【松岡正剛 映写室 Take-08】書を巡り墨に溺れる

2022/12/11(日)08:08 img
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【松岡正剛 映写室】は師範の林が松岡正剛の表舞台、裏舞台を動画撮影した記録を蔵出ししていくEdist企画です。

 

【Take-08】は、松岡が10月に成田山書道美術館を視察した時の映像と「書」にまつわるインタビューをお届けします。松岡は本を読むのも早いが美術館を見てまわるのも早い。まるで高速スキャニングマシーンのようだ。私は松岡の背中をカメラで追いかけながら、静かにじっとりと汗をかいた。足を止めるのは、ココぞの作品に限っている。にも関わらず、「アレよりコッチのがいいね」という具合に作品を比較、照合していく。全体と部分を行き来させながら、新しい書の世界を構想していく。視察の模様は先に公開された記事「新ハイパーミュージアムの夜明け前? 」に詳述されているが、動画では、松岡がこれまで書から受けてきた面影ごと感じてもらいたい。

 

【松岡正剛 映写室 Take-08】書を巡り墨に溺れる

※映像化にあたり和泉佳奈子さん(株式会社百間 代表)、成田山書道美術館にご協力いただきました。

 

2022年12月16日(金) ~12月18日(日)の3日間、東京芸術劇場(池袋)で開催される、田中泯のダンス舞台「外は、良寛。」は、松岡の著書『外は、良寛。』にインスパイアされた作品だ。松岡が「言語空間」を担当している。こちらの新しい書の世界も合わせてご覧いただきたい。

 

撮影・編集 林朝恵
撮影・アイキャッチ写真 後藤由加里
企画協力 和泉佳奈子《百間
撮影協力 成田山書道美術館

 

【Back Number】

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  • 林朝恵

    編集的先達:ウディ・アレン。「あいだ」と「らしさ」の相互編集の達人、くすぐりポイントを見つけるとニヤリと笑う。NYへ映画留学後、千人の外国人講師の人事に。花伝所の花目付、倶楽部撮家で撮影・編集とマルチロールで進行中。

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コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-22

 小学校に入ってすぐにレゴを買ってもらい、ハマった。手持ちのブロックを色や形ごとに袋分けすることから始まり、形をイメージしながら袋に手を入れ、ガラガラかき回しながらパーツを選んで組み立てる。完成したら夕方4時からNHKで放送される世界各国の風景映像の前にかざし、クルクル方向を変えて眺めてから壊す。バラバラになった部品をまた分ける。この繰り返しが楽しくてたまらなかった。
 ブロックはグリッドが決まっているので繊細な表現をするのは難しい。だからイメージしたモノをまず略図化する必要がある。近くから遠くから眺めてみて、作りたい形のアウトラインを決める。これが上手くいかないと、「らしさ」は浮かび上がってこない。

堀江純一

2025-06-20

石川淳といえば、同姓同名のマンガ家に、いしかわじゅん、という人がいますが、彼にはちょっとした笑い話があります。
ある時、いしかわ氏の口座に心当たりのない振り込みがあった。しばらくして出版社から連絡が…。
「文学者の石川淳先生の原稿料を、間違えて、いしかわ先生のところに振り込んでしまいました!!」
振り込み返してくれと言われてその通りにしたそうですが、「間違えた先がオレだったからよかったけど、反対だったらどうしてたんだろうね」と笑い話にされてました。(マンガ家いしかわじゅんについては「マンガのスコア」吾妻ひでお回、安彦良和回などをご参照のこと)

ところで石川淳と聞くと、本格的な大文豪といった感じで、なんとなく近寄りがたい気がしませんか。しかし意外に洒脱な文体はリーダビリティが高く、物語の運びもエンタメ心にあふれています。「山桜」は幕切れも鮮やかな幻想譚。「鷹」は愛煙家必読のマジックリアリズム。「前身」は石川淳に意外なギャグセンスがあることを知らしめる抱腹絶倒の爆笑譚。是非ご一読を。

川邊透

2025-06-17

私たちを取り巻く世界、私たちが感じる世界を相対化し、ふんわふわな気持ちにさせてくれるエピソード、楽しく拝聴しました。

虫に因むお話がたくさん出てきましたね。
イモムシが蛹~蝶に変態する瀬戸際の心象とはどういうものなのか、確かに、気になってしようがありません。
チョウや蚊のように、指先で味を感じられるようになったとしたら、私たちのグルメ生活はいったいどんな衣替えをするのでしょう。

虫たちの「カラダセンサー」のあれこれが少しでも気になった方には、ロンドン大学教授(感覚・行動生態学)ラース・チットカ著『ハチは心をもっている』がオススメです。
(カモノハシが圧力場、電場のようなものを感じているというお話がありましたが、)身近なハチたちが、あのコンパクトな体の中に隠し持っている、電場、地場、偏光等々を感じ取るしくみについて、科学的検証の苦労話などにもニンマリしつつ、遠く深く知ることができます。
で、タイトルが示すように、読み進むうちに、ハチにまつわるトンデモ話は感覚ワールド界隈に留まらず、私たちの「心」を相対化し、「意識」を優しく包み込んで無重力宇宙に置き去りにしてしまいます。
ぜひ、めくるめく昆虫沼の一端を覗き見してみてください。

おかわり旬感本
(6)『ハチは心をもっている』ラース・チットカ(著)今西康子(訳)みすず書房 2025