自ら編み上げた携帯巣の中で暮らすツマグロフトメイガの幼虫。時おり顔を覗かせてはコナラの葉を齧る。共に学び合う同志もなく、拠り所となる編み図もなく、己の排泄物のみを材料にして小さな虫の一生を紡いでいく。
この喫茶店のコーヒーを淹れる音が好きで、つい長居してしまう。
朝のランニングのお供には、この曲が欠かせない。
この音楽を聴くと、ある思い出が一瞬でよみがえってくる。
私たちの身のまわりには、本当にさまざまな音や音楽があふれています。心地よい音もあれば耳を塞ぎたくなる音もある。音楽といっても、ジャズ、ロック、ヒップホップ、クラシックなど、「ジャンル」という切り口だけでもたくさんあります。またバレエや能や演劇などの舞台芸術にも、音や音楽は欠かせません。ライブ、スピーカー、イヤホンなどの視聴メディアもさまざまで、無限大の音楽体験が可能な現在では、たとえ同じ音楽を同じ場所で聴いたとしても、その印象や想起されることは、人の数だけあります。
「イシス(編集学校)を見れば、世界がわかる」とは、イシス編集学校 校長・松岡正剛の言葉です。同じように、「音づれスコアを見れば、(聴覚を媒介に)世界がわかる」と言い換えることもできるのではないかと思います。それは、例えば次のような点からです。
1.音楽室でのお題によって、未知の音・歌・音楽を発見する
editcafe上のラウンジスペース「音楽室」には、既存の音や歌について問い直したり、音楽に対する見方や聴き方を再編集するような問いがあります。例えば、自身の音楽体験をクロニクルにしたり、楽器のアーキタイプを調べたり、音楽における自由と不自由の境界線を考えたりなど。
音づれスコアでは、このような問いを通じて、今まで気づかなかった、音や歌や音楽との関係があきらかにしていきます。
2.音楽によって編集される自己に気づく
歌も音楽も自己も全て「情報」ととらえるならば、音楽と共に生活している私たちは、音楽を聴いたりつくったり演奏する一方で、「音楽という情報によって編集された存在である」とも言えるのではないでしょうか。
実際に、音づれスコアの冬シーズンでは、音楽と自己が相互に編集されていることを感じられるような場面が、多々見られています。
3.それぞれの「好み」ごと対話していくことで、新しい音楽体験をうみだす
読書好きやスポーツ好きの人たちが、自然とコミュニティをつくったり、独自の活動をはじめていくように、あらゆる情報は「好み」が加わることで、より充実していきます。音づれスコアでは、単に歌や音楽を扱うだけでなく、そこに「好み」も含めて対話をしていくことで、この場そのものが、新しい音楽体験を相互的にうみだしていく場となっていく可能性を秘めています。
何より強調したいのは、音づれスコアは、日々から切り離された特別な場所ではなく、例えば、自宅の洗面所や行きつけのスーパーや、お気に入りの古本屋のように、それぞれの日常の延長線上にある場所でありたい、ということです。
音づれスコアに集う人たちの参加目的や興味の方向は、「自分の知らない音楽を知りたい」「音楽について言葉で表現したい」「本を一緒に読むように、音楽を一緒に楽しみたい」「なぜ人は音楽を好きだと思うのかを知りたい」など、本当にさまざまです。
2025年春シーズンでは、音や音楽に関する本を媒介にした対話の機会やリアルイベントなど、より相互的なコミュニケーションを充実させていく予定です。ぜひみなさんとご一緒に、新しい歌や音楽体験を発見していけたら嬉しいです。
多読アレゴリア「音づれスコア」
聴匠:岡村豊彦
響師:瀬尾真喜子
譜匠:上杉公志
(文:上杉公志 アイキャッチ:山内貴暉)
多読アレゴリア2025春「音づれスコア」
【定員】20名
【申込】https://shop.eel.co.jp/products/tadoku_allegoria_2025haru
【開講期間】2025年3月3日(月)~2025年5月25日(日)
【申込締切】2025年2月24日(月)
【受講資格】どなたでも受講できます
【受講費】月額11,000円(税込)
【2025春 多読アレゴリアWEEK】
▼着物コンパ倶楽部
▼MEditLab for ISIS
▼勝手にアカデミア
はとさぶ連衆は鎌倉に集い俳句を詠みつつアカデミア構想に巻き込まれるの巻
▼軽井沢別想フロンティア倶楽部
▼大河ばっか!
▼よみかき探Qクラブ
▼身体多面体茶論
▼終活読書★四門堂
▼OUTLYING CLUB
▼千夜千冊パラダイス
◎3/3(月)スタート◎シーズン2は《編集術の奥義》につながる千夜が登場!
▼群島ククムイ
▼音づれスコア
2025春シーズンは音楽本やリアルイベントも充実!
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
イシス編集学校のアドバイザリー・ボード「ISIS co-mission」(イシス・コミッション)に名を連ねる9名のコミッション・メンバーたちが、いつどこで何をするのか、編集的活動、耳寄りニュースなど、予定されている動静を […]
公開されるエディスト記事は、毎月30本以上!エディスト編集部メンバー&ゲスト選者たちが厳選した、注目の”推しキジ” をお届けしています。見逃した方はぜひこちらの記事でキャッチアップを。 今回は9月に公開され […]
【プレスリリース】新刊『不確かな時代の「編集稽古」入門』(11月13日発売)で、田中優子が学びの未来を問う
株式会社編集工学研究所(本社:東京都世田谷区、代表取締役社長:安藤昭子)が運営するイシス編集学校は、学長である田中優子による新刊の発売をお知らせいたします。 世界情勢の混乱、社会の分断、生成AI時代の不確実 […]
【田中優子の学長通信】No.12 『不確かな時代の「編集稽古」入門』予告
この表題は、もうじき刊行される本の題名です。この本には、25名もの「もと学衆さん」や師範代経験者たちが登場します。それだけの人たちに協力していただいてできた本です。もちろん、イシス編集学校のスタッフたちにも読んでもらい […]
田中優子の酒上夕書斎|第五夕『苦界浄土』石牟礼道子(2025年10月28日)
学長 田中優子が一冊の本をナビゲートするYouTube LIVE番組「酒上夕書斎(さけのうえのゆうしょさい)」。書物に囲まれた空間で、毎月月末火曜日の夕方に、大好きなワインを片手に自身の読書遍歴を交えながら […]
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2025-11-18
自ら編み上げた携帯巣の中で暮らすツマグロフトメイガの幼虫。時おり顔を覗かせてはコナラの葉を齧る。共に学び合う同志もなく、拠り所となる編み図もなく、己の排泄物のみを材料にして小さな虫の一生を紡いでいく。
2025-11-13
夜行列車に乗り込んだ一人のハードボイルド風の男。この男は、今しがた買い込んだ400円の幕の内弁当をどのような順序で食べるべきかで悩んでいる。失敗は許されない!これは持てる知力の全てをかけた総力戦なのだ!!
泉昌之のデビュー短篇「夜行」(初出1981年「ガロ」)は、ふだん私たちが経験している些末なこだわりを拡大して見せて笑いを取った。のちにこれが「グルメマンガ」の一変種である「食通マンガ」という巨大ジャンルを形成することになるとは誰も知らない。
(※大ヒットした「孤独のグルメ」の原作者は「泉昌之」コンビの一人、久住昌之)
2025-11-11
木々が色づきを増すこの季節、日当たりがよくて展望の利く場所で、いつまでも日光浴するバッタをたまに見かける。日々の生き残り競争からしばし解放された彼らのことをこれからは「楽康バッタ」と呼ぶことにしよう。