明日on air アブダクションは清張に学べ

2019/12/14(土)12:21
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12月15日(日)に放送されるBSフジ「松本清張 ニッポンの謎に挑む」に、セイゴオがVTRで登場する。
かつてセイゴオは、テレビ番組『ニュードキュメンタリードラマ昭和』で企画構成を担当し、監修・コメンテーターをつとめていた松本清張の姿を間近で見続けてきた。そのとき戦後昭和史にどっぷりつかったと同時に、清張の創作の秘密の一端にふれたという。清張の卓抜な推理力について、セイゴオは千夜千冊で次のように綴っている。

―――資料でわかる情報には必ず限界がある。そこでどこかですっぱり「見切り」をつける。ここからの転換が速い。不足分を推理と構想で補っていくのである。このとき注意すべきは、推理だけでは補えない筋書があるということであるという。むしろ構想こそが必要らしい。その構想が「見通し」で、その見通しにもとづいて、逆に推理の手順をくみたてる。推理はあとから理屈づけるためについてくるらしい。
289夜 松本清張「砂の器」 https://1000ya.isis.ne.jp/0289.html

この「見切り」と「見通し」によって社会や歴史にひそむ“暗号”を浮き彫りにする手法が、清張の真骨頂なのだという。セイゴオのアブダクション的方法のルーツは、松本清張の推理力にあった。とくに日本古代史の謎に独自の仮説でせまった『清張通史』(全6巻,講談社)に編集的視点を教わったと、セイゴオはTV取材のなかで語った。他にもなぜ日本信仰の起源をたどろうとしたのか、なぜ晩年に天皇に関心をむけたのか、清張のアブダクション仮説の射程はどれほど広かったのか、と“社会派ミステリー作家”という肩書におさまらない松本清張の深淵に切りこみ、その魅力をいかんなく紹介している。

番組名:BSフジサンデースペシャル『松本清張 ニッポンの謎に挑む』
http://www.bsfuji.tv/matsumotoseicho/pub/index.html

放送日時:2019年12月15日(日)18:00~19:55
出演者:
<スタジオ出演>
阿刀田高(作家)
山本一力(作家)
郷原宏(文芸評論家)

<VTR出演>
みうらじゅん(イラストレーターなど)
松岡正剛(編集者・著述家)
五木寛之(作家)
ほか

  • 寺平賢司

    編集的先達:カール・ゴッチ。松岡事務所の期待のホープとして、千夜編集部やプロジェクトを仕切る。フィリピン人の母と日本人の父をもつハーフボーイ。調子のよさでは右にでるものがいない。

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コメント

1~3件/3件

堀江純一

2025-10-02

何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

川邊透

2025-09-30

♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。

若林牧子

2025-09-24

初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。