夏休みも残りわずかとなった。絵日記や読書感想文などの宿題ははかどっているだろうか。お子さんから「夏休みの作文が書けないからどこかに連れていって!」とせがまれているお父さん、お母さんも多いかもしれない。
8月3日(土)に行われた福岡でのツアーは、そんな夏休みの親子を救うべく計画された。
企画スタートはリサーチから
ナビゲーターは、49[守]アニマ臨風教室で師範代をつとめた寺田悠人。会場であるコミセン和白がある福岡市東区在住で、今回初めてナビを担当する。
寺田がまず行ったのはリサーチだ。自身の小学生時代を思い出し、親戚の子どもたちに現在の夏休みの宿題について尋ねた。福岡市では読書感想文は学校の授業で行われ、夏休みの宿題は夏休み期間中の毎日の日記をもとに作文を書くことが多いらしい。
そこで企画の対象は作文を中心とし、子ども編集学校が開発した読書感想文が書けるようになる「よみかき編集ワーク」の次第を一部変更してワークを組み立て、独自にチラシを作成して、近隣の住宅街でポスティングを行った。
その甲斐あってか、当日は6組の親子とイシスの講座を受講中のIさん、会場キャパぎりぎりの13名が集まった。
正面右がナビゲータの寺田。サブは師範の石井梨香(福岡)がつとめた。会場奥には絵本や松岡校長の本コーナーを設置。
イメージをひろげる
よみかき編集ワークをひとことで言うと「広げてまとめる」だ。
ワークは、書きたいことを広げる準備運動からスタートした。まずは、一人ずつに「夏」から思い浮かぶことをあげていく。すいか、うちわ、お祭り、海、風鈴、アイス、ビール、そうめん流し、マリンワールド…夏の景色がどんどん広がっていく。
続いて登場したのは「きゅうり」。五感を刺激する今日の目玉だ。計画では寺田家の菜園で育てたきゅうりを準備する予定だったが、暑さのためこの日まで持たず、地元の農家が育てたものを、信頼できるオーガニック店を通じて手に入れた。
まずはみなできゅうりを味わい、五感で感じたことを言葉にする。甘い。まあるい味。みずみずしい匂い。でこぼこ・ツルツルしてる。食べたらカプッと、噛んだらガリガリという音がした。子どもたちから次々と言葉が出てくる。
「ひとくにちに連想と言っても、夏のイメージのようにいろいろな言葉を広く思い浮かべる場合と、一つのものを匂いや味などいろんな角度から観察して言葉にする場合があるんですね」。寺田がワークで行ったことを意味づける。
ここまでの広げるワークの勢いを生かして、作文づくりの第一歩、連想シートの書込みに入る。テーマは「きのうのできごと」。まず書きたいこと(キーワード)を決める。キーワードが決まったら、それに関係した言葉(ホットワード)を書いていく。
書きたいことを選んでつなげる
シートが書けたら、4つの絵を並びける4コマ漫画のカット編集ワークで、並べる順番で物語が変わること感じ、いよいよ作文へ。
連想シートに書き出したホットワードから3つ選ぶ。まとめるためには選ぶ過程が重要だ。「昨日の出来事を誰に伝えたいかを考えて、その人に言いたいワードを選ぼう」選んだら次は並び替えだ。「どの順番で話したいかを考えて並びを決めよう」ナビの声かけも頼りに手を動かす参加者。
想像以上のスピードでホットワードが並んだ。次は並べたホットワードをつないで文章にしていく。「きゅうりでやったみたいな、自分の感じたことや、気持ちを入れてもいいよ」。テーブルコーチが一人ひとりの様子を見ながら声をかける。質問をしながら参加者の気持ちを引きだしていく。
テーブルコーチは手前から師範代の三苫麻里(福岡)と師範の吉田麻子(熊本)。
気持ち入りの作文が仕上がった
予定していた時間より早く作文が仕上がり、ひとりずつ発表をした。夏休みの自由研究の構想、ショッピングセンターで幼稚園の頃の友達に突然会ったこと、書道教室での真剣な時間と稽古後のホッとするひと時、今夢中になっているゲームのおもしろさ、新しくできた友達から花の香りがしたこと、職業体験で楽しかったこと…読み上げる度に感嘆の声があがり、笑顔が広がった。
子どもたち、お父さんやお母さんたちの何気ない一日の中に、宝物のような瞬間や気持ちがあったことが伝わってきた。
「作文に書いたことが、親の思っていることと違っていて、そこが嬉しかったのだと気づきました」「書道教室でそんなことを考えていたのですね」。おやごさんの感想から、作文を通して、お互いコミュニケーションが深まったこともうかがえた。
よみかきの型を使うと、伝えたいことを自分らしい表現で伝えられる。「普通の日」がかがやく夏の思い出になる。作文を書くことで、幸せのわけっこもできるのだ。
(文:寺田悠人、石井梨香)
(写真:三苫麻里、石井梨香)
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