遊刊エディストは創刊から4回目の新年を迎えました。今年も、編集部恒例の「エディスト新春放談」をお届けしてまいります。エディスト・ライターやニューカマーをゲストに招き、2023年の新たな展望に野望、夢想に妄想まで、新春から放談していきます。
「其の弐」は、2022年にエディストを盛り上げた講座関係のこの方々がゲストです。どうぞ存分にお楽しみください。
◎遊刊エディスト編集部◎
吉村堅樹 林頭, 金宗代 代将, 川野貴志 師範, 後藤由加里 師範, 松原朋子 師範代, 上杉公志 師範代, 梅澤奈央 師範,穂積晴明 デザイナー
◎ゲスト◎
[守] 石井梨香番匠、景山和浩番匠
[破] 北原ひでお師範、中村まさとし師範
[花伝所] 深谷もと佳 花目付、林朝恵 花目付
●目次:
エディストが当たり前になったからこその[守]エディスト、その在り方とは?
[破]で起きる「事件」をまるごとエディストする
2022年、[花伝]エディストが際立った!
2023年、エディティング・キャラクターの突出へ向かう講座系エディスト
後藤 明けましておめでとうございます! さっそく、まずは[守]から、石井番匠、景山番匠にお話を伺っていきます。 2022年で印象に残っていることはありますか。
景山 [守]では阿曽祐子師範、森本康裕師範ら、師範として2~3期経たメンバーが積極的にエディストにかかわってくれ始めたことです。師範として、師範代や学衆の様子を伝えたいという思いもありますし、エディストに載ることで稽古のモチベーションも上がってきます。講座とエディストの相乗効果がうまく回り出したように感じています。
石井 今日の放談前にエディストを見返していたんですが、48[守]の頃からエディストへ寄稿し始めたのですよね。あの頃は、学衆さんにインタビューをしたり、師範と師範代が協力して書いたり、2チームの師範が協力して記事を作成したこともありました。
49[守]で印象深いのは、平野しのぶ師範が師範代たちと一緒に、編集力チェックの分析レポートをまとめていましたね。
後藤 48[守]は、修了後の座談会もありましたよね。エディストを講座運営に使っていただいている印象がありますが。
🐰の差し入れ
🐇ポケモン・たかじん・走る女に脱ぐ男―48[守]師範代座談会
🐇REMIXはあちこちで起こる―48[守]師範代座談会2
石井 景山さんのおっしゃるように、阿曽師範と森本師範がけん引してくれて、何かあると書いてくださっています。50[守]の佐藤健太郎師範、堀田幸義師範、阿部幸織師範、若林牧子番匠たちのおかげで途切れなく記事が出ていますし、それぞれの得意手も表現されている気がしています。ただ、私自身は吉村林頭からは宿題をいただいているんですよ。書き手それぞれの「エディティング・キャラクター」が際立つように、その人らしい特集をやってみたり、師範ごとにお題を変えた方がいった方がいい、と。
後藤 なるほど。2023年には、師範が連載シリーズを持ってもいいですよね。
石井 竹岩直子さんがお仕事のことから編集を語っている姿を見て、そんな風にできたらおもしろいかなと。
吉村 石井梨香番匠はチーム名を料理してみるリカちゃんクッキングをエディストされたこともありましたが、ご自身が、今後エディストでメディエーションするご意向はどうですか?
🐰の差し入れ それは、2020年夏のことだった。
石井 康代学匠には、小説家みたいに見えるよといわれていて。風貌ですけれども(笑)。
石井 私が書きたくなるのは、学衆さんたちのコメントに触れた時。ふとした振り返りなどに、えーーー!!!という瞬間があるんですよね。そうすると書きたいと思うんです。どっかからやってきたものがあると書きたくなるというか、師範代や学衆さんの言葉に呼応して書きたいと思います。それと、本当はDustを書けるようになりたいけれども、井ノ上シーザー師範からぜんぜんDustじゃないといわれてしまって(笑)。だから私も、いつかDustを。
金 いま、シーザーはDustマンとして新たな冒険に出かけていますね。
吉村 家政婦は見た!のパロディで、「石井番匠が見た!」という講座記事はいいんじゃないかな?
梅澤 おぉー、それは読みたいです。
吉村 「皆さん見ました!? 恒久師範の得意げな顔! 確かに伝習座であの一言が流れを変えたんですよ。」みたいな(笑)。
上杉 堀江さんの「マンガのスコア」は残念ながら連載が終了してしまったので、今はDUSTカテゴリーには「オツ千」と「エアサックス加藤」しかないので、DUST記事は急募したいですね。
マツコ 石井さん、新春、DUSTを狙いませんか?!
吉村 番匠が師範にディレクションしていくときには、モードが重要になってきますね。ご本人が乗れるモードが大事です。記事全体を3ブロック程度に分けて、それぞれにどんな情報をいれるかを考えてみるのもいいでしょう。師範たちともじっくりと話してみるのがいいと思います。この人だったら、こういうことだったらやりたいと思うのかな、ということを話しながら引き出す。それから、メディエーションの方法を限定的に見ない方がいい。写真やイラストや音楽や声、いろいろなメディア・メソッドが考えられます。
金 「本人が乗れるモード」を作るというのは実はいちばん重要ですね。
石井 師範・師範代は、誰もが特徴を持っていると思います。例えばアイドルママこと新井和奈師範は負けず嫌いで根気強く頑張る方ですし、阿部幸織師範はどこかおもしろいんですよね。どうやって引き出したらもっと面白いのかというのが、まだつかみきれていない。どうしたらそれぞれの“らしさ”や面白さが伝わるのか、発見していきたいですね。
後藤 少し話題がずれますが、師範代や学衆さんがエディストを読んでいるのか、どうやって記事を渡されているのか、伺ってみたかったんです。
石井 稽古模様を記事に取りあげるときに、学衆さんのお名前は伏せて掲載しているのですが、掲載があるとその教室の師範代が勧学会で伝えてくれます。それに学衆さんが答えているというのが多いパターンですね。あとは、別院でも、師範代や師範の自己紹介が始まるときに、エディストのアーカイブがいっぱい紹介されています。伝習座の記事などから、ぴったりくる記事を選んでリンクを張ったり、師範が登場する記事を案内したり。選べるぐらい記事がたくさん溜まってきているので、引用したり、全てを書かずにこれをみれば分かるよとリンクを張ったりすることもあります。
金 活用していただいて何よりですね。ハイパーリンクの編集はウェブ記事ならではのことでもあるし、リンク貼りって結構、楽しくもありますよね。
石井 森本師範がエディストを引用するのが上手ですね。卒門後に待っている[破]のことも、エディスト記事を使って勧学会で紹介しているので、充実してきているなと思います。今では、エディストがあって当たり前な世界になっています。
川野 僕らが講座をやっていた頃、以前の学衆さんだったら汁講まで気が許せなかった人もいると思います。でも今は画像交じりのエディスト記事がいろいろあれこれみられるのは、稽古へのハードルを下げる方向に作用する感じがして、いいですね。
石井 そうですね。かつては教室でのテキストだけのコミュニケーションで、SNSもない時代でしたから、男性か女性か分からない状況で、汁講(オフ会)ではじめてFace-to-Faceで会いましたし、その時に「え、女性でしたか?」みたいになるのがよかったんですが(笑)。
後藤 私が2回目の師範代の時には書籍の『インタースコア』しかなくて、インタースコアに載っている人だけは顔がバレているということがありました。
石井 最近ではエディストがあるので、「こんなものがのっていました」とか「○○師範の顔を見てしまいました、僕!」みたいなことも聞かれます。最初から指導陣がこういう人たちだと分かる状態は、安心して学衆さんたちが回答を出せるということにつながっていると思います。
吉村 僕らの頃(20期[守][破])は、指導陣の顔を知りませんでしたからね。
石井 “AI”が指南しているとまでは思われないんですが、本当に生身の“人”が指南しているのだろうかとか、もしかして複数人数でやっているのかとか、指南のパターンが用意されてそれを返してきているだけかと思っている学衆さんも中にはいます。汁講で顔を合わせて、ああ普通の人間だったんだと分かった学衆さんがいたんですよね(笑)。そういう方はエディスト記事があると安心するのだと思います。
後藤 森本師範が[破]について紹介しているということですが、その先の[花伝所]の記事は[守]の学衆さんたちは読んでいるんですか?
石井 かつて花伝所メンバーが実施したエディットツアーに[守]の学衆さんが参加していることがありましたので、読んでいる方もいるのだと思います。
吉村 石井番匠は長く[守]に師範、番匠として関わってきてくれています。エディストが始まる前といまの変化は感じていますか。
石井 なんていうんですかねぇ…、混ざり合う感じが増えたというか。昔は、師範をやってくださいと依頼を受けても、正式に報告されるまでは他言無用でした。今は、決まったらエディストでどんどん情報が出ていきます。次の番匠ロールが誰かをエディストで知る、ということもあって、知ったもの勝ちという情報の在り方があたりまえになったと思います。
吉村 僕はそういう状態を望んでいたんですよね。エディストのロゴの横に「ISIS編集の国メディア」と謳っているのに気づいてもらえているでしょうか。僕はずっとイシス編集学校自体を「世界」だと捉えています。「世界」は同時にいくつあってもいい。ただ、社会の複雑性に対応しようと思ったら、ISISの中にも複雑性がないと対応できませんからね。
石井 今は学衆さんの方がより知っているということもありますね。ピラミッド型ではないというか、上の人だけ情報を知っていてそれ以外の人は知らないのではなくて、誰でもいくらでも情報が知れるようになっていて、それを当たり前のこととして、編集学校はこれからも動いていくのかなと思います。
⦿ゲスト:
北原ひでお師範
中村まさとし師範
後藤 つづいて、[破]から、北原師範とまさとし師範、お待たせしました。2022年は、[破]エディストを存分に盛り上げて下さいました。
北原 2022年、48[破]は少数なれども精鋭、でしたが、49[破]はセイゴオ知文術の課題本10冊中6冊を入れ替えたり、ビジュアルクロニクルのお題化をしたりなど、様々な改編が行われました。師範代も学衆さんもしっかりその改編についてきていただいていて、人数も内容も充実した期になっていると思います。年が明けて、物語編集術、プランニング編集術で、どのようなものが出てくくるのか楽しみです。
中村 私にとっての2022年は「事件」だらけの1年でした。学衆と師範代、師範代と師範のひりひりするようなやりとりも多くあったし、お別れも言わず急に去ってしまった人もいた。私の感想ですが、世の中は、「事件」を率直に見ることができにくくなっているのではないでしょうか。人々が共感できることや思いを重ねられるコトはどんどん薄っぺらくなってしまっている。そんななかで、[破]で起きる「事件」が、ひとつひとつ、重みを持つようになってきた1年でした。新しいお題や、P1グランプリも、そんな目で見ています。
北原 私も、48[破]は渡辺高志師範の逝去という出来事があって、外向けの言葉が出ず、自身の言葉の力のなさが身に染みた期になりました。感門之盟、49[破]伝習座の記事をエディストで書かせていただいたことで、私自身は[破]の当事者でありながら、外との間に立って観察者として書くという視点が少し身に付いたように感じています。
中村 今までは評匠も、[破]の別院に書いていたのですが、[破]の方法は世の中にもけっこうあります。学衆のみなさんには、お題からアウトプットへ、という稽古の道筋と同時に、表象からお題を考えるという視点も軽くもってもらったほうが、稽古が楽しくなるのではないかと思います。また今は教室の外から見ている未来の学衆さんには、編集学校への誘いになれば、と思って書いています。
上杉 編集部としては、特に、評匠Nと評匠Kが展開する「hyo-syoちゃんねる」が始まったことは大きな出来事でした。
後藤 評匠というロールは[破]にしかいらっしゃらないのですよね。評匠が[破]を語っていくことはエディストしても待ち望んでいたことと思います。
北原 「hyo-syoちゃんねる」は、まさとし評匠の発案で、48[破]で、師範とは違う角度で破の稽古を語る別院コンテンツとして開始されました。49[破]では、やはり、まさとし評匠にリードしていただき、エディストでの発信となりました。
中村 [破]の「hyo-syoちゃんねる」でありながら、やっぱり[守]が見えるようにしていきたいんですね。[破]を面白く語ろうとするとどうしてもテーマ性や物語性が表に出やすいのですが、基本はあくまで方法ですし、編集工学ですから。大変そうなことほど分けて、分かるように。ダンドリをつくって、ダントツに向かうのがハイパーですからね。
🐰の差し入れ まさとし師範が話をしていらっしゃるよ!
北原 まさとし師範のねらい通りというか、「hyo-syoちゃんねる」があることで、イシス編集学校と社会の間に立って、[破]に向けてメッセージを送るコンテンツに変化してきていると思います。
中村 みなさん、記事は面白く読まれているでしょうか? 稽古と社会の「あいだ」に立ちながら書くというのは、やや暗中模索のところもあるので、受け入れられているか不安なところもあります。実は、[破]の方法は世の中にもけっこうあります。学衆のみなさんには、お題からアウトプットへ、という稽古の道筋と同時に、表象からお題を考えるという視点も軽くもってもらったほうが、稽古が楽しくなるのではないかと思います。また教室の外から見ている未来の学衆さんに、編集学校への誘いになれば、と思って書いています。
吉村 評匠のお二人には、現在も担っていただいていますが、2023年はさらに講座全体、伝習座やP1までディレクションの指針になってもらいたいと思っております。どうぞよろしくお願いします!
では、ここから花伝所のお二人にも交っていただきましょう。
⦿ゲスト:
林朝恵花目付
深谷もと佳花目付
後藤 2022年は、深谷花目付、林花目付を筆頭に、[花]エディストに新企画や賑わいがありました。
林 花伝所のエディスト記事は、前期にはM5を一つ一つ書いていくなど、毎週コース自体がわかりやすくステージがかわるので、連動して記事にしていきました。
深谷 林花目付はボードメンバーがリレーでつなぐJUSTシリーズを采配してくれました。まずは書いてみる。「編集」が動詞であることを花伝所の師範たちが率先して体現したことを誇らしく思っています。
林 方針を、何を書いてもいいですよ、としたんです。そうすると、目の前で起こっていることをJustとして書きたくなるようですね。まあ、その方がニュースっぽいですよね。
後藤 苦労はありましたか?
林 書き出すと皆さん記事が長くなりますね。書きたいことがあふれてくるのでしょう。論旨がおかしかったら直したりしますが、私の役割はその程度です。初稿がギリギリになってあがってくるのですが、ぎりぎりまで旬を待ちたいというか。期限が書くモチベーションを維持している気がしますね。自分が担当する週には、皆さんスケジュールをあけてくださっているようですね。
吉村 記事の書き方はもっと磨けるだろうと思っているのですが、花伝所のエディストをもっとこうしたいという点は?
林 「編集工学」というものを、まだ記事として着こなすのが大変なのかな。それから、もっと自分の言葉で語る記事になっていくといいのかなと思います。花伝式目に書いてあることと、現場で起こったことの引用、松岡校長の引用がどうしても多くなります。
吉村 タイトルが少し固いのと、ジェネラルに書きすぎているかな。
林 タイムリーに、Justな感じで、毎週軽めに書くといいのかもしれません。みんな割とかっちり書きたいのかもしれませんが、新しい流れをうみだしてくれるライターがでてきてくださるのもいいですね。
吉村 それぞれの花伝師範たちがキャラクタライズされていくとユニークになりますね。
林 記者然とするのはできると思うのですが、ライターとしてこの人だからこその記事を書く、というところまでは、まだまだですね。
吉村 平野(しのぶ)師範だったら、ビジネスとか旅をした街のエピソードから始めるとか。嶋本(昌子)師範は英語が堪能なので、世阿弥の一説を英訳するのを毎回入れてみるということもできそうです。
林 そうですね、師範然として書きたいということがあると思うんですが、加えて、独特な見方をフィルターに花伝を見ていたらおもしろいかもしれませんね。
吉村 深谷さんの「週刊花目付」は、深谷花目付らしいモードが立っていますよね。そこにトーンをそろえずにやっていただいてもいいと思いますよ。
林 記事を書く人も、画像デザインとコラボレーションする感じが楽しいようです。
上杉 2022年は師範がナビゲーターとなるエディットツアーのアイキャッチ画像をはじめ、花伝エディスト記事のアイキャッチ画像は、阿久津健師範が花伝師範と並行されながらすべてデザインされましたよね。
林 阿久津師範は大変だと思いますが、自作よりも、アイキャッチ画像をほかの方に作ってもらう方が相互編集的ですよね。阿久津さんはエディスト・カメラ部にも参加していたり、[AIDA]でテクニカル・スタッフもやったり、2022年に初めて花伝師範もやっているので、アイキャッチまでお願いするのは大変だなと思って。でもお願いしたら、そんな中でも対応してくださっています。
梅澤 阿久津師範に「夜中にスフレを焼いたんですよね?!」と話したら、そんなところをみてるんですか? って驚かれましたが、読者が気になったのはその手間暇を惜しまない姿勢だと思います(笑)
川野 すごいですよね。エディストのカバー画像のためにスフレを焼くという…。
吉村 アイキャッチのデザインは、阿久津師範にぜひ続けてほしいですね。
石井 [守]の指導陣として輝く方もいれば、[破]で開花する方もいます。[花伝所]でより輝きだしたのが阿久津健師範だと思います。今期は、阿久津さんのアイキャッチ画像のデザインがレベルアップした感じです。
🐰 2023年、エディティング・キャラクターの突出へ向かう講座系エディスト
後藤 では、そろそろ、みなさまからぜひ2023年の抱負を!
景山 講座に携わる者は、やはり講座のダイナミズムをエディストで伝えたいと思います。そのためにはJUSTを充実させること。「いま、師範ミーティングです」、「今日が番ボーの締め切りです」、「いま、同朋衆が講評を書いています」、「卒門へラストスパートです」など、講座の今を伝えたいと思います。…と、実はずっと言っていますが、実行できず。2023年こそです。
石井 私は、いよいよ、それぞれの師範だからこそ書ける記事をやりたいなと思います。
深谷 「別紙花伝」を、シリーズとして軌道に乗せたいですね。師範有志が様々に編集工学語りをする不定期シリーズとして構想しています。花伝所のみならず編集学校の「秘すれば花」を解くシリーズにしていきたいです。
林 私の方は、師範が自分の得意なモードを記事の中で表現してみるということに挑戦してみたいです。それと、阿久津アイキャッチの新たな展開というのを構想してみたいですね。
吉村 エディストとしての抱負ももちろんですが、講座としての抱負はありますか? [守]では、初企画として、田中優子先生の[守] 特別講義が1月15日に予定されていますね。
石井 学衆の様子を見ていると、師範代を超えるものを持っていることがあります。学衆が師範代の気持ちになったり、師範代が師範を超えていったり、より一層、相互編集が交ざり合いながらうごめくように成長していくようになるとおもしろいんじゃないかな。苗代をきれいに植えて順調に育っていくのではなく、ジャングルの中で育ちあうような風になっていきそうな気がしています。
吉村 いいですねぇ。僕の中では、[守]の学衆数が2023年秋には軽々200人を超えるという目論見でいます。
川野 それは強気ですね。
吉村 ずっとそう思っているんですよ(笑)。2023年は「編集力チェック」も刷新されます。師範によるエディットツアーも充実するでしょう。いくつものの施策や活動が連動して多くの学衆さんが入ってくださるんじゃないかと期待します。
景山 そうですね。[守]は編集学校の入口です。[守]が元気だとイシス全体が元気になると思います。しかも、思いを同じにするひとだけでなくいろんな考えを持つ人が学ぶと、よりスリリングで面白くなります。そのためにも様々な分野の学衆が集まるようにしたいですね。大学生、会社員、自営業、主婦など。できれば1期最低20教室200人が続くようになるといいなと思います。そんな魅力のあるイシス編集学校にしていきたいですね。
北原 入り口である[守]のお二人からの2023年抱負を受けて…、[破]は「松岡正剛の仕事術」ですから、社会からも、つまり現在[破]を受講していない編集学校関係者にも今の[破]をイメージしてもらいながら、[破]の受講生には、自分たちの稽古と社会とのつながりを意識してもらえるコンテンツを目指していきたいと個人的には思っています。
中村 もっと没入できる[破]にしていきたいですね。
川野 それはいいですね。
中村 自分対お題、ではなく、自分ごとお題、というような。「知文を書く」「物語を書く」といったそれぞれの編集術のゴールは、やはり学衆さんにとって大きいもので、そこをダンドリにしているわけですが、その段取りに向かうルーティーンというか、構えのつくり方をもっとわかちあってハイパー度を高めていきたいと思います。
北原 [破]が、編集術の実践的な適用を身に付ける場である以上、方法を体得するだけでなく、そのアウトプットがよいモノになることが大切だと思っています。松岡校長の方法を使って、社会性を持ちながら、今まで見たことがない、そのようなハイパーなアウトプットが生み出される場にしていくことを目指すこと、そのための研究、実証が重ねられる場になるといいですね。
深谷 花伝所は、私がこのロールに就いてから、38[花]でちょうど10期、5年になります。この間、講座としては一貫して編集工学の洗練へ向かってきました。試行錯誤の連続で、上手くいかないこともありますが、大きな手応えも感じています。階段に喩えると、38[花]はちょうど踊り場に差し掛かったところかも知れません。ボードのメンバーはどう思っているか分かりませんが、講座史のなかではここまでが「守」、そしていよいよ「破」へ向かおうとしている局面にさしかかっているように見ています。
吉村 前から花伝所の道場それぞれにカラーが出た方がいいと考えています。たとえば、むらさきは阿久津さん、くれないは(中村)麻人くん、というように。ほら、長嶋茂雄はずっと巨人でしょう。ころころ変わらずに、わかくさは、草萌ゆる兆しを愛おしみ、くれないは燃え盛る炎の如き激しい鍛錬、というようなそれぞれのイメージがあってもいい。それと、スカウトですね。野球もサッカーも、小学生や中学生ぐらいから調査していますが、花伝師範や花目付は、学衆へ[守]などの早いうちから師範代にスカウトするといいと思っています。入門前からでもいいぐらいです。
景山 [守]は、2022年にメモリアルとなる50[守]を迎えました。目的意識の高い学衆が集まったと思っています。たとえば、別院でも学衆同士でコミュニケーションが始まっています。50[守]の学衆さんには、師範代をぜひ目指してほしいものですね。のみならず、イシスの様々な場面で活躍してほしいと思います。スカウトですね。
林 景山さん、ぜひにです。[花伝所]では、トップダウンではなく、師範それぞれが自分たちでもっと自律的に考えていけるようにしたいと思っています。それから、今後は講座連携も意識していきたいところです。社会で編集を起こしていくという大きい展望に向かうには、これからどういう人材を育成していきたいかということを、花伝所だけではなく、講座横断的に検討してく必要があると思っていて。イシス編集学校内では人がいろいろと循環していますし、新しい人をまねき入れて指南していく花伝でもありたい。2022年はいろいろと立ち上がった年だったので、2023年は前にもっと花伝所が出ていく時期かと思います。
深谷 私は、花伝所はやっぱり「型」じゃないかと思っています。花伝式目5Mが「Model:型」に始まる意味は大きいですし、そのことがISIS花伝所のユニークネスを支えていると思います。この「型」を、もっともっと自在に運用するための指導メソッドを洗練させて行けたら、いよいよISISは社会や時代に打って出られるだろうと思っています。まだまだ私を含め指導陣たちも「型」に迷っているんですよね。その辺をなんとかして突破していきたいと、アレコレ策を練っているところです。
吉村 2023年も[守]、[破]、[花]それぞれでのさらなる再編集も、連動しての相互編集にも期待しております。ありがとうございました。
「其の参」 に続く…
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2023年 新春放談
其の壱 – エディストは「卯報雲展」なメディアになる (1月1日 0時公開)
其の弐 – [守][破][花]の卯年、エディティング・キャラクターの突出へ向かう (1月1日 19時公開)(現在の記事)
其の参 – 言語聴覚士は、迷いながらもメタファーで綴り続ける(1月2日 公開)
其の肆 – 2023新春放談 其の肆 – カメラ部の2年目は“ISISビュアル祭り”を!(1月3日 公開)
其の伍 – YADOKARIの野望?夢想?「指南・多読・意匠」への思い(1月4日 公開)
其の陸 – 編集部の卯年、跳ねて弾けてさらなる編集的高みを目指す!(1月5日 公開)
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
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