自らの体内から這い出したコマユバチの幼虫たちが作った繭の塊を抱きしめるシャクトリムシ。科学者は「ゾンビ化されて繭を守るよう操作されている」と解釈するけれど、これこそ「稜威」の極北の姿ではないだろうか。
正月の空気が、すべて消えてしまったわけではない。街はすでに日常へ戻り、暦も動き出しているけれど、どこかにまだ、年のはじまりの余白が残っている。酒上夕書斎は、その余白に、そっと灯をともしたいと思った。
2026年最初の酒上夕書斎。一月のテーマは、「きもの」である。
新年の開催ではない。けれど、新年の余韻を、言葉や思想だけでなく、“装い”というかたちでもう一度呼び戻せないだろうか――
その答えが、「きもの」だった。
布であり、装いであり、記憶であり、思想でもあるもの。年のはじめに、人が身を正し、気持ちをあらためるとき、自然と選ばれてきた装い。きものは、時間を区切り、気配を切り替えるための日本の知恵でもあった。
この夜、田中優子が手に取る書籍は三冊。
青木玉『幸田文の箪笥の引き出し』
志村ふくみ・鶴見和子『いのちを纏う 色・織・きものの思想』
田中優子『きもの草子』
箪笥の奥に眠る布の記憶。糸を染め、織ることから立ち上がる思想。そして、日々の暮らしのなかで「きもの」を着て、考えてきたこと。
優子学長と聞いて、真っ先に着物姿を思い浮かべる方も多いだろう。母や祖母の着物を染め直して着ること。着物の本を書くこと。織物会社に助言をし、そして、吉村堅樹林頭の着物を見立ててきたこと。きものは、優子学長にとって研究対象である以前に、長い時間をともに過ごしてきた「生活の相棒」なのだ。
酒上夕書斎ではこれまで、「たくさんの田中優子」を見せたいと洋装での出演をお願いしてきた。だが今回は特別に――「ぜひ、お着物で」。どのような着物で現れるのか。そして、その装いから、どんな「きものの話」がほどかれていくのか。
着物が日常にある方はもちろん、憧れはあるけれど距離を感じている方にも。これまで着物に興味がなかった方にも、ぜひ見ていただきたい酒上夕書斎である。この話を聞いたあと、きものは、少しだけ近い存在になっているかもしれない。あるいは、箪笥を開けてみたくなるかもしれない。
年のはじまりの余韻を、布とことばで、もう一度。2026年最初の酒上夕書斎。YouTube LIVEで、ぜひ立ち会ってほしい。
日 程:2026年1月27日(火)
時 間:16:30~(生配信)
出 演:田中優子(イシス編集学校 学長/法政大学 前総長/江戸文化研究者)
会 場:ゴートクジ イシス館 応接室より生中継
配 信:YouTube LIVE にて無料配信
URL:https://youtube.com/live/y4VjslvI3eI
衣笠純子
編集的先達:モーリス・ラヴェル。劇団四季元団員で何を歌ってもミュージカルになる特技の持ち主。折れない編集メンタルと無尽蔵の編集体力、編集工学への使命感の三位一体を備える。オリエンタルな魅力で、なぜかイタリア人に愛される、らしい。
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コメント
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2026-01-13
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2026-01-12
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