発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。

情報には「地」と「図」がある。
「地」と「図」が組み合わさって情報が形成されている。例えば同じリンゴでもスーパー(地)にあれば商品(図)になるし、ゴミ箱(地)にあれば生ゴミ(図)になる。子供(地)が握ればおもちゃ(図)にもなる。意識的に「地」を変えていければ一つの情報からたくさんの「図」を引き出すことができるようになる。情報を扱う時は「地」と「図」をセットで考えることが大切だ。
今回のエディットツアーのナビゲーターは、この日のために大阪から飛んできた梅澤奈央(42[破]師範代)。ウェブ制作のライターとして企業と社会のあいだをつないでいる。今日はライターからナビゲーターに着替えをして、人と人、本と人、本と本のあいだをつなぐ。
テーマは「3+3=! 見方ゆさぶる編集術 2万冊の本と語らう編集ワーク」。
本楼と茶室で「地」を変えながら二部構成でツアーを行った。
開始早々、本を使った自己紹介。2万冊の中から、今気になる本を探し出す。続いてはペアワーク。相手の自己紹介を受けて、贈りたい一冊を選びあった。今日の自分と、初めて会った相手。「地」を変えながらたった一冊の「図」を選ぶ。
休憩を挟み、本楼の文学棚を背にしたレクチャー型から、ミニ茶室「半想庵」に「地」を変えて全員車座となり後半へ。
先日開催された本茶会では松岡正剛校長が「半想庵」で茶ではなく、本をふるまって、本を嗜んだ。半想庵の「半」は不足や余白を表す。編集で大切にしているキーワードだ。
本茶会では編集工学研究所のスタッフでさえ茶室の中に入れてもらえなかったという。特別に今夜だけ開かれた躙口から参加者たちはそろそろと入っていく。
最終ワークはお互いに贈りあった本2冊に+1冊選んで「こんな本があったら思わず話が弾む」茶室でもてなす3冊セットをペアワークでつくる。さらに3冊セットに茶室に合う掛け軸の如くキャッチフレーズを考えた。
ジャパン×誤読=異議あり
外国人に贈る三冊「ようこそ!幻想ジャパンへ」
“流れゆく”と”偶然”という移ろいゆくものから不変的な”太陽”を引き出した。
「まことの編集は涙だ!」
2冊とも食べに行く本。そこから”旅”へとつないだ。
「腹凹(はらぺこ)食聞録」
初対面でも食と旅は話が弾む。
初めて顔を合わせた人と「地」をわかちあいながら、本を組み合わせて新たな「図」を作り出した。
梅澤は突如ミニ茶室でやることとなった与件を引き取り、ワークの「地」を変えることで親密感を演出した。
後藤由加里
編集的先達:石内都
NARASIA、DONDENといったプロジェクト、イシスでは師範に感門司会と多岐に渡って活躍する編集プレイヤー。フレディー・マーキュリーを愛し、編集学校のグレタ・ガルボを目指す。倶楽部撮家として、ISIS編集学校Instagram(@isis_editschool)更新中!
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コメント
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2025-07-01
発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。
2025-06-30
エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。
2025-06-28
ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。