2023新春放談 其の陸 – 編集部の卯年、跳ねて弾けてさらなる編集的高みを目指す!

2023/01/05(木)09:00
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年賀状デザイン2023

遊刊エディストは創刊から4回目の新年を迎えました。今年も、編集部恒例の「エディスト新春放談」をお届けしてまいります。エディスト・ライターやニューカマーをゲストに招き、2023年の新たな展望に野望、夢想に妄想まで、新春から放談していきます。

 

第6回、新春放談最終回は、編集部メンバーが2022年を振り返り、2023年を語ります。

 

◎遊刊エディスト編集部◎

吉村堅樹 林頭, 金宗代 代将, 川野貴志 師範, 後藤由加里 師範, 松原朋子 師範代, 上杉公志 師範代, 梅澤奈央 師範,穂積晴明 デザイナー

 

 ゲストの皆さんを見ていると、イシスはエディティング・キャラクターの宝庫ですね。

 

上杉 まだ呼びきれなかった方もたくさんで、ほんとうはライターの一人ひとりにお話をお聞きしたかったですね。

 

吉村 2022年はいろんな新しいことを始めたんだよね。最後、12月も結構いろいろあって、まずは『情報の歴史21電子版』がやっと発売開始になりました。発刊に至るまでには編集学校関連の多くの方にご協力をいただきました。ありがとうございました。

もしまだ手にしていない方がいらっしゃれば、こちらから詳細をご覧いただきたい。稽古の時、指南の時に、手元においておけば、深みの増した回答・指南になるでしょう!

 

 

穂積 その後、DOMMUNEで3時間にわたる情歴発売記念のストリーミングイベントをやりました。ぼくも露払いとして参戦しましたが、ゲストのお二人もDOMMUNEの宇川さんもゲキアツでしたね!!!

 

 

吉村 山本貴光さんはさすが、コメント書き込み、画像、ハイパーリンクなど僕らが今後実現したいことを、もうすでにアクロバットを使ってPDF版で試されていました。山本さんと武邑光裕さんが二人で、「普段は宣伝とかしないんですが情歴PDF版は買わないと!」と言ってくださったんだよね。宇川さんにいたっては、「これってシュタイナーやブラヴァツキーのアカシック・レコードを実現しちゃったってことですよね」と興奮しきりでしたからね。

 

川野 それは珍しいことですね。

 

吉村 川野さん、情歴電子版を使って国語の授業をするとか、どうですか? 2023年、一緒に情歴を使ったYouTube授業とか考えてみたいですね。

 

川野 以前に少しだけ子ども向けの動画撮影に挑戦しかけたこともあったんですよね。歴史というコンテンツは「学ぶもの」として子どもたちにとっても受け入れやすいと思うので、道筋はつけやすいかもしれないです。

 

 クリスマスイブに開催した「多読ジムスペシャルコース村田沙耶香を読む」の修了イベントもよかったですよ。まず、校長も「かけがえのない人」と言っていた通り、作家・村田沙耶香その人の魅力が、イベント当日に限らず、講座の全期間に渡ってたいへん際立っていました。読衆も冊師もボードも校長も全員が村田沙耶香ファン。そして、これは村田さんからの提案だったのだけれど、修了制作の形式を定めずに自由にしたことで、未だかつてないバリエーションのメディエーションがたくさん現れてきた。しかも、その中のいくつかはクオリティも突出していました。イシスもここまで来ているんだと、これはイシスの新たな可能性を提示できたのではないかなと思います。

 

吉村 多読ジムのスペシャルコースは新たな可能性を示しましたね。2023年は2回実施を目指したいです。

 

 

吉村 3期目を迎えたハイパーエディティングプラットフォーム[AIDA]は、今期は「日本語としるしのあいだ」というテーマで実施しています。グローバリゼーションやメタヴァースの時代にあえて日本語で思考し、日本語で対話する意味を問うているわけです。[AIDA]には、イシス編集学校からもたくさんのメンバーがスタッフとして関わってくれています。カメラマンとしてほぼ全て参加している森本研二師範代をはじめ、”黒膜衆”といって、オンラインや会場設えの技術スタッフを担当したり、AIDA師範代として参加したり、メディアチームにもエディスト・ライターや編集部から参加していますね。今後もさらに境界は融通無碍になり、活動は加速していくと思います。

 

 

マツコ 2022年の大ニュースといえば、世界読書奥義伝[離]のお題が大きく変わり、ビジュアル的要素が強化されました。その15季[離]をわれらがウメ子が入院して、退院して、典離を受賞されましたね。編集部メンバーみんなで、沸きました!これで編集部は全員、離経験者になりましたね。

 

梅澤 あまりに満身創痍で、退院しました‼︎と自信をもって言えませんが、でも世界の見え方が変わったのは間違いありません。2022年の年間エディスト閲覧数ランキングを見ていると、佐藤優さん関連記事が上位にきていて、2022年はウクライナ戦争の年だったんだな、というのを感じました。

 

  1. 上杉 2022年は、松岡正剛校長の動きもいろいろありました。いくつかしぼって振り返ると、春にはBS-TBSの「関口宏の一番新しい古代史」へのレギュラー出演がありました。

 

上杉 千夜千冊エディションシリーズも『日本的分芸術』『電子の社会』、『読書の裏側』、『戒・浄土・禅』が刊行。ビジュアルとテキストが一種合成した『見立て日本』は、発売から間もない[守]の伝習座で、早速テキストになっていました。他にも、イシスに多い白川静ファンとしては『白川静ー漢字の世界』の平凡社ライブラリーでの刊行も見逃せません。

 

 

梅澤 この『戒・浄土・禅』の中にある松岡校長の写真は、後藤さんが撮影されたんですよね。クレジットを見たとき、いろんな人に自慢したくなりました!

 

上杉 リアルイベントも動き出しています。百間和泉佳奈子さんがプロデュースする「近江ARS」が始動し、すでにイシスのメンバーも続々と関わってきているようです。特に関西圏の方は要チェックです。

 

 🐰の差し入れ

  近江ARS公式ウェブサイト:  https://arscombinatoria.jp/omi

 

上杉 12月には田中泯ダンス公演「外は、良寛。」の舞台がありました。[破]学匠の原田淳子さんによる速報記事は必見です!最後に、12月30日には校長がゲストとして出演したNHKの「ヤマザキマリラジオ」が放映。少し早いお年玉として、ラジオを聴きながら2022年を振り返られた方も多かったのではないでしょうか。

 

🐰の差し入れ

 「ヤマザキマリラジオ」with 松岡校長の視聴が、1月6日(金) 午後8:55配信終了までできるそうですよ。

 

マツコ 2022年の暮れといえば、後藤さんが「APAアワード2023 写真作品部門」に入選されたんですよね!この賞はフォトグラファーの登竜門だとか。これはすごくうれしかったニュースでした。エディストが始まって以来、ずーっと後藤さんと林朝恵さんは松岡校長の動向を追いかけていたんですよね。

 

梅澤 ほんとにほんとにおめでとうございます! 校長のワープロ写真にじーんとしていました。ここから千夜千冊は生まれているのか、と。なかなか知ることのない校長のお姿をメディア化してもらえてありがたく思ってます。カメラ部の福井師範代は、煙草を持つのが右手だったり左手だったりするんだ〜というところに感心しながら見ておられたようですよ。

 

後藤 やっと第一歩を踏み出したという感じです。入賞を逃したのは正直悔しかったですが、初めて挑戦した公募展で評価いただけてホッとしました。

 

 

🐰 2023年、編集部はエディストをどうする?

 

吉村 では、そろそろ「エディストを、もっとこうしていこう!」を一言ずつ行きますか?!

 

上杉 イシス編集学校の中でエディストが当たり前となった2023年は、いよいよ社会のあいだをつなぐメディアとして機能がますます拡張していくのではないかと想像しています。『情報の歴史21』がPDF化されるなどコンテンツも充実してきていますし、関与する方もどんどん多様になってきている。山内くんのような動画や新しいメディアを楽しめるデジタル・ネイティブな方の登場も追い風ですし、2023年はそうした方々がさらに増えていくのではないかと思います。エディストが「多様な方々が協働するメディア」としての機能をいっそう発揮することで、イシスの「知」の編集がますます加速し、今までに届かなかった新しい方々へ、その面白さやワクワクが伝わっていったら嬉しいです。

 

後藤 エディストカメラ部が誕生し、皆さんそれぞれ楽しんで撮影に取り組まれています。まずはカメラ部のメンバーで得意手を活かしながら、各自の連載が持てるようにできればと思います。

 

梅澤 カメラ部員の連載、楽しみですね。私としては、上杉さんもおっしゃったように社会との接地面を大きくしていきたいと思っています。年明け1月15日には田中優子先生が、イシスのユニークネスを講演してくださる予定ですよね。そんなふうに、イシスという稀有な“結社”が世に存在していることを、もっともっと外に向けて発信していけるように努力したいです。

 

松原 編集部に目を向けてみると、私たちは毎週”Edist Night(編集会議)”を続けています。皆さんが気持ちよく参加できるように止まらず継続運営すること、また編集学校内外を結ぶメディアとしての価値探求はもちろんですが、いつも編集部メンバーが持つ“編集力”をすごく感じています。ウメちゃんのライターとしての腕前と気迫、後藤さんのフォトグラファーとしてのひたむきさ、吉村林頭の奇想天外なクリエイティビティ、上杉さんの作曲家としての別視点、金さんの普通じゃない文章センス、垣間見える川野さんの言語への情、穂積さんのフレッシュな感覚や柔軟性…。もっと評価されてしかるべき方々がここにいると思っています。2023年は編集部メンバー自身の可能性が、より開かれるような機会があってもいいんじゃないかな。それらと連動して、エディスト全体がさらに洗練されていくことを期待したいです。

 

川野 「言語への情」ですか……。ちょうどお手伝いしているAIDAのテーマも「日本語としるしのAIDA」ということで、今それに触発されて、古文書読む練習してたりするんですね。日常的な仕事ではもっぱら触っているのは「今の日本語」なので、日本語のアーキタイプに直に触れながら、オーラルでもリテラルでも、展開する言葉に奥行きを増していければなと思っています。ウェブメディアなので基本は「今」を伝えるものなのでしょうが、今と昔を繋ぐようなこともやってみたいですね。情歴を使った授業のアイディアは、そういう意味でも一つのきっかけにできるかもしれません。

 

 多読SP村田沙耶香篇が新たな可能性を示し、多読ジムのスタンダードコースも大きく刷新されると思うので、どうやってエディストの中でその面白さを表象できるのかを考え、いろいろと実験していきたいです。エディスト全体としては、ウメ子やシーザー、編集かあさん(まつみちさん)やおしゃべり病理医(小倉さん)、マンガのスコア(ホリエさん)と次々とエディティング・キャラクターが登場するのが面白いので、皆さんにはより一層キャラ立ちしてもらうとともに、新しい風を巻き起こしてくれる卯年に来たるニューキャラクター、シン★エディスターとの出会いも楽しみにしています。

 

穂積 昨年末に松岡校長から「なにかのシリーズをやるといいね」と言っていただきました。エディストでもデザインとしての連作や連載に挑戦して、イメージ編集を盛り上げていきたいですね。あとは、年賀状ではボツりましたが、やはり映像には挑んでいきたい。エディスト的なYouTubeや映像コンテンツはまだ模索段階ですが、今後は常態にしていく必要があるだろうと思います。我こそはというエディストのみなさん、一緒に番組をつくりましょう!

 

吉村 テオリアとポイエーシス。この2つをエディストでは強化したいと考えています。テオリアというのは言語化、理論化のことです。型、稽古、3A、エディトリアリティ、問感応答返などなど、イシス編集学校や編集工学が私たちに何をもたらしていて、社会にない何を、足りない何をつくれているのかをそろそろ言葉にしないといけないと考えています。

もう一つは制作を意味するポイエーシスです。穂積くんが言ってくれたように一つはYouTubeのような映像番組を制作配信していく必要がある。中でも「情報の歴史Web」は今後の要になっていくでしょう。

 2023年は「虚にいて実を動かす」を、さらに徹底して突き進んでいきたいと思います! みなさんの新たな編集力とご一緒できること、心から楽しみにしています!!!!!!

 

2023年も遊刊エディストを、どうぞよろしくお願いいたします。

 

編集部

 

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2023年 新春放談

 其の壱 – エディストは「卯報雲展」なメディアになる (1月1日 0時公開)

 其の弐 – [守][破][花]の卯年、エディティング・キャラクターの突出へ向かう (1月1日 19時公開)

 其の参 – 言語聴覚士は、迷いながらもメタファーで綴り続ける(1月2日 公開)

 其の肆 – 2023新春放談 其の肆 – カメラ部の2年目は“ISISビュアル祭り”を!(1月3日 公開)

 其の伍 – YADOKARIの野望?夢想?「指南・多読・意匠」への思い(1月4日 公開)

 其の陸 – 編集部の卯年、跳ねて弾けてさらなる編集的高みを目指す!(1月5日 公開) (現在の記事)

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  • エディスト編集部

    編集的先達:松岡正剛
    「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。