花ひらき、みのる時へ ー41期入伝式ー

2024/05/20(月)18:41
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散る花を 惜しむ心や とどまりてまた来ん春の 種になるべき(西行)

 

春にもかかわらず、夏日や冬並みの寒さが交互にやってきたり、四季の感覚がすっかりおかしくなってしまったが、散る桜を惜しむように、春はやはり旅立ちの季節である。

桜もすっかり散った5月11日、イシス編集学校 花伝所の入伝式が行われた。師範代との回答、指南のやり取りの中で、編集の型を身につけた学衆は今度は師範代として、学衆に型を手渡していく。そのための厚い学びが花伝所にはある。

 

 

「型を学ぶのであれば、自分の型を捨てる」
校長の松岡は言う。


編集は差異であり、変化である。削ぎ落とし、磨き抜いた型は、学衆から師範代になるために必要なものである。

 

今期、入伝した一人に16綴物語講座を受講したYがいる。私が16綴 西行花伝タンゴ文叢で師範代であった時に教室の一員だったのが彼女だ。Yはとにかく描き続けた。回答として提出する前にも書き直しを行い、指南の後にも複数回の推敲を行う。書かなければならない物語が常に発酵しているかのようだった。描き続けた物語は、人を通して時代を語るお題、編伝で結実する。社会福祉家で津田梅子とともに、日本の近代女子教育者でありながら、忘れ去られていた石井筆子をその筆で蘇らせたのだ。推敲の度に深みをます物語と梳き続けた言葉は読んだ人の心にあかりを灯すようであった。Yは[破]学衆の時に、木村月匠にインタビューするなど、穏やかな風貌の中に編集への情熱をたぎらせてる。


入伝式の挨拶では、震える手で原稿を持ちながら、師範代として別様の可能性を追求していくと声を上げた。学衆と師範代の間の期間は4ヶ月。高速の学びの中、磨き上げた型で今度は師範代としての物語を紡いでいくだろう。再び彼女の物語に巡り会えることを心から期待している。

 

アイキャッチデザイン:穂積晴明
写真:後藤由加里

  • 北條玲子

    編集的先達:池澤祐子師範。没頭こそが生きがい。没入こそが本懐。書道、ヨガを経て、タンゴを愛する情熱の師範代。柔らかくて動じない受容力の編集ファンタジスタでもある。レコードプレイヤーを購入し、SP盤沼にダイブ中。

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