木々が色づきを増すこの季節、日当たりがよくて展望の利く場所で、いつまでも日光浴するバッタをたまに見かける。日々の生き残り競争からしばし解放された彼らのことをこれからは「楽康バッタ」と呼ぶことにしよう。
伍のドク:九天玄氣組プロジェクト Qten Genki Book『九』刊行など

「ISIS now 遊撃するブックウェア」(第89回感門之盟)、コーナーを締める最後のドクは、九州の地、イシス編集学校九州支所九天玄氣組から。現在は[守]同朋衆として講座を支える石井梨香師範が、自らも属する九天玄氣組の発足20周年を記念するプロジェクトへの賛同を呼びかけた。
松岡正剛校長は九州に出かけては、九天玄氣組に謎かけのような言葉を残していったという。「九州は負を背負う宿命を持つ」などのQ(問い)をE(Edit:編集)しながら、九天玄氣組は、角川武蔵野ミュージアムの選書や編集ワークショップに携わったり、毎年、松岡校長に圧倒的な年賀を届けてきた。

▲九天玄氣組から松岡校長に送られた2023年のクラフト年賀「本の飾り山笠」
この遊集団がこのたび「三十三冊屋」という方法を編み出した。何かを表現するとき、33冊の本があれば、その世界が立ち上がるのではないか。語るのが困難な九州の方法も、本を33冊並べることで語れるのではないか。その実感を得てこの秋、Qten Genki Book『九』の刊行を企画した。『九』を中心に編集渦を巻き起こし、刊行後もずっと編集学校の内と外を混ぜ合わせるような編集装置にしたいという願いが込められているという。
『九』の刊行、田中優子学長を招いての刊行記念イベントの費用の一部は、クラウドファンディングでまかなわれる。混迷を極めるこの時代だからこそ、本と本、本と地域をつなぐ「土地を読む力」をはぐくむ読書が求められることだろう。九天玄氣組のチャレンジ、郷を読むキョウドクにご参加あれ。
これらのドク、1つといわず2つ、3つ、いや、5つすべてを味わうゴドクもおススメである。
壱のドク:『百書繚乱』と千夜千冊絶筆篇
弐のドク:『世界のほうがおもしろすぎた──ゴースト・イン・ザ・ブックス』『Birds』
参のドク:多読アレゴリア
肆のドク:ほんのれんラジオ/多読アレゴリア「ほんのれんクラブ」
伍のドク:九天玄氣組プロジェクト Qten Genki Book『九』刊行など【本稿】
アイキャッチ・写真/後藤由加里
文/白川雅敏
白川雅敏
編集的先達:柴田元幸。イシス砂漠を~はぁるばぁると白川らくだがゆきました~ 家族から「あなたはらくだよ」と言われ、自身を「らくだ」に戯画化し、渾名が定着。編集ロードをキャメル、ダンドリ番長。
ISIS now 遊撃するブックウェア●肆のドク:仁禮洋子編集長【89感門】
肆のドク:ほんのれんラジオ/多読アレゴリア「ほんのれんクラブ」 「ISIS now 遊撃するブックウェア」(第89回感門之盟)、つづいての登場は、多読アレゴリアにもクラブ進出を果たした、ポッドキャスト「ほん […]
ISIS now 遊撃するブックウェア●参のドク:大音美弥子冊匠【89感門】
参のドク:多読アレゴリア 多読アレゴリアは、身体や終活、音楽、子ども、そして千夜や大河など、多様なテーマや本をもとに編集を進めるイシス独自のクラブ活動。「ISIS now 遊撃するブックウェア」(第89回感 […]
ISIS now 遊撃するブックウェア●弐のドク:太田香保総匠【89感門】
弐のドク:『世界のほうがおもしろすぎた──ゴースト・イン・ザ・ブックス』『Birds』 「ISIS now 遊撃するブックウェア」(第89回感門之盟)で2番目に登場したのは、松岡正剛校長の火を誰よりも苛烈に […]
ISIS now 遊撃するブックウェア●壱のドク:寺平賢司さん【89感門】
壱のドク:『百書繚乱』と千夜千冊絶筆篇 初っ端に放たれたのは、松岡校長の一周忌に合わせて刊行された『百書繚乱』(アルテスパブリッシング)、担当編集を務めた松岡正剛事務所の寺平賢司さんがまき散ら […]
BOOKWARE(ブックウェア)は物騒だ。 ブックウェアを皆さんにぶっ刺すつもり──89感門之盟のISIS now「遊撃ブックウェア」コーナー冒頭、司会を務める55[守]内村放師範のことばだ。これから登壇す […]
コメント
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2025-11-11
木々が色づきを増すこの季節、日当たりがよくて展望の利く場所で、いつまでも日光浴するバッタをたまに見かける。日々の生き残り競争からしばし解放された彼らのことをこれからは「楽康バッタ」と呼ぶことにしよう。
2025-11-04
56守で初登板される皆さまへキワメツキのサカイメ画像を。羽化が迫り、翅の模様が透けて見えてきたツマベニチョウのさなぎ。側面に並ぶ赤いハートマークが、学衆さんたちとの激しく暖かな交換を約束しております。
2025-10-29
中二病という言葉があるが、この前後数年間は、”生きづらい”タイプの人にとっては、本格的な試練が始まる時期だ。同時に、自分の中に眠る固有のセンサーが、いっきに拡張し、世界がキラキラと輝きを放ちはじめる時節でもある。阿部共実『月曜日の友達』は、そんなかけがえのない瞬間をとらえた一編。