師範が師範代へ方法の南を指す。お題と回答の虫の目で現場を駆け抜ける師範代を、編集工学や社会といった鳥の目で別様の可能性へ導く。
用法2の解説を担当する桂大介師範は「テレワークにはしない」という、先週のハイパーでの6カメ体制に刺激を受け、複数カメラで講義に入った。
「コロナパンデミックで情報が過剰かつ一様になりつつある今、意味単位のネットワークを取り上げたい。」
まずは情報そのものに立ち返る。
「情報とは区別力、差異である。情報というと、例えばこれはペットボトルだ、キャップだなどと、一対一対応と思われがち。
そうではなくて、何かと何かを区別するし、他との関係において情報を捉えるということ。」
日本は雨の表現が他国に比べて多く、虹は国によって色や数も異なる。
つまり、私たちは「言葉」という情報によって世界を切り分けている。
「言葉は一対一なのではなく、もともと繋がっていて独立言葉は本来ない。」
これが意味単位のネットワークであり編集工学の基本。
だから獲得している語彙によって見ている世界が変わる。」
ウイルスといっても、今では「コロナ」をさすが、数年前は「コンピュータウイルス」を連想されることが多かった。
言葉という情報は、本来は揺らいでいるものである。
「たとえば『ウイルスっぽいもの』を思い浮かべると、噂話や信頼、言語など色々ある。
これが『わけるとわかる』ということ。分類すると別の概念とつながっていく。」
意味のネットワーク上のシナプス結合が編集で起こる。
アナロジカルシンキングとは意味単位のネットワークの上の移動とも言える。
終盤、新しいスコアを作るお題と重ね、「評価と評判」についてSNSに触れる。
「SNSのリツイートは『見方』『好き』を評価している。
だが評価は数でししか評価されず、本来の多様な見方や好きが均一化されてしまう脆弱性がある。」
では、押し寄せてくる評判や、均質化された評価に振り回されないためには。
「松岡校長に『何かをやるとするなら50人のために10年続けるつもりでやる』といった言葉がある。
評判に飲まれてしまうのは10年やるつもりでないから。評判は否応なくやってくるもの。
50人のためになんとか言葉を尽くして粘り強くやっていくこと。」
言葉という情報がもつ、本来の意味単位のネットワーク。
用法2では編集思考素や階層といった複数の情報を関連づけることによって、また新たな別様の可能性へ向かっていく。
上杉公志
編集的先達:パウル・ヒンデミット。前衛音楽の作編曲家で、感門のBGMも手がける。誠実が服をきたような人柄でMr.Honestyと呼ばれる。イシスを代表する細マッチョでトライアスロン出場を目指す。エディスト編集部メンバー。
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