男はダマシオ 女は戦争? 【クエスト番付】多読ジムseason01・冬

2020/02/10(月)21:36
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 『デカルトの誤り』は5位だ。4位は『生きものの世界への疑問』、3位は無く『言葉の海へ』『美の幾何学』がそろって2位、大接戦を制したのは『絶叫委員会』である。

 

 1位 『絶叫委員会』穂村弘/ちくま文庫… 17人

   

 

 2位 『言葉の海へ』高田宏/新潮文庫… 15人
    『美の幾何学』伏見康治・安野光雅・中村義作/

               ノンフィクション ハヤカワ文庫… 15人

    

 

 4位 『生きものの世界への疑問』日高敏隆/朝日文庫… 14人

   

 

 5位 『デカルトの誤り―情動、理性、人間の脳』

         アントニオ・R・ダマシオ/ちくま学芸文庫… 12人 


 6位 『地図のない道』須賀敦子/新潮文庫… 11人

 

 7位 『縁あって』白洲正子/PHP文芸文庫… 10人
    『本が多すぎる』酒井順子/文春文庫… 10人


 9位 『絵本を抱えて 部屋のすみへ』江國香織/新潮文庫… 9人
    『ハイ・ライズ』J・G・バラード/創元SF文庫… 9人
    『南方熊楠―近代神仙譚』佐藤春夫/河出文庫… 9人
    『落語の言語学』野村雅昭/講談社学術文庫… 9人
    『戦争は女の顔をしていない』

     スヴェトラナー・アレクシエーヴィチ/岩波現代文庫… 9人
    『ダダ・シュルレアリスムの時代』

                  塚原史/ちくま学芸文庫… 9人
    『大人の女が美しい』長沢節/草思社文庫… 9人
    『語るボルヘス―書物・不死性・時間ほか』

                J・L・ボルヘス/岩波文庫… 9人


 17位 『辞書になった男―ケンボー先生と山田先生』

                   佐々木健一/文春文庫… 8人
    『ミステリーの書き方』

            日本推理作家協会・編著/幻冬舎文庫… 8人
    『意識と自己』アントニオ・ダマシオ/講談社学術文庫… 8人
    『ハンナ・アレント』川崎修/講談社学術文庫… 8人


 21位 『生命40億年』(上・下)

            リチャード・フォーティ/草思社文庫… 7人
    『絶望名人カフカの人生論』カフカ/新潮文庫… 7人
    『詩という仕事について』J・L・ボルヘス/岩波文庫… 7人
    『コミュニティ―安全と自由の戦場

           ジグムント・バウマン/ちくま学芸文庫… 7人


 25位 『国破れて マッカーサー』西鋭夫/中公文庫…6人
    『石原莞爾 マッカーサーが一番恐れた日本人』

                    早瀬利之/双葉文庫… 6人
    『沈んだ世界』J・G・バラード/創元SF文庫…6人
    『パラノイア創造史』荒俣宏/ちくま文庫… 6人


 29位 『TAP』グレッグ・イーガン/河出文庫… 5人
    『短編工場』集英社文庫編集部・編/集英社文庫… 5人


 31位 『日々の非常口』アーサー・ビナード/新潮文庫…4人
    『ハイデガー―存在の歴史』高田珠樹/講談社学術文庫… 4人
    『アンチクリストの誕生』レオ・ペルッツ/ちくま文庫…4人
    『人間的なアルファベット』丸谷才一/講談社文庫…4人
    『占領の記憶 記憶の占領』

             マイク・モラスキー/岩波現代文庫… 4人


 36位 『キャンティ物語』野地秩嘉/幻冬舎文庫… 3人

 

 37位 『俳諧志』(上・下)加藤郁乎/岩波現代文庫…2人

 

 38位 『短編復活』集英社文庫編集部・編/集英社文庫…0人


                        2020/02/10現在

 

 

 以上の38冊は、多読ジムで最初の1カ月に取り組む読相術トレーニング <1>ブッククエストで配信された本の一覧だ。今回、season01冬の課題本は、40[守]・40[破]の感門之盟で松岡校長が師範代諸氏に贈本した「先達文庫」から選ばれた。トレーニング <1>は、読衆が3冊のキーブックを選択することから始まる。

 

 本記事では、ブックリストを公開するだけでなく、キーブックに選んだ人数の多い順にリオーダー(再配列)した。このランキングは本邦初公開。ジムの冊師も読衆もこの記事で初めて知ることになる。スタジオによっては、意外な結果に少々おどろく読衆もいるかもしれない。それほど、選本も稽古もスタジオごとに特色があらわれているからだ。

 

◉たとえば、1位の『絶叫委員会』はスタジオ栞(丸冊師)とスタジオ*ローグ(おおくぼ冊師)とスタジオAZ(宮川冊師)ではトップ人気だったが、スタジオ伴窓(カトめぐ冊師)では誰も選ばなかった。『絶叫委員会』がダントツで多かったローグのおおくぼ冊師は「タイトルのネーミング勝ち」と見立てている。

 

◉他方、タイトルで選んだのに想定した内容とは異なっていて拍子抜けを喰わされたという読衆もいる。スタジオAZの石川奈穂子は、サブタイトルの「マッカーサー」にアフォードされて『石原莞爾 マッカーサーが一番恐れた日本人』を手にとったのだが、そこにマッカーサーはいなかった。「カバーや帯のすみずみまで、この日本軍人(石原莞爾)のことしか書かれていなかった」。

 

◉AZでは先達文庫らしいムーヴメントが巻き起こる。AZの読衆・後藤由加里の[40]守師範代時代の先達文庫『ダダ・シュルレアリスムの時代』が『絶叫委員会』と並んで一番人気だった。

 

◉スタジオふきよせ(松尾亘冊師)は、ジム全体では31位だった『日々の非常口』を選んだ人数がもっとも多かった。他に『日々の非常口』が選ばれたスタジオは、ふきよせと同様に『美の幾何学』の人気が高かったスタジオポテチ(宮野悦夫)とスタジオ栞。

 

◉スタジオ印(吉野冊師)では『デカルトの誤り』『意識と自己』を合わせて6人、スタジオの半数以上がダマシオを選んだ。さらに途中から『絶望名人カフカの人生論』の人気が急上昇し、スタジオ印ではちょっとした絶望ブームが起きているようだ。

 

◉スタジオこんれん(麻子冊師)では、男性はダマシオ、女性は戦争を選ぶ傾向があった。我がスタジオはねぺん(小萩冊師)では、「沖縄に暮らす者として読まねばならない、読まずにいられない」と『占領の記憶 記憶の占領』、そして『戦争は女の顔をしていない』『ハンナ・アレント』を選んだ渡會眞澄の3冊がぎらぎら際立っていた。

 

 

  • 金 宗 代 QUIM JONG DAE

    編集的先達:水木しげる
    最年少《典離》以来、幻のNARASIA3、近大DONDEN、多読ジム、KADOKAWAエディットタウンと数々のプロジェクトを牽引。先鋭的な編集センスをもつエディスト副編集長。
    photo: yukari goto

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