飲む葡萄が色づきはじめた。神楽鈴のようにシャンシャンと音を立てるように賑やかなメルロー種の一群。収穫後は樽やタンクの中でプツプツと響く静かな発酵の合唱。やがてグラスにトクトクと注がれる日を待つ。音に誘われ、想像は無限、余韻を味わう。

Jamiroquaiのジェイ・ケイが、デヴィッド・ボウイ「Let’s dance」のパロディで「Lockdown」を歌っている。「マスクをつけてテレビでも見よう」と美声を聞かせるピンヒール姿の中年は、SNSで結構な話題となっている。Youtubeでは発表から一週間足らずで20万回再生を記録した。
コロナウイルスの影響で、パフォーマンス・カルチャーには辛い時代となってしまった。しかし、怯まずに新たな編集の契機としているユニークな才能は多い。エルトン・ジョンはビリー・アイリッシュやマライア・キャリーと組んで「お茶の間から中継する」ライブイベントを催し、ボン・ジョヴィは参加型コロナ対策ソング「Do What You Can」を発表した。
いずれのコンテンツも、撮影環境はアーティストの自宅や仕事場だ。機材やクオリティのレベルは流石に下がるが、むしろその生活感のあるオフショット性が人気を呼んでいる。個性的なプライベート空間は、視聴者にとっては刺激的に映る。
「セイゴオちゃんねる(松岡正剛事務所公式)」のTwitterでも、以前から「セイゴオの赤入れ」や「新刊を眺めるセイゴオ」といった、松岡正剛のオフショット写真・映像がいくつか上げられていた。その意図について仕掛け人の寺平賢司(松岡正剛事務所)は、「いや〜、松岡さんってほんと何でもコンテンツになっちゃうからさ。これからもどんどん狙っていきたいよ!」とスナイパーのような目つきで熱く語る。コンテンツは好意的に受け取られているようだ。
現在、そんな寺平は編集工学研究所の小森康仁(映像ディレクター)、穂積晴明(デザイナー/13離)とチームを組んで「きちんと編集された」映像シリーズも制作中。「Cut Up Books」と題された同シリーズは、松岡が本をテーマに自由に語る緩やかな組み立てだ。自著や監修本の編集意図をはじめ、千夜千冊では語られていない本の魅力や、松岡の日々がざっくばらんに「カットアップ」される。
初回は、新刊『日本文化の核心』(講談社現代新書)が取り上げられた。黒板二枚で図解しながら、『日本文化の核心』の核心をつく。すでに第1話はYoutubeにて公開中で、「柱」・「産霊」・「客神」などについて解説がなされた。万全な衛生管理のもと、意欲的なカタリ編集に挑戦している。
「内容は本で読んだはずなのに、全く新鮮に聞こえますね。これはオーディオ、ヴィジュアル、リテラル、それぞれの能力を総合した新たな読書体験かもしれません」収録に参加した若手スタッフは興奮気味に語った。同書については、全3回が順次投稿される予定だ。「Cut Up Books」の最新情報は、Youtubeのチャンネル登録をするか、「セイゴオちゃんねる」のTwitterをフォローされたい。
穂積晴明
イシス編集学校方源、編集工学研究所デザイナー、「おっかけ千夜千冊」の千冊小僧。『情報の歴史21』『知の編集工学 増補版』ほか、編集学校のあらゆるものをデザインするが、疲れ目に祟り目でたまに目にカビが生える。
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コメント
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2025-08-16
飲む葡萄が色づきはじめた。神楽鈴のようにシャンシャンと音を立てるように賑やかなメルロー種の一群。収穫後は樽やタンクの中でプツプツと響く静かな発酵の合唱。やがてグラスにトクトクと注がれる日を待つ。音に誘われ、想像は無限、余韻を味わう。
2025-08-14
戦争を語るのはたしかにムズイ。LEGEND50の作家では、水木しげる、松本零士、かわぐちかいじ、安彦良和などが戦争をガッツリ語った作品を描いていた。
しかしマンガならではのやり方で、意外な角度から戦争を語った作品がある。
いしいひさいち『鏡の国の戦争』
戦争マンガの最極北にして最高峰。しかもそれがギャグマンガなのである。いしいひさいち恐るべし。
2025-08-12
超大型巨人に変態したり、背中に千夜をしょってみたり、菩薩になってアルカイックスマイルを決めてみたり。
たくさんのあなたが一千万の涼風になって吹きわたる。お釈迦さまやプラトンや、世阿弥たちと肩組みながら。