道ばた咲く小さな花に歩み寄り、顔を近づけてじっくり観察すると、そこにはたいてい、もっと小さな命がきらめいている。この真っ赤な小粒ちゃんたちは、カベアナタカラダニ。花粉を食べて暮らす平和なヴィランです。
毎月公開されるEdist記事は30本以上! Edist 編集部メンバーたちから、見逃せない ”イチオシSelection” をお届けします。遊刊エディストをさらに楽しむ「エディスト・セレクション」、どうぞ。
◎遊刊エディスト編集部◎ 吉村堅樹 林頭, 金宗代 代将, 川野貴志 師範, 後藤由加里 師範, 上杉公志 師範代, 梅澤奈央 師範代、松原朋子 師範代

─ グッときた1本でPick!
「ツイッター朱子学」というちょっとお気軽なタイトルには騙されるな。
なんとなく気楽に読めるかなぁ~と思ったら大マチガイ。一口サイズのつぶやきは読めども読めどもゴールが見えず、20個目あたりで「おや?」と思う。(つぶやきがいくつあるかはあなたの目で確かめてみてください)。エディスト編集部の権限を駆使し、文字数を覗いてみたら優に12000字は超えていた。(文字数だけでいったら最新千夜1777夜『ロココからキュビズムへ』を超えている!)。
ぽつぽつとはじまるツイートは序盤を過ぎればあとは朱子学にまっしぐら。しかし、直線ではなくワインディング。至る所に千夜リンクが貼られていて、金宗代の三冊筋プレスと松岡正剛の千夜千冊が多重螺旋構造のごとく絡み合っている。
想像するに本来の「三冊筋プレス」という多読ジムのお題としては、文字数・形式ともに相当逸脱しているのだろうと思うが、いくつものつぶやきの中には思いがけず、胸に刺さるものもある(ちなみに私は53番目がグサッときた)。”今日のうらない”的に気まぐれにつまみ読みするのもいいかもしれない。
金代将が旗振りをしている多読ジムSeason6の三冊筋プレスも順次公開中。そちらもどうぞご贔屓を。 ── 後藤 由加里
夏休みの読書感想文課題記事にしたいぐらいですよ。編集工学の型や用語が満載で、編集学校に学ぶ方たちにとっては格別の読み物だと思いました。
それに触発された後藤編集部員のオススメ表現がますます閑麗になっていく気がしています。いいなぁ!

オンラインに《ないもの》を炙りだした、2021年ならではの記事です。
この記事では、1694夜『トポフィリア』を引きながら「場所庫」としての本楼に醸成されたものがつまびらかにされています。書き手は、46[破]で唯一、伝習座にリアル参加した角山祥道師範代。北原・齋藤・福田の3師範の何気ない仕草の描写に、お三方の《らしさ》が強烈に迫ってきました。
そうか、ZOOM越しでは「アカン」は聞こえない……。私はこの伝習座にオンライン参加していたのですが、そういう情報が欠けていることにさえ気づかないわけです。その人らしさが否応なく滲みでてしまう息づかいが、画面越しではごっそり抜け落ちてしまう。そしてなくなったことにさえ気づかない危うさを改めて認識しました。
いっぽうで、物理的空間をもたないイシスのバーチャル教室には、なぜトポフィリアが宿るのか。文字だけで、どうしてその人らしさが立ち現れるのか。編集学校の神秘の仕掛けにも目をむけたくなりました。──梅澤 奈央
それにしてもウメコ編集部員のおすすめコメントも、表現がますます優婉な気がするなぁ。と思っていたら、吉村編集長の今月のPickは!!!

⦿タモリ・優作・アレクサンダー 自分史作れば、わたしが増える【イシスの自分史サンプル大公開】
[破]のクロニクル編集術は、自分史と新書の歴象を重ねて再編集する稽古。今春発刊された『情報の歴史21』の編集をミニ追体験できる。そこで会得したいのは、歴史というのは、どのようにも関係づけられ、いかようにも語り直すことができるということだ。この醍醐味を文章だけで語り直すのは難しいが、編集達人・ウメ子が3度再受講した学衆の素材を愉快に調理してみせてくれた。校長もなんでも書けるウメ子のような編集力がいまはもっと必要と太鼓判である。──吉村 堅樹
マツコからは、また別のウメコの魅力をお伝えしておきましょう。
マツコ’s Plus Five ~スポーツ紙かとみまちがう“ウメコきわきわを行く”の巻。
4 マエストロ上杉’s イチオシ! 
⦿【このエディションフェアがすごい!01】ブックファースト新宿店
松岡校長の千夜千冊エディション20冊刊行を記念して始まった「千夜千冊エディションフェア」。そのスタートを飾ったのがブックファースト新宿店であり、これは米川青馬さんによるレポート記事です。
セイゴオ「ほんほん」で松岡校長も書かれているように、エディションフェアは「先頭を切った九天玄気組の中野組長チームと名古屋曼名伽組の小島組長の展示が先行モデル」に、「各地のイシス編集学校師範・師範代たちがすばらしいボランティアを推進して、各書店の店長や担当者とみごとなコラボを展開」しつつ拡大しています。
ぞくぞくと公開されている一連の「このエディションフェアがすごい!」記事もあわせてご覧ください!── 上杉 公志
最新のフェア記事はこちら↓
【このエディションフェアがすごい!28】ジュンク堂書店三宮店(神戸市)②
マツコ’s Plus One! ~編集の連鎖⛓
△ ISIS Twitter 合言葉は #知祭り

─ 流麗な文章表現でPick!
⦿イシス人インタビュー☆イシスのイシツ 【浅羽登志也の他力本願】File No.9
が素敵です。
「他力本願」というホットワードで浅羽さんの生き方を表現していますが、これって与件に応じて動く編集そのものだと思うんですよね。記事ではさほど編集術タームをつぎ込んでいるわけではないのですが、取材者の注意のカーソルはインタビュイーの編集態度に向かっていっているので、本質的なところでは、編集とはどういうことなのかを読者に感じさせる内容になっていると思いました。我が国のインターネットのクロニクルを裏側から見ている感じにもなれますね。── 川野 貴志
もともとライター歴が長いそうですね、そんな羽根田さんの目で見つめられた数々のインタビュイーが、“らしさ”はさることながら、またいつもと違う印象や表情を浮かびあがらせているのも、このシリーズのマツコ的魅力。連載10人目が目前です。10人を通じてみえてきた共通する「イシスのイシツとは?」があるのか、ないのか。羽根田さんに伺ってみたい!
みなさんのオシは、見つかりましたか?
以上、2021年6月の記事から、編集部イチオシ記事を厳選してお届けしました。
また次回もどうぞお楽しみに~
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
田中優子の酒上夕書斎|第六夕 『日本問答』『江戸問答』『昭和問答』問答三部作(2025年11月24日)
学長 田中優子が一冊の本をナビゲートするYouTube LIVE番組「酒上夕書斎(さけのうえのゆうしょさい)」。書物に囲まれた空間で、毎月月末火曜日の夕方に、大好きなワインを片手に自身の読書遍歴を交えながら […]
イシス編集学校のアドバイザリー・ボード「ISIS co-mission」(イシス・コミッション)に名を連ねる9名のコミッション・メンバーたちが、いつどこで何をするのか、編集的活動、耳寄りニュースなど、予定されている動静を […]
公開されるエディスト記事は、毎月30本以上!エディスト編集部メンバー&ゲスト選者たちが厳選した、注目の”推しキジ” をお届けしています。見逃した方はぜひこちらの記事でキャッチアップを。 今回は9月に公開され […]
【プレスリリース】新刊『不確かな時代の「編集稽古」入門』(11月13日発売)で、田中優子が学びの未来を問う
株式会社編集工学研究所(本社:東京都世田谷区、代表取締役社長:安藤昭子)が運営するイシス編集学校は、学長である田中優子による新刊の発売をお知らせいたします。 世界情勢の混乱、社会の分断、生成AI時代の不確実 […]
田中優子の酒上夕書斎|第五夕『苦界浄土』石牟礼道子(2025年10月28日)
学長 田中優子が一冊の本をナビゲートするYouTube LIVE番組「酒上夕書斎(さけのうえのゆうしょさい)」。書物に囲まれた空間で、毎月月末火曜日の夕方に、大好きなワインを片手に自身の読書遍歴を交えながら […]
コメント
1~3件/3件
2025-11-25
道ばた咲く小さな花に歩み寄り、顔を近づけてじっくり観察すると、そこにはたいてい、もっと小さな命がきらめいている。この真っ赤な小粒ちゃんたちは、カベアナタカラダニ。花粉を食べて暮らす平和なヴィランです。
2025-11-18
自ら編み上げた携帯巣の中で暮らすツマグロフトメイガの幼虫。時おり顔を覗かせてはコナラの葉を齧る。共に学び合う同志もなく、拠り所となる編み図もなく、己の排泄物のみを材料にして小さな虫の一生を紡いでいく。
2025-11-13
夜行列車に乗り込んだ一人のハードボイルド風の男。この男は、今しがた買い込んだ400円の幕の内弁当をどのような順序で食べるべきかで悩んでいる。失敗は許されない!これは持てる知力の全てをかけた総力戦なのだ!!
泉昌之のデビュー短篇「夜行」(初出1981年「ガロ」)は、ふだん私たちが経験している些末なこだわりを拡大して見せて笑いを取った。のちにこれが「グルメマンガ」の一変種である「食通マンガ」という巨大ジャンルを形成することになるとは誰も知らない。
(※大ヒットした「孤独のグルメ」の原作者は「泉昌之」コンビの一人、久住昌之)