りの会議室を占める半円形のテーブルは参加者とスタッフでぎっしりと埋まった。廊下側から足を止めて、壁に貼られたエディットツアーのチラシを眺める人が何人も通り過ぎる。
そこは森の都。定禅寺通りのけやき並木の緑が室内からも目に入る複合文化施設せんだいメディアテークの2階だ。仙台のみならず宮城県内の女川や隣の福島、そして東京から老若男女12名が集まった。
華やかなワンピースに下駄の足元、後ろ姿は十人十色。一見して何の集まりなのかまったく分からない。机の上のノートの取り方も文字も図解ももちろん違う。それぞれの頭の中のブラックボックスが可視化していく。個人の方法に光をあてる2時間半となった。
情報の地を動かすことで、図としての仙台を言い換えるワークでは、ある参加者が「羽生結弦ファンを地にすれば、仙台が聖地になる」と回答。ナビゲーターの吉村林頭と参加者たちは「なるほど!」と膝を打つ。編集が決まるとコミュニケーションが加速する。
編集思考素を使って、仙台を3つの情報で伝えるワークでは、近くに座る参加者同士がグループとなって発表する。「すずめ踊り・ジャズフェスティバル・光のページェント」という3つの街のイベントを挙げたグループには、「『舞・音・光』と一文字に揃えて言い換えるだけでより魅力的になります」と林頭がすかさず指南。情報を着替える編集術の効果を目の当たりにした。
回答が重なっていくにつれて、他の参加者の発想を楽しむカマエが備わり、それぞれの発言がよりいきいきとして、場の求心力が高まっていった。けやき並木の木漏れ日が傾き、オレンジ色に変わってきた頃、惜しまれつつもタイムオーバー。
情報が本来持っているものを引き出す方法を手に参加者たちは帰路につく。お見送りのあと、林頭や未知奥連弦主の森由佳はじめスタッフたちは、いそいそとタクシーに乗り込み、夜の国分町でおつかれ乾杯慰労会。
林 愛
編集的先達:山田詠美。日本語教師として香港に滞在経験もあるエディストライター。いまは主婦として、1歳の娘を編集工学的に観察することが日課になっている。千離衆、未知奥連所属。
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コメント
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