Edist編集部の今月オススメ記事はこの1本!【2020年6月】

2020/06/11(木)10:50
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  • 毎月公開されるEdist記事は30本以上! Edist 編集部メンバーたちから、今月おさえておきたいオススメ記事をお届けします。エディストをさらに楽しむ「エディスト・エディション」、どうぞ。
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  • ◎遊刊エディスト編集部◎ 吉村堅樹 林頭, 金宗代 代将, 川野貴志 師範, 後藤由加里 師範, 上杉公志 師範代, 松原朋子 師範代
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    • 1 後藤’s Choice! 
    •      ─ 波及のインパクトでPick!


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  • 「マンガを方法する」という方針のもと、近畿大学アカデミックシアターDONDENの LEGEND50を走破する長距離マラソン連載の4人目は、近藤ようこ先生でした。編集学校のTwitterで記事がアップされると、近藤ようこ先生自らリツイート。そこから漫画関係の方々に広く波及していきました。話題のみならず、堀江さんが女性漫画家も模写できるということを宣言した回でもありました。エディスト読者の中でも着実にファンが増えている堀江さんの「マンガのスコア」は、今後も必読です。

     

    そして、永遠の少女たちよ、水野英子先生に触れ、あのときの忘れものにも思いを馳せてください。

 

 

  • マツコ:「マンガのスコア」、ついに連載10回を超えました!全リストはこちらどうぞご覧ください。堀江さんと金副編集長のタッグで生み出された本企画。取り上げた方が5人、LEGEND50だから、あと45人が模写を待っている!

 

 

  • 2 林頭 吉村’s Choice! 
  •      ─ イシスの今をPick!

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  • 5月のイシスはずばり「世阿弥」の月と言ってもいいでしょう。世阿弥といえば風姿花伝、風姿花伝といえばISIS花伝所。花伝所の入伝式では風姿花伝に肖ったコーナータイトルがデザイナーの穂積によってあしらわれました。

     

  • 世阿弥に肖り 33[花]入伝式 10shot

     

    そして、20周年記念の輪読座は「世阿弥を読む」。新たな仕組みで生まれ変わった輪読座。インタラクティブな設えによって、これまで以上に輪読や質疑が交わされる場になっています。映像、音声で後追いもできるので、今からでもサテライト受講はオススメです。

     

  • 【輪読座】『風姿花伝』から『花鏡』へ 「用」から「体」へ

     

    最後はエディストではありませんが、編集工学研究所専務・安藤昭子による世阿弥読み。免疫システムとの重ね読みもぜひご一読ください。

     

  • BOOKWARE column vol.1 [対読篇]世阿弥のスーパーシステムに学ぶ

 

マツコ:フォトグラファー・後藤由加里の熱ほとばしる花伝10ショット、輪読座からは個性にじみ出る図像たち、そして新しく始まった編集工学研究所のBOOKWARE column。01収集、06凝縮、09原型、10模型、20結合、30相似、33輪郭、39意匠、55場面、56激化(六十四編集技法)などなどが効いてます!

 

吉村編集長に続いて、金副編集長からは、こちら↓

 

 

  • 3 副編集長 金’s Choice! 
  •        成長著しいこの人をPick!

 

第1回連雀会議~風韻史上初の「オンライン仄明」に向けて (JUST記事)

風に乗ってふらり旅する秘湯歌仙 (POST記事)

 

5月はついに風韻講座の記事が初登場しました。執筆者は連雀の福澤美穂子さんと大武美和子さん。福澤さんは炭酸水のようなプシュッと爽快なPOSTを、大武さんはJUSTを文字通り軽妙洒脱に、それぞれの持ち味で綴ってくれました。どんな些細な日常でも、編集方法によってニュースになりうることをあらためて実感。ちなみに、木村月匠はいまだにZOOMでカオナシだそうです(笑)。

 

マツコ:“イシスの温泉”ともいわれる、癒し系・風韻講座の、癒し系連雀のおふたりが、風韻のニュースを届けてくださることになり、編集部としては沸きました。このあとも、楽しみです!

 

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    • 4 マエストロ上杉’s Choice! 
    •       ─ 応援ファンファーレでPick!
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  • 33[花]入伝式「生命にまでリバースせよ」パンデミックな林頭講義
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    今、エディスト内屈指の筆力・編集力の持ち主のウメコこと、梅澤奈央さんの一作。
    間違いなく100年後の歴史にも残っているであろう新型コロナウィルス パンデミック下で、約400年前の利休の茶室文化を通過し、40数億年前の生命にまでリバースしたヒストリックでエキセントリックな吉村林頭講義の方法に触れられる。

    ウメコ記事をまだ読んでいないなんて、もったいない!

 

 

マツコ:ホントにもったいない!ので、みなさんぜひご一読いただきたいですね~。こちらの記事も、「分類」をつかった妙記事、マツコおすすめです。


33[花]入伝式 オンライン自己紹介を印象的にする3つの方法

 

 

  • 川野’s Choice! 
  •      ─ 流麗な文章表現でPick!

 

「流麗な表現」というのを評価軸にもらっておりましたが、そろそろど真ん中の、宮前さんの小説を挙げさせてください。

 

【ISIS短編小説】一瞬の皹・日々の一旬 読み切り第六回 粉黛の倣い

 

編集プロセスの開示までがくっついているのがこの記事の目玉なので、屋上屋を架すようなコメントは避けたいところですが、このシリーズでものすごいのは、どんな作品を書くかから、編集術で決まっているところなんですよね。私、編集学校の物語講座は受講できていないんです。

 

「内発的に言わずにいられないことがないと小説なんて書けない」と漠然と思っていたわけですが、ここまでのものが編集的連想から立ち上がってくるとなると、ちょっと何も言えなくなります。

 

この作品は、近松門左衛門の「編伝」となっているわけですが、これを書くためにかねがね近松の取材をしていた、とかではない。編集術の圧倒的な可能性に、いやが上にも気づかされる記事です。そういう意味では、素晴らしい短編小説なんですけども、やはり編集術の可能性を伝える「記事」なんだと思いました。エディストでしか伝えられないことがありますね。とんでもない一本です。

 

この第六回の方を選んだのは、ふるさとが誇る上田紬がでてくるから。身びいきです(笑)

 

 

マツコ:いやはや、本当にです。こんな短編小説が軽々とOnしているEdistはスゴイですよね(笑)イシス編集学校にあるアイテムから連想を広げて小説化する本連載ですが、次にこの姿見をのぞくときには、色っぽい鯉籠のうなじが写っていそうで(赤面…!)

先日、「意味単位のネットワーク」といえば、桂師範が[守]の伝習座で解説し、それを転じて小倉加奈子さんがコラムを執筆し、堀江純一さんの「マンガのスコア LEGEND03鳥山明②たくさんの「わたし」」でも、触れられていますよ。方法を駆使してつくる作品、きっと守・破を経た方にはグッとくること間違いなし?!

 

 

みなさんのオシは、見つかりましたか?

以上、2020年4月の編集部おすすめ記事をお届けしました。

 

5月も見逃せないぞ、遊刊エディスト! またどうぞお楽しみに~

 

 

(Comments by マツコ@編集部 )

  • エディスト編集部

    編集的先達:松岡正剛
    「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。

コメント

1~3件/3件

川邊透

2025-06-30

エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
 
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
 
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。

堀江純一

2025-06-28

ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。

山田細香

2025-06-22

 小学校に入ってすぐにレゴを買ってもらい、ハマった。手持ちのブロックを色や形ごとに袋分けすることから始まり、形をイメージしながら袋に手を入れ、ガラガラかき回しながらパーツを選んで組み立てる。完成したら夕方4時からNHKで放送される世界各国の風景映像の前にかざし、クルクル方向を変えて眺めてから壊す。バラバラになった部品をまた分ける。この繰り返しが楽しくてたまらなかった。
 ブロックはグリッドが決まっているので繊細な表現をするのは難しい。だからイメージしたモノをまず略図化する必要がある。近くから遠くから眺めてみて、作りたい形のアウトラインを決める。これが上手くいかないと、「らしさ」は浮かび上がってこない。