飲む葡萄が色づきはじめた。神楽鈴のようにシャンシャンと音を立てるように賑やかなメルロー種の一群。収穫後は樽やタンクの中でプツプツと響く静かな発酵の合唱。やがてグラスにトクトクと注がれる日を待つ。音に誘われ、想像は無限、余韻を味わう。

春雨、花冷え、七分咲きの桜の枝が濡れそぼる東京は本楼で、3月29日、イシス編集学校第87回感門之盟が始まった。[遊]物語講座17綴の感話集(績了式)である。
スペシャルゲストのマンガ家、近藤よう子氏の絵が目を引くメインビジュアル
冒頭は、いつものように映像とサウンドで引き込む演出。本楼のスクリーンに、物語講座の3つのお題「窯変三譚」「トリガー・クエスト」「編伝1910」のそれぞれについて、めくるめくイメージメントが映し出される。
スクリーンの映像。ここで流れていたのはPia-no-jaCの楽曲
壇上に上がって開会を宣言したのは、司会を務める鈴木花絵だ。実香連のメンバーで、場に登場したときの華やかさと臨機応変な対応力に定評がある。鈴木自身も物語講座を受講しており、稽古のタフさを「トライアスロンのよう」と評しつつ、「お題の力に導かれて自分の中から予期しなかった物語が生まれ、紡がれていくことに驚きと喜びを覚えた」と醍醐味を語った。物語の中にさえ、確かな情報編集がある。創作は自己の裡だけで完結するものではなく、社会や情報など他者とのインタースコアによって完成することを体験した。
開会前、鈴木は今日の司会でもインタースコアを心掛けると話していた。目指すは「立ちつつ馴染む」在りようだ。壇上でライトを浴びながらも、都度そこで起こったことを捉えて場に返していくつもりでいる。
この後、式は、編集学校で最も面白いのは物語講座だといって憚らない吉村林頭による講座紹介、績了式(講座修了式)と続いていく。中でも目玉は、後半に用意されたマンガ家、近藤よう子氏と林頭とのトークセッションだ。スペシャルゲストの近藤氏のマンガについて鈴木は、「その独特の世界観や女性の造形に思わず引き込まれてしまう」と紹介し、ファンぶりを披露。「今日を物語づくしのスペシャルな一日にしましょう」と話を結んだ。
本楼で、物語時間が加速していく。
(写真:安田晶子)
今井早智
編集的先達:フェデリコ・フェリーニ。
職もない、ユニークな経歴もない、熱く語れることもないとは本人の弁だが、その隙だらけの抜け作な感じは人をついつい懐かせる。現役時代はライターで、今も人の話を聞くのが好き。
道場の名が呼ばれ、師範陣が壇上に上がり、放伝生たちはその場で起立する。マイクを持った師範が一つひとつ言葉の意味を確かめるようにして話し始めると、スクリーンに大写しになった放伝生の神妙な面持ちがやがて、安堵、喜び、照れ、困 […]
編集稽古の「問感応答返」は終わらない〜55[守]第2回創守座
Q&AならぬQ&E。問い(Question)に対して正答(Answer)に向かうのではなく、問い(Question)から編集(Edit)をかけていくイシスの流儀だ。6月7日に開かれた55[守]の第2回「創守座」は、このQ […]
■本楼に向けて渦巻くエディットカフェ 「やっと皆さんに本楼でお会いできました」 イシス編集学校第86回感門之盟、守の卒門式で、鈴木康代学匠から言葉と同時に喜びがこぼれ出た。54守の汁講は本楼開催がなかったた […]
コメント
1~3件/3件
2025-08-16
飲む葡萄が色づきはじめた。神楽鈴のようにシャンシャンと音を立てるように賑やかなメルロー種の一群。収穫後は樽やタンクの中でプツプツと響く静かな発酵の合唱。やがてグラスにトクトクと注がれる日を待つ。音に誘われ、想像は無限、余韻を味わう。
2025-08-14
戦争を語るのはたしかにムズイ。LEGEND50の作家では、水木しげる、松本零士、かわぐちかいじ、安彦良和などが戦争をガッツリ語った作品を描いていた。
しかしマンガならではのやり方で、意外な角度から戦争を語った作品がある。
いしいひさいち『鏡の国の戦争』
戦争マンガの最極北にして最高峰。しかもそれがギャグマンガなのである。いしいひさいち恐るべし。
2025-08-12
超大型巨人に変態したり、背中に千夜をしょってみたり、菩薩になってアルカイックスマイルを決めてみたり。
たくさんのあなたが一千万の涼風になって吹きわたる。お釈迦さまやプラトンや、世阿弥たちと肩組みながら。