【このエディションフェアがすごい!33】丸善 日本橋店

2021/08/11(水)21:59
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 事実上、日本初の近代的な株式会社組織といわれる「丸善」。「丸善日本橋店」は明治3年に誕生し、いまも同じ場所にあります。日本橋ではありますが、実は東京駅からも徒歩5分ほどで行ける使い勝手のよい書店です。日本橋・丸の内・銀座などで働くビジネスパーソンが立ち寄ることも多く、幅広い客層に応える品揃えがあります。この丸善日本橋店でも「千夜千冊エディションフェア」を開催中です(~8月中下旬までの予定)。

 

 

 エディションフェアは、2階エスカレーターのすぐ裏です。上りきったら手すり脇の松岡校長にご挨拶して回りこむと…

 

 

 ズラリ! 壮観です。東京の千夜千冊エディションフェアのなかでも、1、2を争う充実ぶりではないでしょうか。棚の面陳も平積みもたっぷりあります。

 

 

 

 

 

 棚づくりをリードしていただいたのは、書籍グループ長の石田健さん。古典文学に造詣が深く、お気に入りのエディションは『物語の函』の石田さん。フェア開催にあたっていろいろとご相談に乗っていただきました。

 

 

 今回のエディションフェアで石田さんが驚いていたのが、本の売れ方が他のフェアとまったく違うことでした。たとえば、下写真のマルティン・ハイデガー『存在と時間』の作品社の分厚いほう(文庫じゃなくて!)や、萩原秀三郎『稲と鳥と太陽の道』(大修館書店)西行『山家集』(新潮日本古典集成)などが売れているのだそうです。土曜社版のアルチュール・ランボオ『イリュミナシオン』にいたってはいったん完売したとか。「普通はあまり動かない本が売れていくので、売れ行きを見ながら頻繁に棚を調整しています」(石田さん)。結果として、千夜千冊に詳しい人が奥まで楽しめる本棚ができ上がっていますよ~。

 

 

 

 そして、なんといっても石田さんが一番ビックリしていたのが、一番上の画像で持っていたこの本です。田中俊明『古代の日本と加耶』(山川出版社)。なんとすでに7冊売れたのだそうです。「この本が何冊も売れるようなフェアはほかにありません。週末にフェア本をカゴいっぱいに買って行かれるお客様も多く、本好きの方、歴史や哲学が好きな方が狙って来店されている実感がありますね」(石田さん)。

 

 

 ちなみに、エディションフェアの近くには「21世紀図書館」という棚があるのですが、ここがまた千夜千冊本や関連本だらけでした。合わせてご覧あれ!

 

 

 

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【このエディションフェアがすごい!09】ジュンク堂書店鹿児島店

【このエディションフェアがすごい!08】丸善松本店

【このエディションフェアがすごい!07】ブックセンタークエスト小倉本店

【このエディションフェアがすごい!06】丸善博多店

【このエディションフェアがすごい!05】りーぶる金海堂クロスモール店(宮崎市)

【このエディションフェアがすごい!04】喜久屋書店小倉店

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  • 米川青馬

    編集的先達:フランツ・カフカ。ふだんはライター。号は云亭(うんてい)。趣味は観劇。最近は劇場だけでなく 区民農園にも通う。好物は納豆とスイーツ。道産子なので雪の日に傘はささない。

コメント

1~3件/3件

若林牧子

2025-07-02

 連想をひろげて、こちらのキャビアはどうだろう?その名も『フィンガーライム』という柑橘。別名『キャ
ビアライム』ともいう。詰まっているのは見立てだけじゃない。キャビアのようなさじょう(果肉のつぶつぶ)もだ。外皮を指でぐっと押すと、にょろにょろと面白いように出てくる。
山椒と見紛うほどの芳香に驚く。スパークリングに浮かべると、まるで宇宙に散った綺羅星のよう。

川邊透

2025-07-01

発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。

川邊透

2025-06-30

エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
 
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
 
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