冊師は「読み」の語り部だ。本を持たせれば「談(かた)り部」だ。”談然”に、”談漸”に、いや”談前”に、これが今読むべき「旬の推し本」です。「DANZENイシス」をキーコンセンプトに開催された「77感門」。タブロイド掲載の多読ジム企画「冊師談ZEN」、Season7の7人7冊を一挙大公開!
談前
スタジオ935 浅羽登志也 おんちゃん冊師
緒方壽人『コンヴィヴィアル・テクノロジー』 (ビー・エヌ・エヌ・2021/5/21)
今やAmazonで何でも買える。必要なモノも推薦してくれて超便利。でもよく考えると買わされているだけ。テクノロジーの便利さと引き換えに、われわれは人間本来の自由や創造性を失っているのだ。本書はコンヴィヴィアル(自立共生)という尺度で人とテクノロジーの関係を見直し、共に生きる方法を問い直す。目を覚ませ!
談涎
スタジオしゅしゅ 田中 睦 623冊師
田代親世『今日も韓国ミュージカル日和♪』 (双葉社・2021/6/16)
「韓国創作ミュージカル」には、韓国エンタメパワーのすべてがある。脳髄を揺さぶる歌唱力とキレッキレのアクション、ハングルを創製した世宗大王の生涯から「アーサー王伝説」「シャーロック・ホームズ」まで、なんでもかんでも約2時間の舞台芸術に仕上げてしまう力技。「韓ミューの沼」へようこそ。BTSに満足するな。
談然
スタジオ茶々々 松井路代 まつみち冊師
吉川一義『「失われた時を求めて」への招待』 (岩波新書・2021/6/22)
『失われた時を求めて』を読み通せないとお悩みの方に絶対おすすめ、全訳を果たした吉川一義氏の招待本だ。十九歳の夏から五十年読み続け、尽きぬ魅力がある物語。ユダヤ問題、サドマドヒズム、同性愛などすべて氏自身の疑問から発した読み解きで、写真や図版も強力援護になる。挫折上等。思い立った日が再読、多読の始まりだ。
談染
スタジオこんれん 増岡麻子 あさこ冊師
斎藤美奈子『挑発する少女小説』 (河出書房新社・2021/6/26)
少女小説の魅力とは何だろう。ヒロインのキャラクターや欧米の生活風景だろうか?彼女たちは不自由で、理不尽な環境にいるけれど、考える力を蓄えて自立していく。この姿に触発され、「自分の城」を持つことへ憧れた時間が蘇ってくる。少女たちはいつも読者自身が枠外へ飛び出すことを誘っている。「挑発」に乗るかはあなた次第だ。
談蝉
スタジオ彡ふらここ 福澤美穂子 ジロー冊師
穂村弘『これから泳ぎにいきませんか』 (河出文庫・2021/7/6)
他の人はどんなふうに本を読んでいるのだろう。歌人の穂村弘による書評や文庫解説を集めた本書は、漫画、詩歌、小説、エッセイ、ノンフィクション等、さまざまなジャンルの77冊が並ぶ。視点が新鮮で、驚きと笑いの連続だ。詩人の谷川俊太郎との読書対談も楽しい。本好きバンザイ。本を通して本を語る、多読が進む本である。
談繕
スタジオNOTES 中原洋子 ヨーコ冊師
ライザ・マンディ『コード・ガールズ』 (みすず書房・2021/7/20)
暗号解読という言葉は、常に人を魅了する。秘密を解く喜びと組織に貢献する喜び。第二次大戦中、米陸・海軍に雇われ、敵国の暗号解読を担ったアメリカ人女性たちがいた。その活躍で戦争は早期に終結した。戦後も守秘義務を守り、口を閉ざしてきたコード・ガールズに光を当てたノンフィクション。そうか、そうだったのか!
談漸
スタジオ凹凸 景山卓也 カゲ冊師
池上彰、上田紀行、伊藤亜紗『とがったリーダーを育てる』 (中公新書ラクレ・2021/8/6)
超理系という印象の東工大がリベラルアーツに力をいれて10年になる。理系と文系をクロスさせるだけでなく、生徒を信頼し、同調圧力に与しない教師が「とがる」ことを後押ししてくれる。とがってみてこそ、人の弱さを理解できる真のリーダーとなれる。子どもを丸くしてしまっていると思う大人にこそ読んでもらいたい。
Info
◉多読ジム season08・秋◉ 締切間近!!
∈START
2021年10月11日(月)
∈MENU
<1>ブッククエスト(BQ):児童書44冊
<2>エディション読み :『少年の憂鬱』
<3>三冊筋プレス :ボタニカルな3冊
∈URL
金 宗 代 QUIM JONG DAE
編集的先達:水木しげる
最年少《典離》以来、幻のNARASIA3、近大DONDEN、多読ジム、KADOKAWAエディットタウンと数々のプロジェクトを牽引。先鋭的な編集センスをもつエディスト副編集長。
photo: yukari goto
【10/13★締切間近】佐藤優オンライン特別講義 多読スペシャル
締切間近! 佐藤優さんの特別講義のオンライン視聴チケットを販売します。 開催日は2024年10月13日(日)。ですが、リアルタイムで視聴できない方もご安心ください。イベント終了後、お申込みいただいた方全員に、期間限定 […]
圧巻の大感門でした! 二日目の「ネオ・バロック」コーナーで吉村堅樹林頭と登壇した代将・金宗代です。さっそくエディストJUSTチームがその様子の一部を記事にしてくれましたね。 しかし実は、感門ではお伝えできなかったことがい […]
松岡正剛はぶっちぎりの「編」の人であり、とびっきりに「変」な人だった。松岡さん自身、「『あいつは変だった』と言われれば本望」(朝日新聞 連載「人生の贈りもの」)と言い残している。 松岡さんとの最後の会話も、やっぱり変 […]
2020年1月にスタートした〈多読ジム〉は、20季を節目にして、ついにファイナルシーズンを迎えます。 とはいえもちろん、イシスから「多読」のコースウェアが消えてしまうわけではなく、その後はまったく別種別様のよそおいを […]
多読ジムseason18では「三冊筋プレス◎アワード」が開催された。お題は「評伝3冊」。三冊筋のチャレンジャーは29名。アワードエントリーまで到達した人数は14名だった。 月匠・木村久美子、冊匠・大音美弥子、さらに選匠の […]