かつて「大人マンガ」というジャンルがあった(詳しくは「マンガのスコア 園山俊二」参照)。この周辺には、ファインアートと踵を接する作家たちが数多く存在する。タイガー立石もその一人。1982年、工作舎から刊行された『虎の巻』は、まさしくオトナのためのマンガの最極北。いいお酒といっしょにちびちび味わいたい。
師範代認定後の編集道について交わしあう44[花]敢談儀の放伝生の中に、次期師範代登板後のターゲットを探索する強者(つわもの)が居ました。54[守]で入門してから編集道を歩み続ける北村和喜さんです。敢談儀の濃密な応答の合間となる休憩時間に黒膜衆へのコンタクトを図っていました。
◎イシスとの出会い
イシス編集学校に入る前の北村さんは校長・松岡正剛が逝去した直後に行われた講座修了者向けのイベント・第84回感門之盟に出席していました。キッカケは地元の知人から紹介された師範・華岡晃生との出会いにさかのぼります。
2024年9月14日と15日に行われた第84回感門之盟は25周年を迎えていたイシス編集学校の大きな節目として、東京都品川区にあるnetone valleyでの開催(通称:大感門)になっていました。丸善・丸の内本店4階にあった伝説の書店「松丸本舗」の復活ブースも記憶に残りますね。北村さんはイシスらしさのある「もてなし・ふるまい・しつらえ」が施された催し物を見て回る中で、居合わせることの大切さを感じ取ったようです。校長が使っていたディレクターチェア越しに面影を追いたくなりました。
編集学校への入門の意思を固め、2024年秋開講の54[守]基本コースへと進み、2025年春開講の54[破]応用コース、秋開講の44[花]への王道を走り続けました。三間連結の講座受講で師範代認定証を入手し、57[守]師範代登板に向かう宣言をしています。
◎黒膜衆への想い
黒膜衆は元々、2020年の新型コロナウイルス感染の影響で始まった「オンライン感門之盟」向けの配信チームでした。千夜千冊1795夜『膜は生きている』に肖って名乗り上げています。舞台の表裏の界が接するところの膜を通じた情報の出入りを有機的にコントロールする役割を持っていそうな名づけですね。政治・経済・インフラを裏側で操る黒幕っぽさも多少兼ね備えています。
総合演出に始まり、登壇者に向けて気持ちよく講演してもらうためのフロアマネジメント、「今、この時!」という瞬間を撮影するムービーカメラ、数台のカメラからの映像をリアルタイムに切り替えるスイッチャー、会場音と配信の音のバランスを調整する音響など、複数のロールを担っています。
イベントのターゲットや、プログラムを通じて起こるであろう仮説的なシナリオを想定しながら自己と他者の間を突出させるために動き回りつつ、感門之盟や花伝所の入伝式の裏側を支える勇姿に北村さんは魅了されていたのです。北村さんへのインタビューでは、場のディレクションを任されているリーダー・衣笠純子のスター性に「かっこいい!」と憧れていることが伝わってきました。
イシス編集学校のイベントを支える黒膜衆
◎次期師範代登板への想い
花伝所での指南演習の期間、北村さんは仮留めとして「ウイングブレイクスルー教室」を掲げていました。イシスとの橋渡しとなった師範・華岡のようなスピードとスマートさを兼ね備えた活動を擬きたい信念を込めています。
師範代登板に向かって本格的に教室名を用意するにあたり、興味のある千夜千冊を挙げる必要がありますね。54[破]のセルフプロフィールの回答では関心を持った3冊として、
0492夜『世の始めから隠されていること』ルネ・ジラール
1842夜『格闘技の科学/武術の科学』吉福康郎
1361夜『銃・病原菌・鉄』ジャレド・ダイアモンド
を挙げていたようです。
インタビュー中に選んだ理由を確認したところ(プロフィール回答を拝見)、1番目は「模倣の禁止」への疑問、2番目としてはボクサー・井上尚弥の一発、力士・千代の富士の豪快さに驚愕、3番目にはグローバリゼーションという言葉へのためらいがあったようです。師範代登板にあたって、1318夜『模倣の法則』を読んで先達の指南の方法に肖ってほしいですね。ステレオタイプな伝統と前衛の選手たちのカマエも借りておきたい。そして、未知の学衆(生徒)たちとの編集稽古と併せて、1502夜『クラブとサロン』っぽく世界についての意味や価値の発酵のために多様な切り口で対話できると良さそうです。
敢談儀の1月24日夜は大雪により東西の交通が分断される緊急予報がありました。夜行バスから新幹線へと交通手段を乗り換えることで、本楼からの出発時刻が前倒しになりましたが、最後まで衣笠との対話に食らいついていました。師範代登板後に黒膜衆ロールを引き受けたときにも類似するシーンが生まれそうです。
この記事を読み、黒膜衆への憧れの火種が灯った方は、ぜひリーダー・衣笠へ連絡していただきたいですね。
問い合わせ先は、
kinugasa@eel.co.jp(学林局/衣笠純子)
となります。
黒膜衆資料提供:衣笠純子
畑本ヒロノブ
編集的先達:エドワード・ワディ・サイード。あらゆるイシスのイベントやブックフェアに出張先からも現れる次世代編集ロボ畑本。モンスターになりたい、博覧強記になりたいと公言して、自らの編集機械のメンテナンスに日々余念がない。電機業界から建設業界へ転身した土木系エンジニア。
<速報>『他力の師範代』レクチャー【2/28(土)エディットツアー@花伝篇】
まもなく春を迎える如月最終日の昼、イシス編集学校の編集コーチ養成コースであるISIS花伝所のオンラインツアーが行われました。応用コースの破講座や物語講座などを受講し、師範代の指南の秘密について興味を持った方々が集まりま […]
<速報>【44[花]敢談儀】読書の裏側には地獄が潜む!?(オツ千ライブ「物実像傳」)
昨日レポートした敢談儀スタート時の花伝所長・田中晶子によるメッセージの後、『読書の裏側』の図解共読がありました。前半では師範と放伝生の対話があり、後半では千夜坊主の吉村堅樹と千冊小僧の穂積晴明による「おっかけ千夜千冊フ […]
<速報>【44[花]敢談儀】書物と自分を切り離さない(田中花伝所長メッセージ)
大寒に突入して朝の空気が冴えた日々が続く1月24日、豪徳寺駅近くの編集工学研究所で、編集コーチ養成コース・花伝所の最終関門「敢談儀(かんだんぎ)」が行われました。スタートにあたって花伝所を取りまとめる所長・田中晶子から […]
師走として2025年終盤へと加速する12月13日(土)、編集工学研究所の本楼で蒐譚場が開催されていました。物語講座のラストプログラム「編伝1910」のレクチャー&ワークが行われましたね。担当は師範の森井一徳と高橋陽一で […]
<速報>物語のシーン描出に「目のカメラ」を活用しよう/55[破]破天講
師範代たちの振り返りの後、今期の物語編集術のレクチャーが行われました。担当は師範・天野陽子となります。 天野は短歌集『ぜるぶの丘で』を2月に出版し、先月末に第40回北海道新聞短歌賞に選出されていたようです。11月26 […]
コメント
1~3件/3件
2026-03-05
かつて「大人マンガ」というジャンルがあった(詳しくは「マンガのスコア 園山俊二」参照)。この周辺には、ファインアートと踵を接する作家たちが数多く存在する。タイガー立石もその一人。1982年、工作舎から刊行された『虎の巻』は、まさしくオトナのためのマンガの最極北。いいお酒といっしょにちびちび味わいたい。
2026-03-03
桃の節句に、桜の葉が好きなモモスズメ。飼育していると、毎日、たくさんの糞をするが、それを捨てるのはもったいない。こまめに集めて珈琲フィルターでドリップすれば、桜餅のかほりを放つ芳しき糞茶のできあがり。
2026-02-24
昆虫観察には、空間の切り取りに加えて、時間軸を切り裂くハサミをタテヨコ自在に走らせるのもおすすめ。この天使のようなミルク色の生き物は、数十分間の期間限定。古い表皮を脱ぎ捨てたばかりのクロゴキブリです。