32[花]開講後はじめての週末、4道場の入伝生たちが集うラボへ花目付・三津田知子から得番録が届けられた。ラボは、[守]・[破]の別院にあたる。
得番録とは、番稽古で得た学びの軌跡が記録されたスコアのこと。ひらたく言えばカリキュラムの進捗状況を採録した星取表のことで、[守]・[破]の教室ではこれが毎週配信される。各師範代が意匠を凝らした得番録は、学衆の稽古を後押しもするし、学びを振り返る手すりにもなる。
三津田はこの得番録を花伝所風にアレンジして入伝生へ届けた。名付けて「風流三昧’s Scoring」。[花]での得番録は初めての試みである。松岡校長の入伝式メッセージを受けての編集だ。
三津田が施した[花]版得番録の工夫は、演習の進捗状況ではなく、入伝生らが式目の理解を深めた際の方法に注目し、編集の軌跡をスコアリングしたことだ。どんなアナロジー・アブダクション・アフォーダンスが動いたのか。各道場での発言をいくつか抽出し、方法に応じて「見立篇」「仮説篇」「図解篇」に分けて再編集した。
編集学校が標榜する「インタースコア」は、直訳すれば「相互記譜」。情報がスコアされて運ばれるだけでは、コミュニケーションは間に合わない。ならば、情報を取り巻くエディティング・モデルまでを含んで記譜してみてはどうか。情報に纏いつくノイズや偏向や「風・式・様」までを相互に照合してみてはどうか。情報とは、等価交換され得るものではないのである。
互いのエディティング・モデルを徹底的にインタースコアしあう花伝所の演習は2週目へ向かう。
深谷もと佳
編集的先達:五十嵐郁雄。自作物語で語り部ライブ、ブラonブラウスの魅せブラ・ブラ。レディー・モトカは破天荒な無頼派にみえて情に厚い。編集工学を体現する世界唯一の美容師。クリパルのヨギーニ。
一度だけ校長の髪をカットしたことがある。たしか、校長が喜寿を迎えた翌日の夕刻だった。 それより随分前に、「こんど僕の髪を切ってよ」と、まるで子どもがおねだりするときのような顔で声を掛けられたとき、私はその言葉を社交辞 […]
<<花伝式部抄::第21段 しかるに、あらゆる情報は凸性を帯びていると言えるでしょう。凸に目を凝らすことは、凸なるものが孕む凹に耳を済ますことに他ならず、凹の蠢きを感知することは凸を懐胎するこ […]
<<花伝式部抄::第20段 さて天道の「虚・実」といふは、大なる時は天地の未開と已開にして、小なる時は一念の未生と已生なり。 各務支考『十論為弁抄』より 現代に生きる私たちの感 […]
花伝式部抄::第20段:: たくさんのわたし・かたくななわたし・なめらかなわたし
<<花伝式部抄::第19段 世の中、タヨウセイ、タヨウセイと囃すけれど、たとえば某ファストファッションの多色展開には「売れなくていい色番」が敢えてラインナップされているのだそうです。定番を引き […]
<<花伝式部抄::第18段 実はこの数ヶ月というもの、仕事場の目の前でビルの解体工事が行われています。そこそこの振動や騒音や粉塵が避けようもなく届いてくるのですが、考えようによっては“特等席” […]