をぐら離 文巻第0週

2020/10/31(土)15:32
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10月13日(火)


「身体が越境しなくてもここがそのまま、まるでここではないどこかになってしまう可能性が常に頭の中にある」

──林愛『未知奥トポスめぐり 超え続ける水平線-八戸のシーザー』



 病理診断82件、経産省プロジェクトMTG6時間、『倫理学入門』文庫版『日本という方法』『情報生命』三冊屋読書30分。
 最後の病理診断を終えるともはや思考停止状態。“頭満感”。病理診断も1件ずつが多様だが、MTGで交わされる発想も多彩で多密。
 インプット情報の三密状態が頭満感の原因。これだと頭も越境できない。
 脳にもソーシャル・ディスタンス、法華経でいう空席、そして、情報のIN・OUTの再分節化が必要。明日からがんばる(今日は寝る)。

 

 

10月15日(木)


「きっと、ものを書くということに、どこか犯罪に似たところがあるからにちがいない」

──江藤淳『犬と私』


 

 もうしゃべりたくない。書き仕事と電話が多すぎた。OUT偏重症候群疑い。「読む」の長期処方。
 「きっと、ものを読むということに、どこか整体に似たところがあるにちがいない」

 

 

10月17日(土)


「仕事がブルシットなんじゃない。システムがブルシットなのである」──大澤真幸さん

「編集稽古は、属性が伏せられたところからはじまる」──鈴木康代さん

「インサイダーであってアウトサイダーであり続けることが大事」──山本貴光さん


 

 Hyper-Editing Platform[AIDA]をオブザーブ。INにときめく5時間。
 病理診断2時間、エディストコラム執筆90分、読書90分が加速・充実。相互編集状態の惹起。

 

 

10月21日(水)


「「知らない」から「知りたくない」に変わっていくのだ。しかし、自分たちがうまくいっているのは、誰かがうまくいっていないからだと私たちは暗に気がついているのではないか」

──斎藤幸平『人新世の「資本論」』


 

 

 自転車通勤1時間に足痩せトレーニングに腹筋。脳内情報の停滞とふくらはぎのむくみとお腹のたるみは相関があると思う。
 『人新生の「資本論」』は、間違いなく2020年の代表的1冊。『身銭を切る』は、次点に(タレブさん、ごめんね)。脱成長型コミュニズムを思想の「地」にした「図」を意識していきたい。
 イシス編集学校は、学びの場にとどまらず、脱成長型コミュニズムの先駆的な取り組みではないか。

 

 

10月23日(金)


「校長の文章はわかりにくい。なぜもっとわかりやすく書かないのか?校長の答えはこうだった。「わかりやすいって何?」」

──羽根田月香「イシス人インタビュー☆イシスのイシツ」【福田容子の伝説/File No.2】



 羽根田さんの書いたふくよさんエピソード。校長→ふくよさん→羽根田さん→をぐら+不特定多数。書き言葉の伝播力を再確認。特に誰かの中に長い間格納され、ヴィヴィッドな情景とともに想起される「問+感応」入りの言葉は読み手に「答→返」をもたらす。
 わかりやすさを求めすぎてないか。わかれば面白いが、わかりやすいのは面白くない。いつだって面白がっていたい。「わからなさ」という余地を処方(10余地/1プロジェクト)。
 病理診断0件。読書時間10分。経産省MTG5時間。読書のIN不足注意。

 14離開講までday30。文巻読書と図解。明日は少し寝坊。

 

 

10月24日(土)


「あらかじめデュアルな埒を用意しておき、いったん事態を新たな埒の方へ、そのスペースに転移させる。」

──松岡正剛『日本文化の核心』



 遊刊エディストにて、AIDA KW File(別名:カトめぐのAIDA用語蒐集)はじまる。01は「埒をあける」。どこまでもfineな編集。編集手本は多すぎるほど良い。カトめぐ3方法錠/(編集不足時・6時間空ける)
 『日本文化の核心』『日本という方法』『文巻第11週-日本という方法-』の方法日本三冊屋読書開始。病理診断44件。筋トレ15分、図解30分、読書60分(『方法文学』『情報生命』含む)。

 

 

10月28日(水)


「それ以前のぼくはむろんあったけれど、それ以前を含めて、ぼくはそのトレーニングの中で「編集的自己という松岡正剛」になったわけですよ。」──松岡正剛・千夜千冊1305夜『無意識の脳・自己意識の脳』アントニオ・ダマシオ


 

 かはのたかしくんからウイルスに関しての質問が寄せられる。たまたま「MEdit ウイルスバトル」のカードゲーム開発中。かはのくんはいつも間が良い。非自己の認識によって成長していく免疫的自己は、ウイルス的自己の全貌をいつもつかみ損ねる。フランスは2回目のロックダウン。編集的自己はどうするか。
 病理診断件数20件(サインアウト90分)。自転車60分、読書時間10分、ウイルスカード作り60分。筋トレさぼる。筋トレも多読筋トレも不足。編集筋萎縮症に注意。

 

 


10月30日(金)


「諸君はむしろ、心のマスクを取り去り、思考に僅かな消毒液など噴霧せずに、堂々とやって来なさい。自粛は無用。」

──松岡正剛「第十四季[離]世界読書奥義伝」


 

 顕微鏡世界で迷子になる。複雑な構造の頭頚部病理には立体感覚が不可欠。地図盲(≒地図帳回転症)。鳥の目の強化必要。病理診断40件、MEdit Labo MTG 5時間(本楼)。細部をつめて解像度高める。これは虫の目効果。
 いよいよ14離開講の11月へ。心のマスクを外す準備を。萎縮せず逸脱の覚悟を。


  • 小倉加奈子

    編集的先達:ブライアン・グリーン。病理医で、妻で、二児の母で、天然”じゅんちゃん”の娘、そしてイシス編集学校「析匠」。仕事も生活もイシスもすべて重ねて超加速する編集アスリート。『おしゃべり病理医』シリーズ本の執筆から経産省STEAMライブラリー教材「おしゃべり病理医のMEdit Lab」開発し、順天堂大学内に「MEdit Lab 順天堂大学STEAM教育研究会」http://meditlab.jpを発足。野望は、編集工学パンデミック。