イドバタイムズ issue.17「編集初め」はにぎやかに~卯年お正月エディッツの会レポ

2023/01/30(月)08:01
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松の内明けて集えるウサギたち

 

 お正月気分も一区切りの1月8日(日)、北海道から石垣島まで、真夜中の海外からも、合わせて38名がZoomの前に集まった。
 2023年の「お正月エディッツの会」のスタートだ。まずは、うさぎっぽいものを探してくるミニ編集ゲーム。この日のために手づくりしたうさぎのマスコットや紙でつくったピンクのうさぎの耳、もこもこの毛布やふわふわの帽子、たくさんのぬいぐるみや絵本が、参加者の笑顔とともに登場した。

 

お雑煮の餅はどうなるオノマトペ

 

 

 続いては、「お正月写真でオノマトペ」のコーナーだ。お正月写真から「音」を想像し、声に出す。ぷく、びよ~ん、プシュプシュ、ちゅー、げふげふ、えほえほ… 聞こえてくる声や画面上に書き出された文字に刺激され、次々に出てきたオノマトペから、お餅が焼けて、爆発して、お汁を飲んで、のどに詰まってと、予想を超えた「お餅の冒険物語」が浮かび上がった。

 

縁起物分けて集めて掛け軸に

 

 お正月っぽい写真を見ながら声を出し、ウォーミングアップができたところで「縁起物絵解き」が始まった。おめでたい掛け絵からモデルを取り出して、「型」を使って、自分でも描いてみるワークだ。

 

 ナビの大濵朋子さんは美術の先生でイシス編集学校の師範代。『懸蓬莱図』に盛り込まれている「長寿」「気の充実」「願い」を、「長いもの」「元気にしてくれるもの」「必要なもの」の三位一体と言い替えた。
 参加者は、自分の三点セットを思い浮かべ、縦長の紙に描いていく。新年の抱負を添えて、今年の掛け軸が出来上がった。

 

 

 

 

タタタタタ タタタタタタタ タタタタタ

 

 最後は、こどもVSおとなで俳句づくりに挑戦した。ナビの一倉広美さんが、季節の言葉を入れることと「タタタタタ タタタタタタタ タタタタタ」なのだということを、例をあげて軽快に伝える。シンキングタイムの5分を待たずに、チャットへの書き込みが始まった。
 お年玉・買ったもの・欲しいもの、かがみもち・お雑煮・きなこもち、おおみそか・はつもうで・おみくじ、前の句に引っ張り出されるように言葉が重なっていく。高速でまねるとまなぶが沸き起こり、10分間で33の俳句ができた。


 うさぎっぽさを探し、オノマトペでお正月を音にして、願いを託して絵を描くことで、お正月のイメージやシソーラスが広がり、俳句という型に結実した。

 小さな子どもから大人までが同じお題を遊べた「お正月エディッツの会」。その理由と魅力を言語化することで子ども編集学校はもっと社会とつながっていける。そんな予感がふくらむ会でもあった。


 エディッツの会の数日後、参加者のお子さんが、急に「タタタタタ タタタタタタタ タタタタタ」と口ずさんだという。
 子ども編集学校は、「スキルの積み上げ」を目指してはいない。「型」を繰り返し遊んで、体になじませていくことを重視している。その過程で、たくさんの「わたし」や道や考え方に出会ってほしい。

 

 春にもう一度俳句を取り入れたワークを考えている。
「タタタタタ」のリズムが身体に刻まれていけば、お正月は俳句のアウトプットに至らなかった子どもたちからも、つぼみが開くように言葉が出てくる気がする。

 


==== お正月エディッツの会 ====

◎企画構成:子どもプランニングフィールド
◎ワーク担当:
・景山卓也(師範代&出版社)
・神尾美由紀(師範代&SE/子ども札幌支局)
・大濱朋子(師範代&美術教諭)
・一倉広美(放伝生&企業広報・俳人)
◎司会進行:上原悦子(師範代&行政)

主催:イシス編集学校 子ども支局
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◆子ども編集学校プロジェクトサイト
 https://es.isis.ne.jp/news/project/2757

 (ほぼ毎日更新中)フェイスブックページ
 https://www.facebook.com/kodomo.edit

 

◆お問合せ:kodomo@eel.co.jp

 イベントや子どもフィールドに興味がある方は、お問い合わせください。


活動主体:イシス子ども支局
神尾美由紀、長島順子、景山卓也、上原悦子、得原藍、
浦澤美穂、吉野陽子、松井路代、石井梨香、野村英司
学林局長 佐々木千佳

 

文:石井梨香

  • イドバタ瓦版組

    「イシス子どもフィールド」のメディア部。「イドバタイムズ」でイシスの方法を発信する。内容は「エディッツの会」をはじめとした企画の広報及びレポート。ネーミングの由来は、フィールド内のイドバタ(井戸端)で企画が生まれるのを見た松岡正剛校長が「イドバタイジング」と命名したことによる。

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-22

 小学校に入ってすぐにレゴを買ってもらい、ハマった。手持ちのブロックを色や形ごとに袋分けすることから始まり、形をイメージしながら袋に手を入れ、ガラガラかき回しながらパーツを選んで組み立てる。完成したら夕方4時からNHKで放送される世界各国の風景映像の前にかざし、クルクル方向を変えて眺めてから壊す。バラバラになった部品をまた分ける。この繰り返しが楽しくてたまらなかった。
 ブロックはグリッドが決まっているので繊細な表現をするのは難しい。だからイメージしたモノをまず略図化する必要がある。近くから遠くから眺めてみて、作りたい形のアウトラインを決める。これが上手くいかないと、「らしさ」は浮かび上がってこない。

堀江純一

2025-06-20

石川淳といえば、同姓同名のマンガ家に、いしかわじゅん、という人がいますが、彼にはちょっとした笑い話があります。
ある時、いしかわ氏の口座に心当たりのない振り込みがあった。しばらくして出版社から連絡が…。
「文学者の石川淳先生の原稿料を、間違えて、いしかわ先生のところに振り込んでしまいました!!」
振り込み返してくれと言われてその通りにしたそうですが、「間違えた先がオレだったからよかったけど、反対だったらどうしてたんだろうね」と笑い話にされてました。(マンガ家いしかわじゅんについては「マンガのスコア」吾妻ひでお回、安彦良和回などをご参照のこと)

ところで石川淳と聞くと、本格的な大文豪といった感じで、なんとなく近寄りがたい気がしませんか。しかし意外に洒脱な文体はリーダビリティが高く、物語の運びもエンタメ心にあふれています。「山桜」は幕切れも鮮やかな幻想譚。「鷹」は愛煙家必読のマジックリアリズム。「前身」は石川淳に意外なギャグセンスがあることを知らしめる抱腹絶倒の爆笑譚。是非ご一読を。

川邊透

2025-06-17

私たちを取り巻く世界、私たちが感じる世界を相対化し、ふんわふわな気持ちにさせてくれるエピソード、楽しく拝聴しました。

虫に因むお話がたくさん出てきましたね。
イモムシが蛹~蝶に変態する瀬戸際の心象とはどういうものなのか、確かに、気になってしようがありません。
チョウや蚊のように、指先で味を感じられるようになったとしたら、私たちのグルメ生活はいったいどんな衣替えをするのでしょう。

虫たちの「カラダセンサー」のあれこれが少しでも気になった方には、ロンドン大学教授(感覚・行動生態学)ラース・チットカ著『ハチは心をもっている』がオススメです。
(カモノハシが圧力場、電場のようなものを感じているというお話がありましたが、)身近なハチたちが、あのコンパクトな体の中に隠し持っている、電場、地場、偏光等々を感じ取るしくみについて、科学的検証の苦労話などにもニンマリしつつ、遠く深く知ることができます。
で、タイトルが示すように、読み進むうちに、ハチにまつわるトンデモ話は感覚ワールド界隈に留まらず、私たちの「心」を相対化し、「意識」を優しく包み込んで無重力宇宙に置き去りにしてしまいます。
ぜひ、めくるめく昆虫沼の一端を覗き見してみてください。

おかわり旬感本
(6)『ハチは心をもっている』ラース・チットカ(著)今西康子(訳)みすず書房 2025