平和に飛び交うモンシロチョウも、地球史スケールでは、ほんの少し前に日本にやって来たばかりのパイオニアらしい。押さえきれない衝動に駆り立てられて彼方に旅立つ人たちの原型は、海をわたる蝶なのかもしれない。
昨日レポートした敢談儀スタート時の花伝所長・田中晶子によるメッセージの後、『読書の裏側』の図解共読がありました。前半では師範と放伝生の対話があり、後半では千夜坊主の吉村堅樹と千冊小僧の穂積晴明による「おっかけ千夜千冊ファンクラブ」こと、オツ千ライブが行われました。
『読書の裏側』には印刷、製本、出版、流通など書物を支えるインフラ寄りの話が出ていますね。辞書で調べるとインフラ(Infrastructure)とインフェルノ(Inferno)は「下方」を指す意味を含み、親戚関係と言えます。エディションを通じて「地獄を読む」という見立てから対話が始まった後、校長・松岡正剛のメッセージが溢れる「追伸」(p.443)に向かいました。
1.書き手とともに世界の見え方を遊んだ。いわば相転移を愉しむのだ。いずれ「読相術」としてまとめられるだろう。
2.その本にまつわる出来事と付き合ってきた。一冊の本は時代や社会、観察や探索、生活や文化から派生する。その経緯とともに読む。
3.本は文字と言葉と文章というスコアでできている。だからその文体を大いに愉しむ。
吉村はこれらのセンテンスを「フェーズ、イベント、スタイル」とキーワードとして凝縮しました。読書の中に連想しながらシソーラスとして言い替えることで、対象とする物事の奥にあるイメージの原型に手を伸ばすことができるでしょう。
◎Uさんのフラジャイルな図解
師範代登板予定の過去期放伝生・Uさんの図解確認へ移ります。オツ千ライブ前に行われた師範との対話では、書物と自分自身の裂け目を見つけようとするカマエとともに、テキストのうねりから「読みたいけれども読めない弱さ(フラジャイル)」を含むような悔しさが浮かび上がっているとの講評がありましたね。
オツ千ライブ中、図解の中で吉村の注意が向いたのはエントランス、サロン、ベッド、ウォール(壁)などの要素が連結する建築の「らしさ」でした。伏魔殿のような空間の見取り図として捉えたことで、読み手をドンドン引っ張る力を感じ取れます。もっとメタファーを使えばよいという吉村からのアドバイスもありました。
プログラム後にUさんへインタビューしたところ、『読書の裏側』4章にあった0515夜『岩波書店の赤帯を読む』が図解のベースになったようです。千夜千冊内のたくさんのキーワードを通じて、Uさん自身の論理性と身体性が進み、ホットワードが湧いて出てきたと語っていました。読書には「計画」に加えて、好奇心に繋がる「ノリ」や挑戦的な「勝手」を貫く姿勢も必要であるとの理解もあったようです。
◎Kさんの潜る図解
44花の放伝生であるKさんの図解へと移ります。中心の修羅と絵本の連結が気になりますね。エディションでは第2章「暗示と修羅を読む」に絵本に関する千夜千冊が入っていました。Kさんへインタビューしたところ、物語編集術の型を意識しつつ、らせん状に潜るイメージを持って描出したことを語っていました。中心付近に配置された「修羅」として困難や闘争に遭遇する可能性がありそうです。フィードバック線による帰還っぽい再読イメージもあってよいですね。
オツ千では、絵本が社会で生き残るだけのモードとは別様の「修羅になるための装置」になるのではないかという仮説が立ち上がりました。さらに吉村は千夜千冊1527夜『本から引き出された本』の次のセンテンス(p.87)を挙げています。
何かを学ぶために本を読むなら、自分が平均点から大幅にずれていくことを快感とすべきなのである。
絵本を読むことで「平凡なわたし」から脱出できそうです。とんでもない本を読むことで地獄にいるような痛みとともに調子が悪くなるかもしれません。もちろん、超回復した後に「たくさんの私」に修羅っぽいわたしを加えてほしいですね。
◎オツ千ライブの後
師範代として感応力を耕して次の世代に伝えてほしい、という吉村からのメッセージとともにオツ千ライブが終わりました。その後、[守]基本コースの現役師範・稲森久純が登壇します。学衆時代から始めて師範代登板へ向かうまでのプロフィールを、「釣りのメタファー」を交えながら語り始めました。
先輩師範代として釣りのメタファーで語る稲森
畑本ヒロノブ
編集的先達:エドワード・ワディ・サイード。あらゆるイシスのイベントやブックフェアに出張先からも現れる次世代編集ロボ畑本。モンスターになりたい、博覧強記になりたいと公言して、自らの編集機械のメンテナンスに日々余念がない。電機業界から建設業界へ転身した土木系エンジニア。
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コメント
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2026-03-10
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