自らの体内から這い出したコマユバチの幼虫たちが作った繭の塊を抱きしめるシャクトリムシ。科学者は「ゾンビ化されて繭を守るよう操作されている」と解釈するけれど、これこそ「稜威」の極北の姿ではないだろうか。
「このエディションフェアがすごい!」シリーズ、第38弾は北海道のMARUZEN&ジュンク堂書店 札幌店。フォトレポートを届けてくれるのはイシス編集学校師範の岩野範昭さんと神尾美由紀さんです。フェア開催は8月31日まで。
◇◇◇
その日は、東京2020オリンピックの最終日。東京よりも冷涼な空気を期待されて競歩とマラソン会場になった札幌ではなんと97年ぶりの連続真夏日最長記録を更新していた。

中心部のあちこちにTOKYO2020のロゴが入った看板が。暑さのせいか世界的イベントが終わった街を歩く人はさほど多くない。観光名所の札幌時計台には観光客もおらず、大通公園では祭りの後片付けに追われる作業員や警備員が目に付く。

札幌のシンボル・時計台。この日は観光客ゼロ。

大通公園の交差点では五輪競技の後片付け中。
進入禁止の柵だらけの大通公園をすり抜け、南に一条ほど下るとMARUZEN&ジュンク堂書店札幌店が出迎えてくれる。地下二階から地上四階までの約千六百坪を本で埋め尽くす巨大書店だ。地下鉄駅と地下で直結しているから、猛暑にも猛吹雪にも影響されることなく市民は知に触れることができる。

MARUZEN&ジュンク堂の外観。
エスカレータで三階の文芸書・文庫フロアまで上がってみると…。

三階エスカレータに到着直後の視点。
売り場の奥から鋭い視線を感じる…。

三階フェアコーナーへ近づいた視点。
あれはもしや…。

フェア棚正面。
千夜千冊エディションが出版順に丁寧に並べられている。

各エディションのポップと共に小冊子や学校案内も並ぶ。
千夜千冊エディション特別冊子と共に講座案内チラシもさりげなく配架。

向かって右側の棚は主にエディション関連本を配架。
これぞという関連本も紹介。

文芸書・文庫担当の伊藤さん。
札幌店では7月から8月末まで2か月の「知祭り」を開催中。「せっかくやるならしっかり時間をかけましょう」という店長の菊地さんの計らいから、短い準備期間にも関わらず関連本も含めた棚を電光石火でご用意いただけた。
この日、取材に応じてくださったのは文芸書・文庫担当の伊藤樹里さん。「今は最新刊の『資本主義問題』が一番よく出ています」という伊藤さんは東京にいらっしゃった際には松丸本舗に足を運んでいたとのこと。これは隠れ松岡フリーク発見?
「個人的にも『資本主義問題』は気になる内容。世界中が注目している内容ですよね」とコメントをしながら、素早く手前に置かれている表紙が開きかけた本と奥の本と入れ替えていく。
「この時期は本にとって厳しい季節なんです。クーラーで空気が乾燥してしまうからすぐに表紙が反ってきてしまって…」と本への労りの言葉が自然とこぼれる。

フェアコーナー以外の人文エリアの松岡正剛棚。
同じ三階の人文コーナーにも松岡正剛エリアは健在。「札幌店では空海の関連本が人気なんですよ(菊地店長)」
ビジネスマンから家族連れまで幅広い層から支持される札幌店では、猛暑に負けることなく本と知を愛する書店員さんがフェアを支えてくれている。どこよりもアツい札幌の「知祭り」は8月末まで開催中だ。
取材:神尾美由紀・岩野範昭
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【このエディションフェアがすごい!38】MARUZEN&ジュンク堂書店 札幌店
【このエディションフェアがすごい!37】知遊堂上越国府店(新潟県上越市)
【このエディションフェアがすごい!36】MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店(大阪市)
【このエディションフェアがすごい!35】朗月堂書店(山梨県甲府市)
【このエディションフェアがすごい!34】ジュンク堂書店柏モディ店(千葉県柏市)
【このエディションフェアがすごい!番外編】ジュンク堂書店難波店(大阪市)
【このエディションフェアがすごい!32】柳正堂書店 オギノバリオ店、甲府昭和イトーヨーカドー店(山梨県)
【このエディションフェアがすごい!31】田村書店千里中央店(大阪府豊中市)
【このエディションフェアがすごい!30】紀伊國屋書店新宿本店
【このエディションフェアがすごい!29】ジュンク堂書店郡山店
【このエディションフェアがすごい!28】ジュンク堂書店三宮店(神戸市)②
【このエディションフェアがすごい!26】敷島書房(山梨県甲斐市)
【このエディションフェアがすごい!25】ジュンク堂書店大阪本店
【このエディションフェアがすごい!24】ch.books(長野市)
【このエディションフェアがすごい!22】ジュンク堂書店吉祥寺店(武蔵野市)
【このエディションフェアがすごい!19】丸善津田沼店(千葉県習志野市)
【このエディションフェアがすごい!18】ジュンク堂書店三宮店(神戸市)
【このエディションフェアがすごい!17】ジュンク堂書店大分店
【このエディションフェアがすごい!16】ジュンク堂書店難波店(大阪市)
【このエディションフェアがすごい!15】ジュンク堂書店三宮駅前店(神戸市)
【このエディションフェアがすごい!14】長崎次郎書店(熊本市)
【このエディションフェアがすごい!13】スワロー亭(長野県小布施町)
【このエディションフェアがすごい!10】ジュンク堂書店名古屋店
【このエディションフェアがすごい!09】ジュンク堂書店鹿児島店
【このエディションフェアがすごい!07】ブックセンタークエスト小倉本店
【このエディションフェアがすごい!05】りーぶる金海堂クロスモール店(宮崎市)
【このエディションフェアがすごい!03】ジュンク堂書店池袋本店
【このエディションフェアがすごい!02】ジュンク堂書店福岡店
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エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
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コメント
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2026-01-13
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2026-01-12
午年には馬の写真集を。根室半島の沖合に浮かぶ上陸禁止の無人島には馬だけが生息している。島での役割を終え、段階的に頭数を減らし、やがて絶えることが決定づけられている島の馬を15年にわたり撮り続けてきた美しく静かな一冊。
岡田敦『ユルリ島の馬』(青幻舎)
2026-01-12
比べてみれば堂々たる勇姿。愛媛県八幡浜産「富士柿」は、サイズも日本一だ。手のひらにたっぷり乗る重量級の富士柿は、さっぱりした甘味にとろっとした食感。白身魚と合わせてカルパッチョにすると格別に美味。見方を変えれば世界は無限だ。