第84回感門之盟「25周年 番期同門祭」の1日目。世界読書奥義伝 第16季[離]の退院式が行われた。
[離]では指導陣を「火元組」と呼ぶ。「院」と呼ばれる教室におかれる別当、別番、右筆の三役、ふたつの「院」を牽引する方師、そして全体を率いる総匠。
さらに今季16[離]では、これまでにないロールが登場した。講評を担う連離連行師、そして離学衆同士の議論を焚きつける勘弁衆だ。指導陣の人数は離学衆をうわまわった。
手厚い指導を施すためだと思うだろうか。「そうではない」と太田香保総匠は言う。
ハードルを越え新しい地平に向かおうとするとき、松岡校長は常に「複雑化」することを取り入れた。なんとしても、[離]を複雑な講座にしたかった。
太田香保総匠
システムを多重多層にすることは、世界読書をする[離]という場全体を引き上げるための方法だったのだ。
太田総匠は、16[離]の開講当日に松岡校長から離学衆へ贈られた言葉を読みあげた。
火元校長 16離への劈頭メッセージ
世界読書奥義伝とは、諸君が「世界」と「世界たち」に向かうためのセイゴオ・グノーシスを提供するものです。その奥義は「A is B」を「A as B」に読み替えることにあります。何を、何のために、何として、何に向けて読み替えるのか。そこがこの前代未聞のプログラムの溌剌とした臓器です。
私の臓器は悲鳴をあげていますが、そんなこと気にしないで、門を掠めて飛び切ってください。
2024年3月30日 火元校長 松岡正剛
離学衆は世界読書に出入りし、「A as B」への読み替えを重ね、25名が門を掠めて飛びきった。「院」からの卒業を言祝ぐ退院式の壇上には、松岡校長の形代が用意されていた。
松岡校長の形代として壇上に用意されたジャケット。
松岡校長の面影を纏い、退院賞を手渡す寺田別当師範代(上)と小西別当師範代(下)。
「16[離]は特別なミッションを担っていた」と田母神顯二郎方師は言う。
松岡校長の入院。校長不在の表沙汰(「離」プログラムのひとつ。指導陣と離学衆が一堂に会する場)。火元組も離学衆も、火中にありながら校長の「不在」という「在」を感じ自走した。
田母神方師は、松岡校長が敬愛したライプニッツの言葉を取り上げた。
”私は、自分が住まないであろう家を建て、自分がその実を味わうことがないだろう木を植えた”(ヴィルヘルム・ライプニッツ)
この言葉はそのまま松岡校長にあてはまります。イシス編集学校という、自分のためではない家や木を、松岡校長は全身全霊を傾けて創りだし育てあげました。
世界は松岡正剛の知と方法をこれから更に必要とし続けるでしょう。その本当の姿を学びえるのは、この学校だけです。この学校があり続ける限り、松岡校長は生き続けるのです。
田母神顯二郎方師
[離]の正式名称は、松岡正剛直伝「世界読書奥義伝」である。この名称に込めた意図を、松岡校長は千夜千冊に記している。
このプログラム名には「世界を読書すること」「世界読書についての本を読書すること」「世界を書物とみなして解読すること」「どんなことも世界の〝読み方〟とみなすように思考すること」「文巻を読むことが世界読書になること」といった意図がこめられている。
世界の“読み方”を構造化した[離]のプログラム。そこには、松岡正剛による世界読書の「方法」が息づいている。
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典離発表!世界読書奥義伝 第16季[離]【第84回感門之盟】
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阿部幸織
編集的先達:細馬宏通。会社ではちゃんとしすぎと評される労働組合のリーダー。ネットワークを活かし組織のためのエディットツアー も師範として初開催。一方、小学校のころから漫画執筆に没頭し、今でもコマのカケアミを眺めたり、感門のメッセージでは鈴を鳴らしてみたり、不思議な一面もある。
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