「みなさん、おはようございます! ここからは子どもイシスの時間です。大人のみなさんも、お題にどうぞ挑戦してください」
感門之盟2日目朝のプログラム「子どもイシス」のナビを務めたのは「編集かあさん」連載中の松井路代[多読ジム冊師]である。
「日本の編集家族」としてナマ出演したのはこの6組。
兵庫から吉野陽子[冊師]とけいすけくん(小2)。
旅先の京都から得原藍[本楼おやこ塾ナビ]とかずまくん(5歳)、友達のてるくん(2歳)。
東京から景山卓也[冊師]とかふうくん(3歳)。
愛知から上原悦子[42破師範代]とごうくん(3歳)。
広島から浦澤美穂[43守師範代]とみちちゃん(7か月)。
そして大阪から泉谷さん[多読ジム読衆]とゆきちゃん(小3)。
「すきなもの3つ」の自己紹介のあと、お題タイムに入る。
今日のお題のタネは絵本『なにをたべてきたの?』(岸田衿子文・長野博一絵/佼成出版社)。ナビがよく見えるようカメラの前に掲げる。
「表紙を見ると主人公“ぶたくん”のおなかに色がついています。さあ、なにをたべて、こうなったのか想像をめぐらせてみよう」。
けいすけくんが速攻で画面に写してくれた回答は「りんご」。
「パッと浮かんだんだ」とコメント。きっと0.01秒ぐらいでつながったんだね、「りんご」っていうのは浮かびやすい食べ物なのかもしれないねとプロセスを一緒にトレースする。
得原さんちのかずまくんはワークシートを持って画面の外へいってしまったらしい。きっと場所を移してあれこれ連想中なのだ。友だちのてるくんが「いちごをぱくぱく」とずばり回答。「2歳でもお題はできるんだって、発見でした」と傍らの得原さん。いちご、好きなのかな? お題を通してその子のホントの「好き」が透けてみえるのがおもしろい。
ごうくんは「りんごとぶどうをごむごむ」食べたと回答した。上原かあさんは驚きつつもワークシートにそう書いた。「ごむごむ」というオノマトペに会場が湧く。ごうくんはニコニコしながら、自分のお気に入りのおもちゃをみんなに披露してくれた。「知らせたい」が溢れている。
かふうくんは「りんごといちごとポスト」と回答。4つの色の中から赤に注目して、身近な赤いもの3つをあげたのだと想像する。ポストが突出している! おとなの「ほんと」を揺さぶる回答だ。
浦澤さん家の回答は「ぶどう」。種入りのイラストの丁寧なイラストにナビの松井、感じ入る。赤ちゃんとのワークでは「かあさん」が「代わり」に回答する。この時子どもの視点が混じってくるのが醍醐味なのである。みちちゃんの瞳にはきっと種がうつっているのだろうと思う。
一番年長のゆきちゃんは、サツマイモの絵をとても丁寧に書いてくれた。回答シートのぶたさんも秋色に染まっている。「地」の変化にも目を配る、俯瞰的な視点が育っているのを感じた。
絵本から「なにをたべてきたの?」「( )をたべてきたよ」の「型」を取り出して作ったお題。
子ども達の言葉やカラダの動きに触発され、チャットには25通もの回答や感想が寄せられた。
集まった「回答」は、綴り合せて表紙をつけ、新たな一冊の「絵本」となる予定だ。一つの「Q」(問い)にたいする「E」(エディット)が多様多彩であるほど読み応えのある本となることを、子ども達に実感してほしいという思いで設計した仕立てである。
感門之盟でこぼれたことを、書き記しておきたい。
ずっと前、ある7歳の女の子がこう言った。「教えてくれることは、いつもだいたい知ってるよ。でもそれとね、いまわたしが知りたいことと違うんだ」。
これが子どもイシスの原点だ。今はもう大人になった佐々木千佳局長の娘さんの言葉だが、10数年の時を越えてナビの長男も同じことを言ったのである。ずいぶん待たせたものである。
子ども編集学校は「子どもの発想はすばらしい」と称える場ではなく、「未熟な子どもに大人が発想の「型」を伝える場」でもない。
日常の中にある「型」を見出す力。小さな違和感やズレ、変化から遊びと学びを掘り起こしていく「方法のスコップ」を手渡す場であり、大人にとっては懐かしい未知とのインターフェイスである。
■「子どもと編集」について交し合えるラウンジが、10月オープンする予定です。卒門以上の方ならどなたでもご参加いただけます。今後の子ども編集学校ページやISIS通信にご注目ください。
https://es.isis.ne.jp/news/project/2757
松井 路代
編集的先達:中島敦。2007年生の長男と独自のホームエデュケーション。オペラ好きの夫、小学生の娘と奈良在住の主婦。離では典離、物語講座では冠綴賞というイシスの二冠王。野望は子ども編集学校と小説家デビュー。
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