「1.3倍、男っぽくできる?」
松岡からディレクションが入る。その時、衣笠の脳裏には、天海祐希か真矢ミキか、鳳蘭か、宝塚劇団の男役が浮かんだという。
EELでは、近畿大学ビブリオシアターのプロモーション映像を編集中である。1階「NOAH33」の原稿は橋本が仕上げ(推敲6回)、小森が仮映像をあてた。7CHAに肖った全体構成と33テーマ、近大生のためのニューオーダーな図書ラインナップ。NOAH全体を包む「本然」の書。ノアの方舟ならぬ、近大の「知の方舟」が映像化される。
ナレーションは衣笠が担当する。
前日の松岡ディレクションを受け、池田昌子のメーテル(これは小森ディレクション)に、宝塚男役がじわりと混ざるイメージで、外苑前のMAスタジオ「イクシード」で本番収録した。
映像ディレクター小森と全体ディレクター吉村から、当日もナレーションへの指示が飛ぶ。
「流れてるね」「すべってる」「一拍あけようか」「所々、ほにょほにょしてる」「2段階ハイトーンに」「ちょっと気が抜けてる」「少し間を詰めようか」「軽く焦ってる感じ」「つなげなきゃいけないけど慌てずに」…
20をこえるパターンの調整指示が入る。長音とn音とサ行が苦手な衣笠が受けとめて、破裂音や半濁音を響かせる。
完成映像は、6月にはご紹介したい。漫画と文楽がインタースコアする2階「DONDEN」の映像の様子は、
スーパーライターうめこさん(梅澤奈央師範)の「近大文楽シリーズ」をご覧あれぇ、いかに。
[編工研界隈の動向を届ける橋本参丞のEEL便]
//つづく//
橋本英人
函館の漁師の子どもとは思えない甘いマスクの持ち主。師範代時代の教室名「天然ドリーム」は橋本のタフな天然さとチャーミングな鈍感力を象徴している。編集工学研究所主任研究員。イシス編集学校参丞。
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