【特集】ETS群島リレー14@仙台 イシス流星群とセロの声

2019/10/10(木)17:20
img POSTedit

 「いいかい、これは歴史と地理の辞典だよ」。宮澤賢治『銀河鉄道の夜』の一節だ。

 

 未知奥連の弦主・森由佳がイシス編集学校に入門したきっかけは『情報の歴史』(松岡正剛、編集工学研究所、NTT出版)だった。ふっと谺(こだま)する「あのやさしいセロのような声」に慄いた。

 

 エディットツアーに乗り込んだ12名の参加者は、仙台のイメージをマネージしていく稽古に挑んだ。伊達な都会の風景は星の数ほどある。みたての座、じとずの座、夏の編集大三角形、次々と生まれるイシス流星群。

 

 新たな星座の生誕に場が湧き立つ。星影に映したのは、誇らしい広瀬川と、懐かしい路面電車と、要らない原発だった。

 

 『銀河鉄道の夜』は「ほんとうのさいわい」を探し求める物語である。やにわに参加者一堂にとっての「やさしいセロのような声」が響く。

 

 エピローグは森弦主の一声がやんわりと場内を包みこんだ。心に稽古の充実、口にまめいちの「言玉」、そして片手に44[守]の割引優待券を握りしめて、ジョバンニとカンパネルラのように、ゆくゆくエディット・オデッセイへ。

  • 齋藤シゲノリ

    編集的先達:梶原一騎。編工研バイトがきっかけでイシスに出会う。レスリングマニアで、編集学校イベントでは必ずプロレスTシャツで登場。学衆が師範代を娶る逆イシス婚を寝技で決めた。妻は納富師範代。

コメント

1~3件/3件

堀江純一

2025-10-02

何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

川邊透

2025-09-30

♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。

若林牧子

2025-09-24

初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。