ハンノキの葉のうえで、総身を白い菌に侵されて命を終えていたキハダケンモンの幼虫。見なかったことにしてしまいたくなるこんな存在も、アングルを変えてレンズを向けてみると、メルヘン世界の住人に様変わりする。
「ちょっといい…?」校長が自著『稲垣足穂さん』を手に、オンライン伝習座の画面に飛び入りした。
44[破]伝習座のプログラム「セイゴオ知文術 10冊を共読する」の最中のことだ。
[破]において最初の関門となるお題「セイゴオ知文術」は、ミニ千夜千冊を書く。課題本は多様な読みを誘う10冊。伝習座では、師範・評匠・番匠・学匠が入れかわり立ちかわり、自分が発見した宝物のように課題本の魅力を語る。とても1冊4分では収まらない、はみ出し気味のトークが伝習座の名物である。
関富夫評匠は、松岡校長の著作『稲垣足穂さん』を担当し、自宅からレクチャーを展開した。長新太やジュール・ヴェルヌなど、関連本もどんどん画面に取り入れる。校長から「もっとあるの?見せて?」の合いの手が入る。関評匠の「70年代という時代背景が地にある」という指摘が、校長の何かを起動させたようだ。
「いやあ関くんのよかったね」と、学林堂のマイクの前に坐る校長。『稲垣足穂さん』の解説を書いた「ばるぼら」とは誰か? なぜリットーミュージックの立東舎なのか? など評匠にも謎だったことを明かしてゆく。横から差し出された『タルホ事典』をひらき、淡い菫色の紙に印刷された「タルホ・セイゴオ・マニュアル」をズームアップして示す。
校長にとって70年代とは、『遊』を中心に文章を書くことにいちばん集中して向かった時なのだそうだ。稲垣足穂のように捉えがたい、でも捉えたくてならない存在に、かきたてられたからなのだろうか。
小さな本に秘められた謎が、明かされたようでまた増える。[破]の稽古には、もどかしく、きわどい読書体験も仕込まれている。

原田淳子
編集的先達:若桑みどり。姿勢が良すぎる、筋が通りすぎている破二代目学匠。優雅な音楽や舞台には恋慕を、高貴な文章や言葉に敬意を。かつて仕事で世にでる新刊すべてに目を通していた言語明晰な編集目利き。
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コメント
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2026-02-10
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2026-02-05
誰にでも必ず訪れる最期の日。
それが、どのような形で訪れるかはわからないが、一番ありえそうなパターンの一つが終末介護病棟での最期じゃないだろうか。沖田×華先生と言えば、自虐ネタのエッセイマンガでよく知られるが、物語作家としても超一流だった。深く死に向き合いたい方は、是非ご一読を。
(沖田×華『お別れホスピタル』)
2026-02-03
鋸鍬形、犀兜、鰹象虫、乳母玉虫、碁石蜆、姫蛇の目、漣雀、星枯葉、舞妓虎蛾、雛鯱、韋駄天茶立、鶏冠軍配、鶉亀虫。見立ては、得体の知れないものたちを、手近に引き寄せたり、風雅に遊ばせることの糸口にもなる。