11/24に能勢伊勢雄、川崎隆章登場!!【字像舎刊行イベント】

2024/11/08(金)08:00
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 『ユリイカ』特集・松岡正剛(2024年11月号)に寄稿した一人に能勢伊勢雄がいる。岡山で50年、ライブハウスPEPPERLANDを運営しながら、毎月欠かさず「岡山遊会」を続けているハイパー・エディターである。1978年より始まった岡山遊会もまた、2022年夏に500回を迎えた。記念すべき500回目のイベントが開催されると知り、私は母が他界してまもない頃だったが、能勢の偉業に惜しみない拍手を贈りたいと、福岡から駆けつけた。PEPPERLANDの舞台中央の壁に掲げられていたのは、松岡正剛直筆の書「遊會」であった。ここに能勢伊勢雄の魂は照射されている。

 

能勢伊勢雄と中野由紀昌。松岡正剛の書「遊會」とともに(2022年7月27日)

 

 能勢伊勢雄はイシス編集学校2期の師範代だった。「能勢伊勢雄ムジック教室」というフルネームを冠した教室名を松岡校長から授かった唯一の師範代である。私は1期生だったから、能勢が師範代をしている頃を知っている。伝習座や感門之盟で会うと、いつもファッションは上下ともにブラック。おかっぱ頭でパイプを咥えていた(いまも変わらない)。感門之盟で乾杯の音頭をとるときは、ビールの泡が消えてしまうくらいに延々と松岡正剛に対する惚れっぷりを語っていた。そんな能勢に会うたび私は口説かれていた。「中野さんも福岡で遊会やればええんよ」と。それから数年後に「九州遊会」は始まった。初回のチューターを能勢自身が担った。岡山から駆けつけてくれたのだ。

 

 作曲家の藤枝守と出会ったのは2008年と記憶している。能勢が九州大学で講話をするために来福した際、紹介されたのが藤枝だっだ。以来、交流は始まり、2015年の九天玄氣組9周年イベント「九州の音なひ」(at本楼)では焼酎の発酵音を用いたインスタレーションでコラボもしたが、出会って16年にしてようやく一つの編集成果としてまとまったのが、今年10月に刊行した『いまこそ聴きたい孤高〈マーヴェリック〉の響き~僕が出会ったアメリカ実験作曲家たち』(字像舎)なのだ。無論、解説は能勢伊勢雄に依頼した。

 

 そんな能勢伊勢雄と藤枝守が対談するイベントが11月24日(日)に開かれる。会場は福岡市のイエナコーヒー警固店、九天玄氣組の組員である品川未貴(師範代)のカフェだが、オンライン配信も行うので、どこにいても視聴可能である。岡山の地でライブハウスという確固たる器を提供しながら、日本の、世界の音楽シーンを熟知する能勢伊勢雄と、アメリカ実験音楽の作曲家たちと直接交わった藤枝守が対面するスペシャルな企画は見逃せない。

 

 能勢に続いて登場するのは、川崎隆章である。ラジオディレクターで放送史研究者、イシス編集学校では2期「直立猿人教室」師範代でもあった。偶然にも能勢伊勢雄と同期である。千葉・木更津を拠点にしている川崎は、幼少期に製鉄の町・北九州市の八幡に住んでいたこともあって、九天玄氣組の組員でもある。

 

 今回、対談相手に川崎を指名したのは藤枝守本人だ。二人に共通するキーマンは、湯浅譲二。じつは川崎も20代の頃に湯浅譲二のゼミに“潜入”したことがあるという。湯浅譲二の推薦がなければアメリカに留学していなかったと語る藤枝にとって、川崎なら深い話ができると見込んだ。

 

 川崎隆章の情報収集力は他の追随を許さない。世界各国の国歌を暗唱する特技には、松岡校長も驚いていた。とくに放送文化には幼少期からアンテナを立てていたというから、生まれながらにしての放送マニアである。1985年には語学留学という名目でロンドンにわたり、現地のメディアとコメディに狙いを定めて徹底的に観賞した経験もあるという。全国津々浦々のテレビ放送開始の映像と曲もしらみつぶしにリサーチしているし、全国各地のラジオ放送にも耳をそばだてている。今回の対談では、テレビCMや「セサミストリート」といった放送メディアを通じて馴染んだ80年代のアメリカ実験音楽をメインに語り合う。

 イシス編集学校の縁をたぐりよせて結ばれる11月24日の刊行記念イベント、お見逃しなく。只今申し込み受付中!

 

◆藤枝守『孤高〈マーヴェリック〉の響き』(字像舎)
 刊行記念トークセッション


 会場:イエナコーヒー@福岡

 日時:11月24日(日)

 15:00〜17:00[会場/オンライン]

 17:30〜21:00[会場のみ]

 

告知詳細・お申し込みはこちら

【オンライン参加】https://teket.jp/12126/42330

・Zoomウェビナーでの視聴

・アーカイブ視聴あり

 

【会場参加】https://teket.jp/12126/42366

・レセプション・パーティーでは、藤枝さん所有の秘蔵レコードを聴きながら乾杯します

 

 

  • 中野由紀昌

    編集的先達:石牟礼道子。侠気と九州愛あふれる九天玄氣組組長。組員の信頼は厚く、イシスで最も活気ある支所をつくった。個人事務所として黒ひょうたんがシンボルの「瓢箪座」を設立し、九州遊学を続ける。

コメント

1~3件/3件

川邊透

2025-07-01

発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。

川邊透

2025-06-30

エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
 
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
 
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。

堀江純一

2025-06-28

ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。