50[破]の第2回伝習座を写真で辿る「まなざしの奥にあるものは」も、いよいよ最終視。ここまでの道のりを思い起こしつつ、更に奥へと進もう。
本楼入口にある窓から差し込む光が橙色味を帯びる頃、伝習座は更なるハイチャージへと向かう。
背後にそびえ立つ本棚がよく似合う評匠の高柳・北原ひでお・中村が言葉のリレーをする。
3人が編集学校の門を叩いたのは遡ること20年以上も前。創成期だ。
「学衆の変化の瞬間を捉えた電圧のかけ方を磨いてほしい」。「設定したテーマの先にあるものを捉えていこう」。「“やってみる”からどのように“やるか・やらないか”に持っていくか」。重鎮たちが師範代に送る言葉は、師範代の南を照らした。
■今とこの先のターゲットを見据えて
舞台袖でこの日の伝習座を見守り続けた林頭吉村堅樹が満を持して登壇。
「虚に居て実を行うべし」。まずは、校長が方々で口にしている松尾芭蕉の言葉から方法を深めていく。
「虚という判断基準を持って、実に突出するモンスターを出すようなプロフィールを描いていく。(プロフィールは)モンスターじゃなければ完全に回収されてしまう、実の社会に」。切実を語るその目が眼鏡の奥で光っている。
滑らかな言葉の弾丸を打ち続ける林頭吉村の話を受け止めるモニター越しの指導陣。
「新しい意味をつくるようなもの(=モンスター)が出たら、師範代は応援してほしい。じゃないとモンスターは萎んでいく」。
林頭吉村の言葉を受けて師範代も気が引き締まる。
手に持つチョークもトークも軽快に動く。
続いて、日本イシス化計画「インタースコア2028」の話題へ。zoomで伝習座に参加している学衆たちも含めて座にいる全員に、少し先のターゲットを示す。
真っ直ぐなまなざしで伝習座を締めくくる学匠原田。
「よく納得してついてきてくれた、と(みんなの)表情から感じている」。司会進行をしながら師範代の表情もしっかり観ていた学匠原田。zoomで学衆からたくさんのチャットが打ち込まれていたことにも触れた。
ここで学衆は解散し、指導陣だけが残った。
月匠木村久美子。編集稽古で学衆にインタビューを受けた、と顔をほころばせて話しはじめる。
指導陣へのメッセージでは、力強い表情でモンスターという言葉の「奥にある意図」を言いかえるよう語りかけた。
夜になってもこの集中力。真摯なまなざしを送り合う。
太陽が空高い頃から始まった伝習座はこの後も続き、夜遅くまで交わし合いが続いた。
休憩時間は文字通りの息抜き。コーヒーを淹れてもてなす律師八田英子を前に、心がほどけたような表情で話す師範代高本。
コーヒーを飲みながら師範白川雅敏と師範代総山が交わし合う。くつろぎの休憩時間。
その画が欲しい!を映してくれるビデオカメラマンの放伝生山内貴暉。
物語を滑らかに紡ぐようにネットワーク環境も師範代後田彩乃のおかげで滑らか。
魅力的な場を一層魅力的に映す、名ビデオカメラマンの師範代森本研二。
場がうまく回る秘密はフロアディレクター衣笠純子の活躍にある。
他にも、スチルカメラマンやライター、本楼以外の場所でネットワーク環境をサポートするスタッフもいる。裏方スタッフたちもまた火を灯し、場にますますの火を起こしていた。
ファインダーから辿った伝習座には、真摯なまなざしがあった。
いまなお日本人が座をもうけて気持ちを合わせるという習慣をもっている。
座で合わせた気持ちがまなざしに表れていた。
師範や番匠が針穴ほどの時間を捻出してこの日のために作った資料も束にすると厚い。
気持ちや考えを思い通りに出せるわけではない。けれども、どうにかして伝えたい、聞きたい、共有知を豊かにしたい。そんな思いが真摯なまなざしや全身を使ったふるまいから見てとれた。合わせた気持ちの分だけ言葉も熱くなり、場全体に火が灯っていた。
今、50[破]は「少数なれど熟したり」を走っている。
完
◇シリーズ
まなざしの奥にあるものは_第1視【50[破]伝習座】
まなざしの奥にあるものは_第2視【50[破]伝習座】
まなざしの奥にあるものは_第3視【50[破]伝習座】
宮坂由香
編集的先達:橋本久仁彦。子どもに忍術を教え、毎日ジムに通い、夜勤あけに富士山に登る、というストイックなまでの体力限界ギリギリな経歴。現在も出版社で編集補佐、個人で画像編集・フォトグラファー、編集力チェックの師範代と八面六臂の活躍で周りに刺激を与え続ける元気印ガール。
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