ハンノキの葉のうえで、総身を白い菌に侵されて命を終えていたキハダケンモンの幼虫。見なかったことにしてしまいたくなるこんな存在も、アングルを変えてレンズを向けてみると、メルヘン世界の住人に様変わりする。
本たちが赤い巾着袋を纏い、人の間を回遊した。
金魚は水温が熱くても冷たくても動かない。定期的に水を換えることも必要だ。飲み会も同じこと。人流はしばらくすると滞り、いつもの面々での語らいが繰り広げられる。もうひと渦巻き起こしたいと、55[守]アフ感ではインターブッキングが企画された。第88、89回感門之盟のタイトル、「遊撃ブックウェア」に肖り、本で人をつなぐことを目論む。
9月20日、第89回感門之盟の熱気もそのままに総勢77名が新宿に集った。参加者は「遊な本」を持ち寄り、本を巾着袋に入れ、会場入り口で別の袋と交換する。忘れてはいけない。ルールが一つだけある。決して袋の中身をのぞいてはいけない。全員揃ってから一斉に中身を見るところまでが今宵の趣向だ。
4ヶ月の稽古をともにした学衆が師範代を囲み、手にした赤い巾着を忘れたかのように対話に興じる。酔いも語らいも一巡りした頃合いに司会の北條玲子師範と阿久津健師範が合図を出し、伏せられた本たちが紐解かれた。77名がいちどきに赤い袋から本を取り出し、童心に返った歓声と嘆声があがる。
手にした本を見せ合う中で問いも生まれた。自分の本がどこに向かったのか。手元に届いた本の持ち主は誰だったのか。自ずとアフ感会場に新しい関係線が引かれ始める。本に書き込んだメッセージをトリガーに記憶が紐解かれたと思えば、記名がない本の送り主を探す声も響く。本はただの贈り物ではない。送り主の記憶も微かに残っているかと思えば、本を交えた対話が思いもしない見方をもたらすこともある。
回遊から出遊へ。アフ感の幕が閉じ、赤い巾着に包まれた77冊がそれぞれの新しい持ち主とともに家路に着いた。宴は終わっても終わらない。手にした「遊な本」に55[守]が詰まっている。編集の道で存分に遊んでほしい。
アイキャッチ・文/佐藤健太郎(55[守]同朋衆)
佐藤健太郎
編集的先達:エリック・ホッファー。キャリアコンサルタントかつ観光系専門学校の講師。文系だがザンビアで理科を教えた経歴の持ち主で、毎日カレーを食べたいという偏食家。堀田幸義師範とは名コンビと言われ、趣味のマラソンをテーマに編集ワークを開催した。通称は「サトケン」。
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コメント
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2026-02-10
ハンノキの葉のうえで、総身を白い菌に侵されて命を終えていたキハダケンモンの幼虫。見なかったことにしてしまいたくなるこんな存在も、アングルを変えてレンズを向けてみると、メルヘン世界の住人に様変わりする。
2026-02-05
誰にでも必ず訪れる最期の日。
それが、どのような形で訪れるかはわからないが、一番ありえそうなパターンの一つが終末介護病棟での最期じゃないだろうか。沖田×華先生と言えば、自虐ネタのエッセイマンガでよく知られるが、物語作家としても超一流だった。深く死に向き合いたい方は、是非ご一読を。
(沖田×華『お別れホスピタル』)
2026-02-03
鋸鍬形、犀兜、鰹象虫、乳母玉虫、碁石蜆、姫蛇の目、漣雀、星枯葉、舞妓虎蛾、雛鯱、韋駄天茶立、鶏冠軍配、鶉亀虫。見立ては、得体の知れないものたちを、手近に引き寄せたり、風雅に遊ばせることの糸口にもなる。