「いいかい、これは歴史と地理の辞典だよ」。宮澤賢治『銀河鉄道の夜』の一節だ。
未知奥連の弦主・森由佳がイシス編集学校に入門したきっかけは『情報の歴史』(松岡正剛、編集工学研究所、NTT出版)だった。ふっと谺(こだま)する「あのやさしいセロのような声」に慄いた。
エディットツアーに乗り込んだ12名の参加者は、仙台のイメージをマネージしていく稽古に挑んだ。伊達な都会の風景は星の数ほどある。みたての座、じとずの座、夏の編集大三角形、次々と生まれるイシス流星群。
新たな星座の生誕に場が湧き立つ。星影に映したのは、誇らしい広瀬川と、懐かしい路面電車と、要らない原発だった。
『銀河鉄道の夜』は「ほんとうのさいわい」を探し求める物語である。やにわに参加者一堂にとっての「やさしいセロのような声」が響く。
エピローグは森弦主の一声がやんわりと場内を包みこんだ。心に稽古の充実、口にまめいちの「言玉」、そして片手に44[守]の割引優待券を握りしめて、ジョバンニとカンパネルラのように、ゆくゆくエディット・オデッセイへ。
齋藤シゲノリ
編集的先達:梶原一騎。編工研バイトがきっかけでイシスに出会う。レスリングマニアで、編集学校イベントでは必ずプロレスTシャツで登場。学衆が師範代を娶る逆イシス婚を寝技で決めた。妻は納富師範代。
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