巣の入口に集結して、何やら相談中のニホンミツバチたち。言葉はなくても、ダンスや触れ合いやそれに基づく現場探索の積み重ねによって、短時間で最良の意思決定に辿り着く。人間はどこで間違ってしまったのだろう。
ひも・コップ・痛みをテーマにしたハイパーなミュージアムづくりを。3教室の学衆と師範代はリハーサルで厳しいダメ出しを受けながらも直前まで編集し続けた。
ひもミュージアム、モーラ三千大千教室土田実季さん
コップミュージアム、全員反攻教室市川恵幸さん
痛み分かち合いミュージアム、さやさやドローン教室品川唯夏さん
[破]の編集稽古の総決算「プランニング編集術」。ここで仕上げられた50破12教室の全プランの中から、特に際立つ作品のプランとプレゼンテーションが披露される[破]の晴れ舞台。それが「P1グランプリ」だ。
司会は[破]の稽古を見守り続けた戸田・白川両師範だ。
6回めを迎える今期の特徴は「インターナショナル」。校長松岡正剛の本の中国語訳を多数手がける孫犁冰(ソン・リビン)氏、50[破]で50gエンシオス教室の田中志保師範代のご主人で、日本文化にも大きな関心を寄せるトーマ氏、世界読書奥義伝[離]火元組の小西別当師範代が審査員に迎えられた。
トーマ氏と田中志歩師範代
孫犁冰(ソン・リビン)氏
グランプリを制したのは、あえてモノではなく抽象的な概念である「痛み」をテーマにした「痛み分かち合いミュージアム」だ。プランナーはさやさやドローン教室、品川唯夏さん。若干19歳の挑戦だ。デジタルだらけの時代であっても、痛みを実感のあるものとして捉えたい。今、痛みを説明するものがない。その痛みを誰かと分かち合いたい。そんな切実から始まったチャレンジだ。
ミュージアムは築50年の日本家屋。201号室は痛み、202号室は悼み、203号室は傷みを紹介する部屋となっている。だが、唯夏さんはこれらは言葉に縛られすぎていて、自分の今の痛みを表していない。当たり前のように存在する1本のリップの中にも、疼きがあり痛みがあると語り、校長松岡正剛にリップを手渡してプレゼンテーションを終えた。
赤いリップを受け取った校長松岡正剛
孫氏は「学びながら楽しんだ」、トーマ氏は「こたえではなく問いを多く示したところがよかった」と評価した。一方で小西別当師範代からは「痛みの奥にある何かも見たい」と期待を込めたリクエストもあった。最後に校長は「痛み・コップ・紐と何かを組み合わせることで生まれるものにまで踏み込んで」とハイパーになるための方法を手渡した。
グランプリに輝いたさやさやドローン教室には、校長の『松丸本舗主義』が、共に激走した参加者にはイシスキャラメルが贈られた。
清水幸江
編集的先達:山田孝之。カラオケとおつまみと着物の三位一体はおまかせよ♪と公言。スナックのママのような得意手を誇るインテリアコーディネーターであり、仕舞い方編集者。ぽわ~っとした見た目ながら、ずばずばと切り込む鋭い物言いも魅力。
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