世界中で祭りへの槍玉ばかりがあがるこの夏、イシスは松岡正剛を「知祭り」にあげている。編集学校の有志が奔走し、全国50近い書店で千夜千冊エディションフェアが開催中だ。7月9日付けセイゴオほんほんによれば、「実売も土用のうなぎのぼり」。日本全土が知まみれだ。
編集学校に目を転じれば、7月11日が祝祭の日だった。47[守]は番ボー、46[破]はAT賞。ともに当期2回目にして、最後の講座横断型フェスティバルが幕を閉じた。
守学衆たちは「今は大谷・昔はイチロー」と新旧の野球ヒーローを見比べ、「光琳の雷・応挙の幽霊」と夏の自然現象に対角線を引いてみせた。「ミメロギア」なる松岡考案のエディトリアルゲームに興じる番選ボードレールでは、今期は144人が6つのお題にエントリーした。
映画から物語をつむぎだす[破]アリスとテレス賞にも、突風が吹いた。師範代たちによる馬車馬のごとき導きと土壇場の卓袱台返しは、師範 福田容子が「鬼神のよう」と讃えた。それに呼応する学衆も執筆に没頭。あたりめ乱射教室学衆Fは、3000字の字数制限にも関わらず「5万字書いてしまいました」。記録的な稽古模様だった。エントリー率は76%、51名が英雄を生み出した。
集められた作品は、12日早朝、律師 八田英子が集約。総文字数16万字超、A4用紙200枚を超える長大なファイルが選評委員に送付された。学匠 原田淳子は、1作品ずつ綴じるよう「ホチキスの儀」を委員に申し渡す。選評会議は今週末18日に開催される。
イシスはあとの祭りこそ全力だ。番ボーもAT賞もエントリーされた作品は、それぞれ同朋衆や選評委員など目利きの師範陣が筆をふるって講評を贈る。誰かの紡いだ言葉は、べつの誰かがしかと受け取り、熨斗をつけて送り返す。これがイシスの礼節。夏はまだ始まったばかりだ。
梅澤奈央
編集的先達:平松洋子。ライティングよし、コミュニケーションよし、そして勇み足気味の突破力よし。イシスでも一二を争う負けん気の強さとしつこさで、講座のプロセスをメディア化するという開校以来20年手つかずだった難行を果たす。校長松岡正剛に「イシス初のジャーナリスト」と評された。
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