発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。

本楼の最奥部に陣取った松岡正剛がゆっくりと話しはじめた。
「ほんのれんには、本と遊ぶことのすべてが詰まっている」。
天井まで積まれた2万冊の本と、4人のほんのれん編集部が一言も漏らすまいと聞き耳を立てる。本棚の奥から響く声は、こう続いた。
「コカ・コーラを売るならば、ボトルのデザインに凝り、CMでは海辺の光景を見せ、アメリカ最大のイベント・スーパーボウルとタイアップする。編工研は、本に対してそれくらいのことができるんだから。ほんのれんには、それが託されているからね」。
松岡正剛は「本」の力を誰よりも知っていた。薄っぺらい紙に記された小さな記号を読むことが、世界を転覆させうるラディカルな編集行為だと世に示したアナーキストだった。そして、最大の武器は「共読」なのだと、徒党を組んだ札付きの危険人物だった。その旗印に集ったのが、私たちイシス編集学校の学衆である。
本を読むとは、
本来はつねに社会変革の風を孕むものだ
1661夜『江戸の読書会』
江戸の私塾は「会読」という方法があった。幕末の志士たちは、よく読み、よく行動した。さて、「共読」の学校で学ぶ私たちはどうすべきなのか。
イシス編集学校の母体である編集工学研究所では、共読の文化をこの社会へと広めていく運動を進めている。それが「ほんのれん」プロジェクトだ。
ほんのれんラジオでは、イシス編集学校 世界読書奥義伝[離]を退院した4名(仁禮洋子、山本春奈、尾島可奈子、梅澤奈央)が松岡正剛を偲ぶエピソードを配信した。松岡正剛に学んだことを語りあい、現代日本に「本の連」を生み出すべく奮闘するようすを、ぜひお聞きいただきたい。
ほんのれん編集部では、お便りフォームをご用意しました。
リスナーのみなさまのご感想やご意見、扱ってほしいテーマから、
松岡校長への思いなど、なんでもお聞かせください。
ほんのれんプロジェクトにお手伝いいただける方も募集しています。
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ほんのれん編集部公式noteも更新中!
ほんのれん編集部
編集工学研究所×丸善雄松堂が提供する一畳ライブラリー「ほんのれん」の選書やメディア制作を手掛けるメンバー。関西弁で跳ねるデザイン知カンガルー・仁禮洋子(ニレヨーコ)、小鳥の風貌ながら知的猛禽類な山本春奈(はるにゃ)、昭和レトロを愛する果敢なコンパイル亀・尾島可奈子(おじー)、2倍速で情報収集する雑読チーター・梅澤奈央(ウメコ)ほか。ほんのれんラジオは毎週水曜更新中。ほんのれん編集部公式noteにこれまでのアーカイブを蓄積してます。https://note.com/honnoren/
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コメント
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2025-07-01
発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。
2025-06-30
エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。
2025-06-28
ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。