巣の入口に集結して、何やら相談中のニホンミツバチたち。言葉はなくても、ダンスや触れ合いやそれに基づく現場探索の積み重ねによって、短時間で最良の意思決定に辿り着く。人間はどこで間違ってしまったのだろう。
リカちゃん人形よりもその小さな靴に愛着を感じたり、消しゴムの削りカスをずっといじっていたり、牛乳瓶の蓋だけ集めたり、そんなことをしていた幼い記憶はないだろうか。「部分は全体を凌駕する」とは松岡正剛の言葉。少年は一本の車輪スポークで自転車の全体を知る。マレーネ・ディートリッヒの細い眉、藤田嗣治のおかっぱ頭、ジェームズ・ディーンの咥えタバコ。その人を象徴するものも、いつだって部分に集約されているのであった。
2024年1月25日に傘寿80歳を迎える校長松岡正剛を祝い、倶楽部撮家で「松岡正剛を構成する部分、部品、要素を撮影せよ」というお題を掲げてカメラを抱えた。部分から校長松岡を考え、解体してみようという試みである。今秋、倶楽部撮家の新メンバーとなった小野泰秀を加えて、メンバーそれぞれ想いをこめてシャッターを切る。参考にしたのは『雑品屋セイゴオ』「千夜千冊」などなど。「セイゴオ部品あり〼。」と題して、倶楽部撮家presents傘寿祝いをお贈りする。
お題
「これが松岡正剛をつくってきた」と思う「もの」を選び、校長松岡を構成していると考える《部分・部品・要素》を撮影せよ。

松岡正剛といえば、煙草、Vコーン、丸眼鏡など身の回りにある「もの」も想起されるが、ここに揃ったのは意外なものも多く、並べてみると校長のいまとむかしを行き来するような景色になった。どこかノスタルジックな漂いを感じるのは『雑品屋セイゴオ』を引いたせいか。いや、そうとも限らない。松岡自身がいつもどこかに懐かしさや切なさを抱えていて、解体しようと思うとそこに触れざるを得ないからかもしれない。
「傘寿祝い セイゴオ部品あり〼。」はイシス編集学校インスタグラム(@isis_editschool)でも同時展開中。
後藤由加里
編集的先達:石内都
NARASIA、DONDENといったプロジェクト、イシスでは師範に感門司会と多岐に渡って活躍する編集プレイヤー。フレディー・マーキュリーを愛し、編集学校のグレタ・ガルボを目指す。倶楽部撮家として、ISIS編集学校Instagram(@isis_editschool)更新中!
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