56守で初登板される皆さまへキワメツキのサカイメ画像を。羽化が迫り、翅の模様が透けて見えてきたツマベニチョウのさなぎ。側面に並ぶ赤いハートマークが、学衆さんたちとの激しく暖かな交換を約束しております。
イシスの学びは渦をおこし浪のうねりとなって人を変える、仕事を変える、日常を変える――。
ウェブディレクターの内野絹子さんは、福岡を拠点として小規模事業専門にホームページ制作や情報発信のサポートを行う「KoKocreate」の代表だ。自ら写真を撮るカメラマンでもある。
2020年の起業以来、不安だらけだったという内野さんの背を押したものは何だったのか。
イシス受講生がその先の編集的日常を語る、新しいエッセイシリーズ、第5回目をお届けします。
■■イシスの方法で駆け抜ける
「守」を卒門し、続けて「破」を突破した後、編集の未体験ゾーンを走り抜けた実感はあったものの、型を日常で活かすのは難しそうに思っていた。だが、今回よくよく振り返ると使っていた。しかもすごくわかりやすく。
それは、ある事業主(Nさん)の「会社名」のネーミングの相談を受けた時のこと。私はネーミングの仕事は経験がなく、どうアドバイスするか考えた時、咄嗟に取り出したのが、守で学んだ基本的な型だった。
私 「会社を情報として客観的に見てください」
Nさん「?」
私 「なんとなくそう意識する感じで大丈夫です。それで、本当に何でもいいので、この会社のことをいろんな言い方で言い合ってみませんか?」
そこから一緒に、会社に関することやそれに関連するもの・ことを書き出した。これは【たくさんの私】だ。出てきたものを言い換えたり、類義語を辞書で引いてみたり、連想したり、要約してみたり。これは【シソーラス】だ。
途中、スピードが落ちた時、【オノマトペ】を連発してみた。
Nさん「そんなのもあり?!」
散らばった情報を画面上のホワイトボードに分けて眺めてみる。【らしさ】が表されるのはどういうものか、欠かせないものは何か、ざっくばらんに交わしあった。
私ができたことはそこまでだったが、後日、4つに絞られた候補が届いた。
Nさん「どれがいいと思います?」
私 「うーん…」
2つまで絞り、迷った挙句、1つの社名を選んだ。
Nさん「ですよね! これですよね…」
私は昔から「完成!」と思えないと人には見せられない、完璧主義なところがあった。しかし、イシスの稽古でそれをやっていては先に進まないことも早い段階で理解した。「仮留め上等!」とまずは回答を放ってからハチマキをしてペンを振り回す仲間もいたので、いつからか私も真似るようになっていたのだ。
「仮留め上等!」を傍らに置いておいたおかげで、あれこれ悩まずとにかく頭と手を動かしてやるんだという挑戦モードになり、行動が加速した。これは自分の中で大きな変化だった。
未完成のものを人に見せたり、着地点が見えていないものを手放すのは勇気がいるが、自分で考え一旦形にしたら人に渡してみる、そうすることで生まれるものがあると今は知っている。
今後もそうして、人と思考を混ぜ合いながら私は仕事をしていく。
▲内野さんは、仕事と趣味の両方でカメラ Nikon D750を構える。眼前の情報の切り取り方にも「型」を使っていることを意識するという。
文・写真提供/内野絹子(46[守]角道ジャイアン教室、46[破]互次元カフェ教室)
編集/角山祥道、羽根田月香
エディストチーム渦edist-uzu
編集的先達:紀貫之。2023年初頭に立ち上がった少数精鋭のエディティングチーム。記事をとっかかりに渦中に身を投じ、イシスと社会とを繋げてウズウズにする。[チーム渦]の作業室の壁には「渦潮の底より光生れ来る」と掲げている。
イシスの学びは渦をおこし浪のうねりとなって人を変える、仕事を変える、日常を変える――。 イシス編集学校の応用コース[破]では、3000字の物語を綴ります。格別の体験であり、特別の経験です。 イシス修了生によ […]
震える足で、越えていく――西岡有美のISIS wave #61
この秋、イシス編集学校の基本コース[守]の師範代として登板する西岡有美さん(56[守]ピノキオ界隈教室)。西岡さんは、[守][破][花]の講座を渡る中で、イシス編集学校で大切にしていることと自分が好きなことの共通点に気づ […]
型をもって「難民」を語れば――田中志穂のISIS wave #60
イシスの学びは渦をおこし浪のうねりとなって人を変える、仕事を変える、日常を変える――。 イシス修了生による好評エッセイ「ISIS wave」。今回は、55[守]山派レオモード教室の師範代を終えたばかりの田中志穂さんの登場 […]
意味の世界を生き抜く方法――菅野隼人のISIS wave #59
「それってなんなの?」。菅野隼人さんは常に「問い」を見つけ、「問い」を深めています。「問い」好きが高じて、「それ哲ラジオ」というポッドキャスト番組を始めてしまったほどです。 そんな菅野さんがイシス編集学校と出会いました。 […]
イシスの「指南」はあったかい――木島智子のISIS wave #58
イシスの学びは渦をおこし浪のうねりとなって人を変える、仕事を変える、日常を変える――。 木島智子さんは、56[守]に初登板する師範代の卵だ。しかし自分が師範代になるなんて思ってもいなかったと振り返る。木島さんを変えたもの […]
コメント
1~3件/3件
2025-11-04
56守で初登板される皆さまへキワメツキのサカイメ画像を。羽化が迫り、翅の模様が透けて見えてきたツマベニチョウのさなぎ。側面に並ぶ赤いハートマークが、学衆さんたちとの激しく暖かな交換を約束しております。
2025-10-29
中二病という言葉があるが、この前後数年間は、”生きづらい”タイプの人にとっては、本格的な試練が始まる時期だ。同時に、自分の中に眠る固有のセンサーが、いっきに拡張し、世界がキラキラと輝きを放ちはじめる時節でもある。阿部共実『月曜日の友達』は、そんなかけがえのない瞬間をとらえた一編。
2025-10-28
松を食べ荒らす上に有毒なので徹底的に嫌われているマツカレハ。実は主に古い葉を食べ、地表に落とす糞が木の栄養になっている。「人間」にとっての大害虫も「地球」という舞台の上では愛おしい働き者に他ならない。